皆既月食
昨日に続いて空の写真。皆既月食です。薄い雲の間に赤い月がぼんやり見えていました。
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昨日に続いて空の写真。皆既月食です。薄い雲の間に赤い月がぼんやり見えていました。
何の変哲もない夕方の空がきれいだったので撮ってみました。それだけ。
40を不惑というなら、30は惑うお年頃なのでありましょう。
ひとつは、仕事で一通りのことを体験して周りが見えてくるということ。もうひとつは、転職サイトなんか見ているとそろそろコース変更のタイムリミットにさしかかってきているということ。
周囲を見回せば、既に30という年齢を過ぎた人たちは「ああ、そういう年頃だよね」と振り返っており、会社の同年代はここへきてポロポロと転職者が出始めています。
ということは昨今のもやもやは自分一人の問題ではなく、そして今完全解決を目指して達成できるというものでもなく、誰かに相談してブレイクスルーが訪れるというわけでもないので、しばらく頭を低くしてじっとしていれば光は見えてくるのではないかと思い始めました。
そんなわけで、このところあまり呵責なくうかうかとしてます。ただぼうっとしているのではなく、12歳、15歳、18歳、22歳のときのように、何かになりたいわけではないが何かになるための訓練でもするべかな、とぼんやり考えつつ。
■長倉洋海『フォト・ジャーナリストの眼』岩波新書、1992年。
下のエントリーと同じく、北東北旅行中に能代の古本屋で仕入れたもの。
エルサルバドルからアフガン、フィリピンへ、そして山谷へ。そこで見たもの、撮ったものについて。
個人的には、良質のルポルタージュというのはただ見たもの、聞いたこと、それについて感じたことを書き連ねるだけではなく、その背景にある社会・思考の構造にまで一歩以上踏み込んだものであるべきだと思っているんですが、その意味ではこの本はあまり良質だとは思いません。新書という分量の制約もあったかもしれませんが。
それはそうとして、他人の行かないところに行く、他人のしない工夫をして取材対象に迫っていく、その情熱はどばどば溢れている著書だったと思います。
ネットの危険性、肖像権とかプライバシーとか、いろんなことで人を撮ることがますます難しくなる日本で、フォト・ジャーナリストはどうやって仕事をしていくのか。著者に伺ってみたい気がします。何て答えてくれるでしょうか。
■三浦綾子『氷点(上・下)』角川文庫、1982年。
下のエントリーのとおり、北東北旅行の最後、青森港で延々とフェリーを待ったときにイッキ読みした本です。
人生においてよく本を薦められるということがありますが、あまり多いので2人以上から薦められたら読むことにしています。この本が久しぶりのそれ。「笑点」のタイトルは番組開始当時にブームとなっていたこの本のタイトルをもじったものだそうですよ。へえええ
娘を殺された夫婦が、殺人犯の自殺によって孤児となったかれの娘を引き取って育てるおはなし。病院を経営する夫、美貌の妻、利発な息子と娘、という一見非の打ち所のない家族のなかで、「殺人犯の娘が家族にいる」という秘密をめぐる苦悩と愛憎が描写されていきます。テーマは「原罪」とのこと、それがどういう意味かは読み通したときに初めてわかる気がします。
8月7日~12日、青森・岩手・秋田の北東北3県にツーリングに行ってきました。
■7日 札幌→室蘭―(フェリー泊)
■8日 →青森→八甲田→奥入瀬渓流→十和田→八幡平
×朝6時40分、フェリーを下りると雨。雨装備でR103へ。
○奥入瀬渓流。渓流といっしょに(流れは進行方向と逆ですが)走ります。適度にカーブがあって運転していても楽しい。
△十和田湖。うーむ十和田湖。以上。
○r23八幡平アスピーテライン。標高1500m超まで上昇しますが高いところは雲の中。しかし少し高度を下げると雲海を抱く岩手山が。晴れていればとても気持ちの良いドライブロードのはず。
○途中、「後生掛温泉」で立ち寄り入浴しました。湯治の老舗だそうです。泥、露天、打たせ湯、などいろいろなお湯が楽しめます。芯から温まります。
○r318八幡平樹海ライン。アスピーテラインの終点近くから始まっている樹海の道。地味ですが森の香りを楽しみながら運転できます。
◎樹海ラインの最高地点付近、標高1400mと東北で最も高いところに位置するという温泉宿「藤七温泉・彩雲荘」がこの日の宿。建物わきにいくつも露天風呂が点在。基本は混浴です。白濁の硫黄泉でいいお湯です。地上波のテレビも入らない、携帯も圏外(auは入るらしい)、宿の電話は衛星電話。秘湯ムード満点。
■9日 八幡平→日本海側の秋田県能代市→北上して青森県深浦町
・ひとっ風呂浴びてアスピーテラインを下ります。
×大館くらいから雨……
×能代から日本海沿いのR101を北上するとさらに雨足は強く……
・こんな日に白神山地に入らなくてよかった。
・この日はひたすら走り続けて宿へ。
◎宿は「黄金崎不老ふ死温泉」。塩泉。海辺の波打ち際に露天風呂がある、立ち寄り入浴でも有名な宿です。荒れる日本海を間近に見ながら入浴というのも乙ですねえ。
■10日 深浦→津軽半島→竜飛崎→蟹田からフェリーで下北半島・脇野沢へ→薬研温泉
○この日も雨、との予報でしたが、以外に大降りになることはなく快調に津軽半島へ。
