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2019年06月 アーカイブ

2019年06月30日

6月下旬あれこれ

6月は15日までに5つもエントリーを書いて、あらなんか快調じゃないですかと思ったら、そのあとなんだかとても沈滞した気分になって(何か嫌なことがあったわけではない)晦日の夜になってしまいました。

とはいえ、いろいろ食べてはいた。

久しぶりに夏目坂「高七」の上天丼。
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「天ぷらはサクサクじゃなきゃ」「タレは甘辛濃いめが王道」って人にはお勧めしませんが、天ぷらは蒸し料理だと思っている弊管理人の天丼第1位はこれです。並じゃなくて上。絶対上。

こちらも久しぶり、東高円寺「川中屋」にも行きました。
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友人と御岳山を歩いて帰ってきて、焼き鳥で一杯。トリキよりも安いんですけど、もうどれもほんとうまい。友人は親子丼を締めに頼みましたが、がっつりでかいやつがきてさすがにお腹いっぱいになったようでした。予約は取りやすいが予約必須。

新橋の居酒屋「伊万里」の締め、焼きおにぎり。
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弊管理人はルーティンワークの一環だと思っていた仕事が、なぜか人助けと受け止められたようで、お礼としてセッティングされた飲み。でもホストは急な仕事で欠席し、結局ほかの参加者と旧交を温めるだけの機会になりました。
しそとかごまとか入ってておいしかったです。

船堀のラーメン屋「大島」の味噌。
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土曜仕事の終わりごろ、友人から「船堀行かない?」とLINE。札幌の「すみれ」で修行していた人のお店だそうで。引っ越して依頼久しぶりに船堀に行きました。
生姜がかなり強く香る濃ゆい味噌。おいしいです。
でも食ってる途中に(それも麺掴んで口に持っていこうとしている最中に)店員から「席を移動して下さい」と言われて「ないわ」と思った。ないわ。まあ距離的にももう行くことはないでしょう。

御徒町のカフェ「Egg baby cafe」でプリン。
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足立区の六町ミュージアムに建物を見に行ったのですが、休館日を調べて行かなかったため見事に閉まっていました。日曜休みの美術館???まじ???
で、じゃあお茶飲んで帰ろうということでTXで新御徒町まで戻ってプリン。
やっぱりプリンは固い方が好きです。少し前にセブンイレブンでこういう四角い濃厚プリンが売られていましたが、ほんとセブンイレブンは優秀。また売ってほしい。

* * *

■ジョン・サール『MiND 心の哲学』筑摩書房、2018年。
セクハラで名誉教授の称号を取り消されたとのニュースに触れつつ読むなど……
20年前(!!!!)の留学時代にPhilosophy of Social Sciencesという授業で読んだのがサールの、なんだっけ、たぶんThe Construction of Social Reality。それよりかなり分かりやすさを意識して書いてる気がした。
心/物の二元論にも唯物論にも落ちずに、両者をどう「分かれてありつつ結びついている2者」として扱うか。「素粒子は確率的だけど天体は確定的に記述できるじゃんね」みたいな解決の仕方をしているように見えました。違うか。いやううむ。

* * *

土曜、現業若者(といってももう若くない)に関して「うわーこの人やだ」という思いを強くすることがあり、ちょっと対処の仕方を変えることにしました。

この人はある面でいい仕事をすることがあるものの、組み立てて提出してきたものが全然水準に達していないことが多いため、これまで相手の手間を省くつもりで自分で調べ物などをした上で原案/修正案を考え、「こうしたらどう?」と示すようにしていたのですが、今回「(弊管理人)が作ったものの確認を私に求められても困ります」と言われてかなり頭にきたので、もうわざわざ手間をかけることはしまい、駄目出しや発注だけ投げるようにしようと思いました。っていうか関わりたくねえわ。

2019年06月15日

遠くに近づく

これもまあ借りて済ますべき「現在地まとめ」みたいな本かなあと思って図書館からさらってきましたが、2年前くらいにずっと読んでたSmall Places, Large Issuesのおさらいプラスアルファとして思いの外面白かったです。

・遠い人たちの近くにおいて、自分と自分が埋め込まれた社会の基底に気付く、
・普段当たり前と思っている二分法の境界線を溶かす。

貸出延長の手続きをしてじっくり……と思ったら次の予約が入っていてできず、駆け抜けてしまいました。下のメモも目に付いたキーワードをすごい恣意的に拾っただけ。最後のほうはすっ飛ばしてます。

