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2009年11月 アーカイブ

2009年11月28日

iPS細胞ができた!

■山中伸弥、畑中正一『iPS細胞ができた!―ひろがる人類の夢』集英社、2008年。

もちろん非趣味読書。
京大の畑中名誉教授と山中教授との対談。このあいだ読んだ新書があればこれはとくにいらないと思う。ただまあ山中さんの自分語りがちょっと読みたければ意味はあるかもしんない。あとは活字がでかくて30分で読めるところか。
ところどころ話がかみ合っていなかったり、余計な「うーん」とか「ええと」まで入っていたりと、「ほんとにただ対談させてテープ起こししたでしょ」という建て付け。ただしこれは編集が悪い。

2009年11月15日

ぶらいだる☆bridal

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(↑これくらいのサイズにすれば顔はわかるまい。許せ)

ほんとうに、ほんとうにうっかり「行く」と言ってしまったため、今年も披露宴に出席してしまいました。こんどは後輩です。
札幌に赴任したときに新人として入ってきた子で、当初はなんか押しが弱くて思考もネガティヴ(酒乱なところ以外はわりと私に近い)な感じで大丈夫かねと思っていたのですが、2年目から安定感が出てきて早くもことし4年目。

奇しくもお互い今年首都圏に転勤したためか宴に呼ばれて行ってみると、同じテーブルは部長だの次長だのばかりで「息子が浪人したら学資保険が1年でなくなった」「悪いグループとつきあい始めてどうしよう」「娘が学校やめちゃってさあ」などと言い合い、あげく私に「次は君の披露宴だな」とか申し向けるので「このテーブルにいると家族を持つことに希望が持てなくなりますね」とにっこり微笑んで言ってやりました。

毎度思うけれど、友人知人から泣きながら「辛いことも乗り越えて幸せな家庭を」と挨拶されたり、生い立ちから今までをまとめたビデオを上映されたり、テーブルごとにキャンドルに火をつけて回ったり、ご両親に「今までありがとう」と手紙を読まされたり、集まった人たちの前で永遠の愛を誓わされたりと、ほんとうにこのなんというか、イベントの二度とやりたくない性を最高潮に高めることでパフォーマティヴに関係性の永続を実現してしまうのだね。無理だわー。最近思うが、特に私は意外と自分の言動で自分を縛るタイプだから、離婚とかするときは結婚の日の誓約を思い出して苛まれる気がする。

帰る頃には右の眼球が痛みだしました。ストレスか。地元商店街の王将でギョウザとチャーハン食って自分を取り戻した気になりました。銀座ブロッサムの飯はけっこううまかったけどね。

2009年11月10日

ピアノ・ノート

■チャールズ・ローゼン(朝倉和子訳)『ピアノ・ノート―演奏家と聴き手のために』みすず書房、2009年。
Rosen, Charles. Piano Notes: The World of the Pianist, New York: Free Press, 2002.

新聞の書評欄で紹介されたのを見て興味を持ちました。
著者はかのフランツ・リストの孫弟子に当たるアメリカのコンサートピアニスト。
工業製品としてのピアノの発展と身体の変容。より大音量を出せるようになり、トレモロは難しくなり、ペダルが増える。バッハからベートーヴェンに、リストに、ドビュッシーにと変遷を続けるピアノ奏法と使用する筋肉の関係。コンクールと成形されるピアニスト。録音技術の登場と録音の長時間化・切り張り技術の発達により「演奏」の意味は個性の表現から何回聞いても引っ掛からない音符の再現に変化していく。19世紀の魂を20世紀に香らせた著者の、マテリアルとしてのピアノに対する分析的な態度と、それを支える強靱な教養。え、フランス文学で博士号持ってるの?うへえ。
それにしてもいろんな本見てて思いますが、現代音楽の不人気をどう考えるかっていうのは現代に生きながら西洋音楽を考える人の共通テーマなのかしら。
内容は濃いですが、文章自体は平明で譜例も多いのでさっくさく読めます。面白かったです。

iPS細胞

■八代嘉美『iPS細胞―世紀の発見が医療を変える』平凡社新書、2008年。

非趣味読書。2時間ちょいあれば読めます。ていうかそれくらいの勢いで読む必要ができちゃって読みました(笑)

著者は当時、東大博士課程在学中の幹細胞研究者。
表題にあるiPS細胞が登場するのは本書の後半で、それまで延々ES細胞の話が続きますが、iPS細胞はその前史を語らないと全く位置付けが分からないので、やっぱりこの本は最初から丁寧に読むべきです。
サイエンスライティングに興味があるとのことですが、初学者にも分かりやすい文章で、しかし必要なキーワードや説明を落とすことなく書かれているので本当におすすめです。