×岩木山の周りをめぐる道も考えましたが、やはり雲が低いのでやめ。今回は高いところに恵まれないツーリングになりました。
○竜飛崎に向かうR339「龍泊ライン」は海辺を走り、けっこうな高低差もある楽しい道です。やっぱり高いところは雲の中で、視界が5mくらいに。雲の中からいきなり対向車線にバスが出てくるとびっくりします。
○竜飛崎。「津軽海峡冬景色」が流れてます。北海道の岬もそうだけど、岬にまつわる歌って多いですね。おお岬岬って感じで灯台眺めて退却。
○R339階段国道。竜飛崎のすぐ下にある全国で唯一、国道の階段区間です。漁港近くの家並みの中を縫って下端にたどりつきました。
×津軽半島から下北半島にわたるフェリーが出る蟹田で昼飯。さーてそろそろ帰りのフェリーでも予約しようかなと電話を入れると、「いっぱいです」との返事。これがその後の惨劇の始まり。
○それはともかくフェリーで脇野沢へ。陸奥湾をめぐるひとびとの生活の中を通るR338を快走。
○薬研温泉・薬研荘が今日の宿。無色無臭のお湯。料理は山菜やきのこなど。さらさらと水の流れる音を窓の外に聞きながら眠ります……
■11日 薬研→恐山→尻屋崎→青森港
○薬研温泉から2kmほど奥に入った奥薬研温泉「かっぱの湯」でお風呂。熱い!!でも渓流がすぐ脇に流れていて気持ちよい。
○恐山。荒涼としたガレ場のいたるところに石が積まれ、風車がカラカラと回る。墓標。そして不釣り合いに美しい宇曽利山湖。おみやげにせんべい買いました。
◎尻屋崎。大間か尻屋崎かで迷いましたが、ルーティングの問題もあり尻屋崎に。人里離れたところにある灯台だし、さいはて感はたぶんこっちが上。寒立馬、という馬が灯台のわきで草を喰んでました。
××午後2時、青森港。まあキャンセル待ちすれば乗れますわいな、と甘い考えでフェリーターミナルに入ると、長蛇の列!車のキャンセル待ち番号は1000番台!!!!バイクだった自分は166番でした。
直近のフェリーに乗れたのは車が400番台、バイクは80番台。函館行きのフェリーは2~3時間に1本。だいたい1本につき車が40台、バイクが10台くらいずつ消化されていきます。ということは……
チケット売り場のおじさんに「乗れるとしたら明日の未明くらいかな~」と言われ、事態の深刻さに気付いたわたくし。っていうか予約も入れずに青森まで来てる人たちのなんと多いことか!アホか!(自分も)
こんなときになって空はピーカン、気温30度超。近くの健康ランドに避難して、深夜に戻ってきてもキャンセル待ち消化はほとんど進んでおらず。かといってこの場を離れていても不意のチャンスを逃すであろうと、まずは自販機でミネラルウォーターを買って歯を磨き、フェリーターミナルの建物の外で「何かのときに」と持ってきていた大判のゴミ袋を割いて芝生に敷いて横たわったり、建物内のベンチでうとうとしたりしながら夜明かし。深夜になっても続くキャンセル待ち番号をとるための行列、そして途方に暮れる家族連れと、建物外でテントを張って休むライダーたち。なんだここは旧東ドイツか!函館はすぐそこなのに超えられない海が横たわっている。お願いです領事様!ビザを!(笑←ていうか笑う気力はもうなかった
■12日 青森→函館→札幌
×××朝4時、夜の底が白くなるころ。既に帰札予定は1日過ぎているので、今日こそは絶対帰るぞ!といろいろな手段を考える。バイクの関連書類は持ってきているので、あとはどこかで認め印を手に入れてバイクを売ってしまえば、飛行機でも鉄道でも帰れるわけだ。
というわけで朝マックがてらホームセンターでハンコをゲット。昨日の到着から24時間、今日の14時の便に乗れなければもうバイクを売って帰ろう……
○タイムリミットまで残り2便になった昼12時の便。案内放送で「170番までの方、ご乗船になれます」と!あああついに帰れる!電話した友人知人からは「お盆の超ハイシーズンに予約なしで旅行か!」とつっこまれ(理由は2つあり、今までお盆に休みをとったことがなかったことと、フェリーで予約なんてほとんどした経験がなかったこと)、実家からは「危機を楽しめ」と意味不明なメール。キャンセル待ちのひとびとの饐えた体臭と寝不足のイライラが満ちたこの絶望施設・フェリーターミナルから、私は、私はおうちに帰れるのです!!!!(本2冊読み終わりました)
△船内は大混雑。もう周囲をなるべく見ないようにと、青森の本屋で仕入れた三浦綾子『氷点』(上・下)に没頭。函館沖でフェリーが沈没するというシャレにならないシーンに気分を害しつつ、3時間50分で函館着。
×函館港から走り出した午後4時半、案内看板に「札幌 275km」の文字。軽く目眩。洞爺湖付近でのガス欠の危機もクリアし、約6時間で札幌に帰り着きました。
一人旅。それは「やっぱりおうちはいい!」ということと「やっぱり誰かと一緒の旅がいい!」ということを確認する旅なのかもしれません。総走行距離約1400km。疲労困憊。
札幌市中心部から車で20分強、札幌市西区西野の「やま賀」。
かき揚げせいろ1000円(写真は大盛りで+200円)、エビとホタテのかき揚げが、最初から温かい付け汁の中に浸かってます。猫舌の自分にはウレシイつけ麺スタイルですね。
店内はけっこう洒落た感じ。Tシャツとジーンズで行っても問題はなかったけど(多分)。