■八代嘉美『iPS細胞―世紀の発見が医療を変える』平凡社新書、2008年。
非趣味読書。2時間ちょいあれば読めます。ていうかそれくらいの勢いで読む必要ができちゃって読みました(笑)
著者は当時、東大博士課程在学中の幹細胞研究者。
表題にあるiPS細胞が登場するのは本書の後半で、それまで延々ES細胞の話が続きますが、iPS細胞はその前史を語らないと全く位置付けが分からないので、やっぱりこの本は最初から丁寧に読むべきです。
サイエンスライティングに興味があるとのことですが、初学者にも分かりやすい文章で、しかし必要なキーワードや説明を落とすことなく書かれているので本当におすすめです。
特にこの分野は、紙幅の限られるニュース記事では新しい知見しか書かれていないので、途中から興味を持った人には非常にとっつきにくいと感じていました。この本はiPS細胞を知りたいと思った人の最初の一歩として重宝されると思います。ま、iPS細胞の勉強を始めたいと思う一般人て誰やねんという気もするのですが。
こういう本に接するにつけ、文章が書ける理系院卒の研究者が増えてきたら文系学部出身の科学部記者なんてすぐ要らなくなるよねって思います。