■松村圭一郎、中川理、石井美保『文化人類学の思考法』世界思想社、2019年。

[1]自然
未開の科学、認識人類学(エミック/エティック)
コンクリン:ミンダナオ島・ハヌノオの植物分類学
チェンバース:「参加型開発」。土着の知識は科学より当地の生態系に適合的
レヴィ=ストロースの自然/文化の二分法は本当か?
 ←西洋の構築物では?ヴィヴィエロス=デ=カステロの「多自然主義」
多種の生物が織る自然←→地球を守る私たち

[2]技術
道具を作る動物と人の違い:道具使用に意味、意図、表象が絡む
モース:身体技法=目的や状況に応じた身体の使い方
    道具=身体の外側に独立した機能、技術=その構成
    技術の「相互的因果」=石器を「作る」→狩猟社会が「作られる」
ユクスキュル:環世界。誰も「自然そのもの」を知覚していない
ルロワ=グーラン:技術の創出と、それによる身体・社会の変容。進化の同時進行
ラトゥール:特定条件下で姿を現す「科学的発見」、科学者の名声という社会的影響
 自然と社会が同時につくりだされる。対称性アプローチ
 人間と非人間を関係づける実践が形成する社会。自然と社会は独立してあるのではない
 統計学的に構成された身体+その知というネットワーク→医療環境
現代のホモ・ファベル:道具だけでなく環世界もつくりだす(スマホが創る身体、社会)

[3]呪術
機能主義
 タイラー:『原始文化』偶然を因果関係と取り違えること
 フレイザー:『金枝篇』発育不全の技術
  類感呪術=AとBは類似→Aに働きかけるとBに作用(コラーゲン→肌ぷるぷる)
  感染呪術=AとBは結合→Aに働きかけるとBに作用(オヤジのパンツと洗濯すんな)
マリノフスキー:個人の心理的機能=技術で自然を支配できない時、安心のために使われる
ラドクリフ=ブラウン:構造機能主義=社会統合への寄与
レヴィ=ストロース:野生の思考。キツツキ―歯痛、といった個別物を結ぶ秩序の導入
ANT:より多くのアクターを動員する、より長いネットワークが支える「より固い事実」

[4]異世界
妖術や精霊をどう理解するのか:合理性論争(未開の思考との共約可能性)
機能主義:緊張緩和、社会統合、不安の表現
存在論的転回:「彼らは精霊がいると認識」から「彼らは精霊のいる世界に生きている」へ
 →われわれとの差異を乗り越え不可能にする側面も
グレーバー:われわれにとっても彼らにとってもよくわからないまま実践されるもの
 →「かもしれないもの」としての妖術や精霊。感じ方を共有→そう体が動くように

[5]芸術
「何が芸術か」から「いつ芸術になるか」へ
  芸術家、批評家、美術館など「制度」の中で芸術になる
 さらに、非西洋のモノを芸術にする非対称な権力関係の批判へ
 物質文化研究→新奇なモノの収集、「発展度」の測定(進化主義)
ボアズ:未開芸術。どこにもそこなりの美がある
リーチ:審美的気質はどこにもある。が、未開美術で音楽、詩、造形が未分化
木村重信:民族芸術。美意識、社会の凝集したもの。作品と享受者の関係に重点
モース:全体的社会的事実。全体が渾然一体となった贈与交換から芸術は抜き出せない
ジェル:魅惑するものとしての芸術、社会的行為の媒介としての芸術
制度や境界を越えた関連づけ(生の全体性)に私たちを引き込むものとしての芸術

[6]贈与
モース:クラとトロフィーの類似性
 贈与交換:人と人を繋げる、長期的維持、贈り物
 商品交換:人と人を切り離す、短期的・非人格的取引、商品
 贈与に伴う3つの義務(1)与える(2)受け取る(3)お返しする
 贈り物は霊的な本質の何者かを受け取ること
 負債=負い目。返礼へ向かわせる
サーリンズ:3つの互酬性
 一般化された互酬性:近親者、返礼を求めない。
  ★が、社会の階層化をもたらす力。モノを与えることは威信や格差と結びつく
 否定的互酬性:関係の乏しい相手から多く奪おうとする
 均衡的互酬性:同等なものの交換が期待される
神、死者、国家への捧げ物:税、供犠。聖俗を結びつける
グレーバー:『負債論』交換だけではない。収支計算のない「コミュニズム」、優位者と劣位者の間で慣習的で非対称にやりとりする「ヒエラルキー」もある

