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2013年02月 アーカイブ

2013年02月26日

3冊

力むとズキズキと頭痛がする状態が続いてます。頭蓋骨の中で脳が張ってる感じがしていてぼーっとします。なんか気持ち悪い。
ここ1、2週間、モニタを睨み付ける日々だったので、眼精疲労からきているのではないかという気もしてきました。あきらめて回復を待ちますか。

そういうわけであまり元気がないので、読んだという記録だけ。

■九鬼周造『「いき」の構造』岩波文庫、1979年。
いき=クール&ドリーマーでセクシー。それをくどくど分析。
手つきは面白い。でもこんなにねちっこくこの題材を考える必要性はよくわかんない。

■大澤真幸『生権力の思想』ちくま新書、2013年。
かみさま役の記録。

■長沼毅『生命とは何だろう?』集英社インターナショナル、2013年。
前半。生命の特徴として、代謝、増殖、細胞膜、進化を挙げる。うんうんって思う。
後半。20億年を70ページで見てきたように語るというアクロバットをやりきってる。

2013年02月23日

八千代

築地場内、とんかつ八千代。
5-13時という営業時間のため、なかなか行けないでいたお店でした。
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13時から近くで仕事(というか、仕事に役立つ勉強会)があるので、1時間ほど早く到着して列に並びます。周りは一眼レフをぶらさげた外国からの観光客の皆さんがうろうろ。ま、生もの食べに来てるんでしょうけど(ちなみに弊管理人は生もの嫌い)。
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店内こんななので、結構待ちます。
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火木土限定のチャーシューエッグ定食、1200円。
うまい。けど、多分自分で作れますな。結構いいお値段。
まわりは車エビとかヒレカツとかホタテとかの揚げ物食べてました。

* * *

いま勤めている会社は「現場に放り込んでおけば勝手に育つだろう」という考えなのか、あるいは何も考えていないのか、ほぼ研修ってものがありません。弊管理人が受けた研修は、入社時と半年後、それと4年目の3回の座学で、あとはなんにもありません(今はちょっと研修の年次が変わってるらしい)。さらに現部署に関しては、弊管理人の見るところ、仕事の引き継ぎがかなりいい加減です。丁寧な人は丁寧にするが、大した資料も残さない人もいる。配属されたときのオリエンテーション的なものも皆無で、先輩が使っているツールをたまたまPCの画面をのぞき込んで見つけて「便利なのあるんですねえ」「え、みんな使ってるよ」みたいなこともしばしば。
むかし別の職場で弊管理人がマニュアルを作ったとき、それを年長者に「現場で融通無碍に振る舞うのが本領。マニュアルなどいらない」と見とがめられたことがありますが、少なくとも言語化できることを文字にしないのは無精か無知のどちらかだと思います。そういう文化は滅ぼしたほうがいい。

そのわりに仕事で扱う内容はそれなりに前提知識を要するものが多く、勉強している人としていない人、必要なツールを持っている人といない人でアウトプットの安定感にだいぶ差が出ます。弊管理人もそこらへんの不足感はけっこうあり、今年度は外部機関がありがたくも無料で開いてくれているセミナーに通っていました。その最終回が今日、築地であったのですね。

このシリーズは仕事でおつきあいしてもらう人たちが開催していて、必要な知識に関する講義のほか、彼らがぶっちゃけ何を考えているかを聞く機会も持たれたのですが、8割くらいは我が身を振り返って悶え、2割くらい「理解されてないなあ」と悲しむような、わりと精神をすり減らす機会でした。でも、本当に勉強になりました。感謝感謝。

社会人も10年近くやったら一度メンテナンス(集中的に勉強)しないと伸び悩む人がけっこういると思ってます。しかし余裕のない会社(と、ちゃんと考えている人の少ない会社)ほどそれをやらせにくい。といって人を育てないからますます隘路にはまる。困ったもんです。

* * *

今週、何度かぐらっと目眩がしたり、頭頂部が痛かったり。なんだろう。
1. 疲れてる(そんなに根詰めてはいないはずなんだけど)
2. 眠れていない(これちょっと疑わしい。寝てる間、唸るらしいです)
3. 実は感冒(顔が熱くなることが何度かあったため)
4. 高血圧(症状は近そう。でも血圧高くないはずなんだけどなあ)
どれかかと。いずれにしても野菜食べてよく休もう。

2013年02月17日

イケズの構造

■入江敦彦『イケズの構造』新潮社、2009年。

ロンドン在住で、今般来日していた著者のお話を直接聞ける機会がありまして、その予習のため購入。
これまでイケズが何であるかをよく知らないまま京都出身の友人を揶揄していたのですが、ようやく姿が見えてまいりました。

比較的閉じており、かつ「よそさん」の侵入がしばしば起こる社会で習得され伝承される、言葉の裏読みゲーム。
  「コーヒー飲まはりますか」
  「そない急かんでもコーヒーなと一杯あがっておいきやす」
  「喉渇きましたなあ。コーヒーでもどないです」
  「コーヒーでよろしか」
の4種類のオファー(に見えるもの)のうち、本当にコーヒーを飲んでもいいのは1つだけだそうです。怖!