特にこの分野は、紙幅の限られるニュース記事では新しい知見しか書かれていないので、途中から興味を持った人には非常にとっつきにくいと感じていました。この本はiPS細胞を知りたいと思った人の最初の一歩として重宝されると思います。ま、iPS細胞の勉強を始めたいと思う一般人て誰やねんという気もするのですが。

こういう本に接するにつけ、文章が書ける理系院卒の研究者が増えてきたら文系学部出身の科学部記者なんてすぐ要らなくなるよねって思います。

2009年11月08日

奥尻島

転勤する前に食べたいと思っていたものを食べずに東京に来てしまったこととか、札幌時代のお仕事絡みでお世話になった方の快気祝いとか、その他色々と動機が重なり、また来てしまいました奥尻島。

金曜の夜に函館市・湯の川温泉に入って一泊(寂れていた)。

土曜朝に札幌から来る人たち(ツアーでもないのに知り合いばかり9人!)と合流、
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函館空港からひとっとび30分で奥尻島へ。
高度3000メートルまでしか上がりません。まるで道南遊覧飛行。

実は今回、奥尻の食材を使った料理対決企画(というか、料理したいおじさんが二人いたw)!
というわけで早速食材となる鱈を仕入れに海へ!
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港の岸壁にはウニがへばりついてますが、私もおじさんもウニ嫌いなため無視。
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借りた漁船を調査目的でブッキングしていた某通信会社がキャンセルするほどの時化の中、遊園地のバイキングほど揺れながら魚群探知機を頼りにポイントまで。
でも潮が速すぎて釣れませんでした。何回か奥尻の海に出てますが、こんなことは初めて。

というわけで鱈は地元の方が船が出られなかった時のためにと用意してあった切り身で代用!
札幌組は2チームに分かれ、ひとつは
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鱈のクリームコロッケ。これがまたうまい!カニよりうまい!
牛乳と小麦粉、塩胡椒で味を調えたホワイトソースに、炒めタマネギとゆがいて解した鱈を混ぜて揚げるというシンプルな作ですが、一堂取り合いになりながら食べるほど。

もうひとつのチームが作ったのは
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奥尻のイカ、タコ、野菜で作ったパエリア。実はこちらのチームは日本在住歴の長いIrish Americanがボス。タマネギとトマトとにんにくをオリーブオイルで炒めて作ったペースト、エビの殻を煮出して作ったソースなど手間をかけてサフランライスと炊き込みました。これもまたうめーなー

そして地元代表が用意してくれていたのは
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ホッケのしゃぶしゃぶ。これです。私が北海道に置き忘れてきたものは。
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醤油、酒、みりん、生姜のタレに豆腐とネギを入れて煮立たせたところに、新鮮なホッケをくぐらせていただく。もともとは漁師料理なのだそうですが、新鮮なホッケが確保できる地元でしか食べられない贅沢なしゃぶしゃぶです!うめええええ!

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お宿は神威脇という地区にある「緑館」というホテル。ここの温泉がまた温まるんです。
裏はアイヌのパワースポットだったという山。島全体をブナの林が覆う奥尻の中でもひときわ神秘的な感じのするところです。こんなところにホテル作っていいのかという(笑)
でもここに来ると毎回よく眠れるんですよね。ほかにやることがないから。

翌日チェックアウトして、早々に奥尻空港に向かいます。
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今アツイJALの地方空港撤退のわりを食ってなくなるかもしれないHAC(北海道エアシステム)函館-奥尻線。SAAB340の写真を撮っている人もけっこう多かったです。

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昼過ぎに函館空港に着き、湯の川の近くにあるタクシーの運転手さんオススメのそば屋「起進堂」へ。ミニ天丼セット大盛り1090円。これもまたうまいなー

結局食べてばかりの旅行でした。最後は函館空港でソフトクリーム食って札幌組とお別れ。
一晩寝ると週が明ける。うぐぐ……

2009年11月01日

低炭素革命と地球の未来

■竹田青嗣、橋爪大三郎『低炭素革命と地球の未来』ポット出版、2009年。

東京駅の近くの丸善をさまよっていたとき、わりとプッシュ気味な陳列をされていたので買ってみました。

えっと、いまいち。ていうか、読まなくていい本。

竹田さんの『人間の未来』(読んだ)と橋爪さんの『「炭素会計」入門』(まだ読んでない)にもとづいたシンポジウムの記録ですけど、別にこの本読まなくても前2著を読めばいいと思う。竹田本を読むと橋爪本へのリダイレクトがちゃんとしてあるし、値段も2著足したよりこの本のが高いし。対談もフロアとの質疑応答とかも別にって感じ。こういうテープ起こししてハイできましたみたいな文章こそ炭素排出して本にしてないでどっかのホームページにでもアップしとけばいいのに、ねえ。

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