[7]交換
貨幣:(1)交換媒介(2)価値保存=価値を将来に持ち越す(3)価値基準=価値を表す
 権力による保証
ヤップ島の石貨:交換相手への信用の記憶媒体としての石貨
 信用に基づく交換。監視された台帳に書き込まれる仮想通貨

[8]国家
政府を持たない社会:ヌアーの秩序ある無政府状態、メラネシアの一代限りの実力派リーダー「ビッグ・マン」
ギアツ:バリの「模範を示す国家/劇場国家」
国民国家:言語・歴史・文化の発明、と、サブ国家レベルの「原初的愛着」の葛藤
アパドゥライ:グローバルなフローの中で単一国民国家は無理。草の根グローバリゼーション、ギャングが保持する「部分的主権」

[9]戦争
権力や富の追求
近い集団同士が戦う「ささいな違いについてのナルシシズム」(アパドゥライ):交換するうちに集団感の関係が深まり、融合へ。成員間に命令する/されるの階層が出現してしまう。各集団が自律的であるために相手と一時的に戦争して関係を断ち切る必要あり(クラストル)=★戦うことで自他の境界を作り出す。近いからこそ戦う
暴力の自律的な再生産
エリートの扇動に乗って戦うことをしない(戦闘員にならない)ことを選択する人もいる

2019年06月10日

ナモラーゼ

1992年ジョージア生まれ(その後ハンガリー、いま米国在住)のピアニスト、ニコラス・ナモラーゼのリサイタル@東京文化会館です。
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曲は:
・スクリャービンのピアノソナタ9番「黒ミサ」
・バッハのシンフォニア9番、パルティータ6番
休憩挟んで
・シューマンのアラベスケ、暁の歌
・ナモラーゼ自作のアラベスク、練習曲1,2,3番
アンコールがなんと6曲!!!
・ナモラーゼ自作の「屈折した月」(「荒城の月」に基づく変奏曲)
・スクリャービンの前奏曲 Op.42-5, 8-12, 42-8, 2-1, 42-4

アンサンブルやインタビューも課されるカナダのホーネンスコンクールで2018年に優勝した、学究肌のコンポーザー=ピアニストらしいということを予習していたので、随分と思弁的なのかなと思っていましたが、がっつりテクニック系でした。まずピアノの限界に達したと思えるほどの弱音からぶっ叩きまでダイナミクスが幅広く、指もよく回ってます(手つきはなんとなく若い頃のポゴレリチに似てる)。

内声の聞かせ方などをみると、構成もよく研究されてるようです。黒ミサからシンフォニアへ意外にスムーズに移行したあと、べたべたロマンから「あなたリゲティ好きでしょ」って言いたくなる練習曲へ跳躍するというプログラム作りも意外で面白かった。で結局、アンコールまで聴いて「この人はスクリャービンが合ってる」と確信しました。

一方、コスモロジーはやや未分化だと感じた。テンポの制御も疎かに感じた部分はありました。現状を一言で言うと「上手な若い人」。生演奏で手練れが醸す「ぞっとする凄味」を会得するには、もう少し歳を取る必要があるのかも。

それはおいても、この人のノリはよい。たぶんナイスガイ。予定のプログラムを終えたあと、拍手を続けてると、1度出てきて、引っ込んで、もう1度出てきたらすぐアンコールを弾いてくれちゃう。それを6回。2回が相場なので、3回目からはナモラーゼが椅子に就くたびにどよめきが起きました。最後は聴衆が「もうさすがに申し訳ないよね」と思って拍手をやめるというw

用意したCDが前半終了後の休憩時間に瞬殺で完売してましたが、これは用意した数が少なすぎだったのでは……。終演後のサイン会は早すぎる品切れを受けてか「CD買ってなくても並んでOKです」と、これもまた変わったサービス。

よかったよかった。寒い日曜の午後でした。会場を出たら霧雨。

2019年06月09日

魚ランチ2題

かつてはおいしいものを探していろんなお店に行ってみていたのに、振り返るとここ2,3年、全くそういう欲求が起きていませんでした。
が、にわかに復活。いいお値段のものもありますが、まああの世にお金は持っていけないしねえ。

■銀座「銀平」の御膳ランチ、1620円。
煮魚、焼き魚は、桶に入ったいろんな魚を持ってきてくれて、「どれがいいですか」と聞いて下さいます。選んでから、温かい豆腐と、冷たい酢橘そばと、天ぷらを食べているうちに調理されたこんなのがでっかい皿に載ってきます。
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あの、ご飯とお新香と豚汁まで含めて全部うまかった。ご飯はなんちゃらマイスターが選んだお米だそうです。調子に乗って食べ過ぎてもあれなので頼まなかったけど、おかわりも可のよう。

