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ピアノ・ノート

■チャールズ・ローゼン(朝倉和子訳)『ピアノ・ノート―演奏家と聴き手のために』みすず書房、2009年。
Rosen, Charles. Piano Notes: The World of the Pianist, New York: Free Press, 2002.

新聞の書評欄で紹介されたのを見て興味を持ちました。
著者はかのフランツ・リストの孫弟子に当たるアメリカのコンサートピアニスト。
工業製品としてのピアノの発展と身体の変容。より大音量を出せるようになり、トレモロは難しくなり、ペダルが増える。バッハからベートーヴェンに、リストに、ドビュッシーにと変遷を続けるピアノ奏法と使用する筋肉の関係。コンクールと成形されるピアニスト。録音技術の登場と録音の長時間化・切り張り技術の発達により「演奏」の意味は個性の表現から何回聞いても引っ掛からない音符の再現に変化していく。19世紀の魂を20世紀に香らせた著者の、マテリアルとしてのピアノに対する分析的な態度と、それを支える強靱な教養。え、フランス文学で博士号持ってるの?うへえ。
それにしてもいろんな本見てて思いますが、現代音楽の不人気をどう考えるかっていうのは現代に生きながら西洋音楽を考える人の共通テーマなのかしら。
内容は濃いですが、文章自体は平明で譜例も多いのでさっくさく読めます。面白かったです。

コメント (2)

e-com:

これは相当(ブログ内)評価高い?
音楽はぜーんぜんダメですが、歴史屋として読みたいなと思わせる日記でございました。

管理人:

つっても学術書じゃなくてあくまでエッセイだけど、自分としては面白かった。自分で弾かなくても聴くことがよくある人にはおすすめ。評論家ではなく、[知的にちゃんとした]ピアニスト目線で書いてあるのがわりと貴重かもしんない。ちょっとマニアックなところはあるけど全部じゃないし。

でもなんか高いし図書館に入ったら(まだ入ってないみたいね、おたくのとこ)借りてめくってみて決めたらいいかもー、くらいです、ブログ内評価はw

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2009年11月10日 23:48に投稿されたエントリーのページです。

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