おそらくこうしたゲームはルールを共有する者(=仲間)としない者(=侵入者)を峻別し、攻撃的な侵入者にはカウンターを食らわせる機能を持っている。つまり防衛の一形態ということですね。ただし徹頭徹尾、言葉の世界で行われるこのゲームの成立条件は、自分がパンチを食らったことを理解できる程度の言語能力が侵入者の側にあることですが。
と同時に、これは侵入者に対して「教育を受けてメンバーシップを得るチャンス」を開いているのかもしれない。たとえ地元に生まれたとしても、人は京都人として生まれるのではない、イケズの洗礼を経て京都人になるのです、たぶん。「よそさん」にもその点、機会は平等に開かれているのです、いや、どうかな。
そんな秘儀に触れる(やられる)ため京都に赴く観光客もいるそう。「ご丁寧に扉がついてる城壁」に囲まれた都市の一つの魅力なんでしょうかね。

単行本から文庫、そして電子書籍にもなった(※)本書、著者によると通算15万部(!)売れており、そのうち10万部が京都での実績らしい(笑)。身上書代わりに配るなどの使い方をされているようで。

※ちなみに弊管理人は急いで入手する必要のあった今回、初めてアマゾンで電子書籍を買ってnexus7で読みました。紙の本のようにページを押さえたりめくったりするのに両手を使う必要がないので、電車の中で立って読むのに超便利。ただし液晶でないとちょっと目は疲れるか。

で、本書を読んだ勢いで今は九鬼周造の『「いき」の構造』に手をつけてます。

ビッグデータ社会の希望と憂鬱

■森健『ビッグデータ社会の希望と憂鬱』河出文庫、2012年。

筆者が2005年に出した本をアップデート・補筆・改題したもの。
ユーザーの行動を逐一追跡し、数値化し、保存し、データ同士を結びつけ、探知し、予測し、フィードバックする。そうした情報技術の進化は、制度を作る企業や官庁から描けば便利で安全で自由な明るい未来像を結ぶことでしょう。しかし、その裏面にあるのは悪用や誤用だけでなく、善意の使用までもがあいまって成立するユーザーの監視と馴致と不自由というディストピアかもしれない。
さらにややこしいのは、そうした危なっかしいシステムを要請したのは、効率や利便や可視化を望み、ポイントという報酬をもらう見返りに承認しつづけてきたユーザー側だったということ。実際、障害を持った人や中山間地に住む人の生活を改善したりしているのも承知している。電力も情報もそうですが、依存しているものを批判するのはかくも難しい。

オーウェル、フーコー、レッシグなど分析の際に援用する枠組みは他でもお目にかかるものですが、何よりジャーナリストの本領は公式、非公式を問わず膨大に読んで聞いて並べて見せること。それに成功している本だと思います。05年までのITはもう歴史になってしまった(ICタグなんて懐かしい響き、02年サッカーワールドカップのときの顔認証システム導入もほとんど琥珀色の記憶です)。いや去年のことだってちゃんと覚えてなんかいない。でも昔のことを知っていないと構造が分からない、失敗は繰り返すし、予防もできない。

6年前に読んだ大屋本を思い出しながら読了。

■ギンジン(Pf)のラフマニノフ:ピアノ協奏曲1番と4番オリジナル版(ONDINE: ODE977-2)

これ、すごく面白かった。
よく演奏される情感豊かな2、3番と違って、パキパキ進んでさっと終わる1、4番。普段耳にするものは改訂版で、こちらはオリジナル版(世界初録音)とのこと。メロメロロマンチックな味付けがより濃く効いていてこっちのほうが好みという人もいるのでは。

2013年02月11日

ゲノムが語る生命像

■本庶佑『ゲノムが語る生命像―現代人のための最新・生命科学入門』講談社ブルーバックス、2013年。

仕事と仕事の合間にふと立ち寄った本屋で見かけて「この新刊、「買っといたほうがいい気がする」と思ったものの、虫の知らせで買わずに職場に帰ったら、転がっていた。

分子免疫学の大御所である著者が27年前に書いたブルーバックスは24刷(!)までいったそうで、それをこのほど大幅アップデートして、今の生命科学を知るためのトピックスを52節で紹介した本。
DNAや遺伝の仕組みってどうなってるんだ、っていう基本の部分は鎌谷直之『オンリーワン・ゲノム』のほうがとっつきやすい印象。一方、遺伝子工学の手法の解説はとても簡明で情報量も多い。エピジェネティクスとか自然免疫/獲得免疫、光遺伝学やゲノムコホート研究といった最近の動きも紹介されていてためになります。特に筆者の専門である免疫関係の記述はさすがにとても詳しい。一部ちょっと難しいところがありますけどね。