■西新宿「ル・クープシュー」のランチ定食、1700円。
西口ヨドバシカメラのあるごっちゃごちゃした一角にあるフレンチ。
土曜昼間の予約は、金曜昼過ぎに電話でお願いしてもすんなり取れました。いつもそうなのかは分からない。
ミモザサラダ、カリフラワーのポタージュ、あとパンとめっちゃミルクっぽくておいしいバターが出てきて、これ。肉と魚が選べますが、今回は魚、ポワレ。たぶん。
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そのあとデザートとコーヒーがつきます。ゆったり食べて1時間。
こちらも全部おいしくて、休日にちょっと贅沢したい時にうってつけです。店員さんが笑顔なのもとてもいいなあ。

2019年06月04日

南房

近傍より友人来たりて日曜、房総半島の南部に出掛けました。
9:30に家を出て、ご所望の館山「茂八寿司」に11:00の開店と同時に着。
田舎寿司、2400円。
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なまもの食べないんじゃなかったでしたっけ、というツッコミもありましょうが、おいしいやつは食べられるんです。おいしかったです。
館山の寿司はでかいということらしい。箸と海苔巻きが寿司の対照なんですが分かりますでしょうか。最近そんなに食べない弊管理人はおなかいっぱいでした。

千葉在住時代(2001.4-2006.5)に南房総は何度かバイクで訪れましたが、止まって降りてヘルメット脱いで結わえて……が面倒で(!)行ってないところも結構あるんですよね。
その一つです。偶然目にとまった崖観音。
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同じく、沖ノ島にも行きました。
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アイス大好き同行者がなんとなく寄りたそうだったシャトレーゼでアイス休憩。
ののち、富浦の道の駅「枇杷倶楽部」。
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富浦のびわ、まじうまいんですけど、初夏しか手に入らない。ちょうどシーズンにさしかかったところで、箱入りのいいやつが盛んに売られている傍らで、箱詰めにできない傷物が5個800円で袋に入れられて売ってました。お手頃。袋のほうを買いました。あとカントリーマアムのびわ味は職場用に。

そののち、鋸山。これも在住時代にはなぜか行ってない。
頂上展望台近くの「地獄のぞき」は高所恐怖症の同行者が「絶対行きません」と言ったので撮影してもらいました。
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見晴らしすごくいいです。天気が若干アレだったけど神奈川側もうっすら。
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有料登山道を車で登ると頂上近くまで行けて楽です。無料の道+市営駐車場だと階段上り30分だそうです。格差社会(違)

富津竹岡、梅の家。こちらは久しぶり。
ラーメン800円になってました。なんか値上がりしましたかね。
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って過去日記を調べたらそうだ。2010年当時、大ラーメンで650円じゃん。うへえ。でも「前に来たとき、こんな大盛りだったっけ??」というくらい盛りが良かったので、ひょっとしたら値上げとともに量も増やしたのかもしれません。
いずれにせよ、おねえさまたちは健在のようでよかったです。
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帰りはうっかりアクアラインじゃなくて千葉まわりにしたら2時間半くらいかかってしまいました。走行距離が30kmくらい長くなる上に、蘇我あたりから習志野の先までひどい渋滞でした。
来週はもう梅雨でしょう。天気がちょっと微妙でしたがもってよかったです。

2019年06月01日

富嶽

理研のスパコンじゃないです。これ1000円で手に入っていいの?

■日野原健司『北斎 富嶽三十六景』岩波書店、2019年。

富嶽三十六景の計46点(人気が出たので10点追加したんだって)を見開きで見せ、次の2ページで解説するという岩波文庫。
視覚効果を高めるためには、遠近法をねじ曲げたり、実際の風景と違ったものを描いたり、あるはずのものを取り去ってしまったりするのが北斎流。さらに特段有名でもない地点からの富士を描いちゃうのも、へそ曲がりの達人ならでは。写実が正しいのではない、デザインが面白くなるか、動きが映えるかどうかなのである。
ある絵では描かれたみんなが富士を見ている。別の絵では誰も見ていないが、やはり富士はそこにある。江戸からは小さく、駿河や甲斐からは大きく見える。最後はあの執拗に描かれた三角形の富士が見えない(当然だ)頂上。唸った。

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