■理化学研究所脳科学総合研究センター『脳科学の教科書 神経編』岩波ジュニア新書、2011年。
ぱらっと適当なページをめくってみると「小脳には、前庭反射のほかにも、このような可塑性シナプスを含む神経回路がモジュール状に何組もあって……」などの記述にぶつかり、「こりゃあジュニア新書には無理ちゃいますか」という気分になります。が、最初から読んでみると、脳神経系をめぐる用語の意味、図解、そして構造を”教科書的”によく紹介してあり、知識の整理という点だけを取っても得るものの多い本だと思いました。感じる、動く、覚える、忘れる、といった基本的な出来事が起きているとき、脳を構成する細胞や化学物質たちが行うスマートな共同作業に驚かされます。そして自分たちのことなのにまだ分からないことがいかに多いかも。