最後の2割くらいの部分は生命観とか幸福について語っていますが、まあこれは「思い」の部分でしょうから「ふーん」くらいで読み流せばよかろうかと。生命科学は文理問わずに知っておくべき、というのはホントその通りだと思う。

巻末に索引がついているので、今後は分からない言葉が出てきたときに引く事典のように使おうかななんて思ってます。

* * *

・今日は早起きして、午前中はマンソンの内見で四谷界隈を歩き回る。帰ってきたら16時過ぎに眠くなり、タイマーをかけて40分ほど寝た。20時も近くなってから夕飯の準備をして食べる。ごはんを一口食べて、空腹に気付く。

・20歳の自分に教えてあげたいこと。
  洗濯物はピンチから外すたびに畳んで積めば部屋がちらからない
  食器は毎食後に洗うと台所が汚れない
  本はよほど分からないところ以外は飛ばし読みするな
  弾けない場所は弾けるまで練習しろ
つまり、今やれることは今やっておくほうが結局余計な手間がかからないということ。

・MONDAINEの腕時計は結局、1カ月の旅を経て先週金曜日に帰ってきました。デザインは大好きなんだけど、体が弱いんだよね、この舶来っ子は。ピンチヒッターを務めてくれた光発電のCASIOさん(自民党の若林正俊氏みたいな存在)、おつかれっした。

2013年02月03日

盛香

新宿三丁目、盛香(じょーかー、と読めばいいのか)。昼間はそば屋、夜はガールズバーらしい。へえ。
牛そば850円を頼みました。
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西新橋に港屋っていうそば屋がありまして、大盛りの冷たいそばに煮たくず肉とごまと海苔が大量にかかってて、それをラー油の入ったつゆで食べる異色の肉そばがあるんですが、ほぼそれ。
食べる際のコツは、箸で取ったそばを全部つゆに浸けないで食べること、あるいは素早く浸けてすぐ取り出して食うこと。つまりつゆが濃い。そば以外の存在感が強すぎてそばの味がよくわかんないという。

* * *

土日と幸い仕事に煩わされることもあまりなく(=ちょびっとだけあった)、何をしていたかというと、新大久保、中野近辺で中古マンションのオープンルームを見に行って一日歩き回っていました。
今までは通勤時間の短縮される東京東側、亀戸~両国近辺を物色していましたが、買い物等でよく行く西側で一度探してみようと思ったためです。

グーグルマップで見ると、いずれもdoor to doorの時間が今の家とほぼ同じ。値段は城東地区に比べるとやや割高か。東京駅、品川駅、羽田空港、成田空港ともに遠くなり、出張にも不便になる。でも大通りに面していなければ意外と静かな住宅街があるし、新宿の大繁華街が近いのもいいですね。迷う。

一方、もう迷わないと決めたのは「中古でいいや」ということ。弊管理人ひとりがせいぜいリタイアするまでの居場所であって相続するような予定もないので、あと長くても30年もてばいいわけです。
1960年代に建てられたマンションがいまも売りに出ているところをみると、(管理がしっかりしているかだけは考えたほうがいいが)寿命として少なくとも60年はみてもいいのでは。するとさらに少し余裕をとって25年落ちくらいまでは許容(30年落ちまでいくと1981年の新耐震基準との絡みが少し不安だということもある)。
家は大きな買い物だが、借金はしたくない。そういう考えも合わせると少し古めで独居に適した手頃な物件を探す、とビジョンが明確化してきます。

やはりいくつか見て歩いていると、だんだん注意のしどころが見えてきます。今日行ったところは壁のクロスを張り替えていたものの、「東日本大震災のときに壁にひびが入った」と言ってました。うーむ。それは新しいチェックポイントだな。ていうか最近、震度5クラスの地震が多いような……

* * *

全然関係ないですが、帰りにスーパーに寄ったら寿司コーナーが恵方巻きで埋め尽くされていました。びびった。食べ方を調べましたが無言で食えだの南南東向いて食えだの、(バリエーションによっては)一気に食えだのと面倒くさいので食べない。っていうか太巻きのくせに高くない?

2013年02月01日

脳科学の教科書・神経編

■理化学研究所脳科学総合研究センター『脳科学の教科書 神経編』岩波ジュニア新書、2011年。

ぱらっと適当なページをめくってみると「小脳には、前庭反射のほかにも、このような可塑性シナプスを含む神経回路がモジュール状に何組もあって……」などの記述にぶつかり、「こりゃあジュニア新書には無理ちゃいますか」という気分になります。が、最初から読んでみると、脳神経系をめぐる用語の意味、図解、そして構造を”教科書的”によく紹介してあり、知識の整理という点だけを取っても得るものの多い本だと思いました。感じる、動く、覚える、忘れる、といった基本的な出来事が起きているとき、脳を構成する細胞や化学物質たちが行うスマートな共同作業に驚かされます。そして自分たちのことなのにまだ分からないことがいかに多いかも。

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