右翼と左翼
■浅羽通明『右翼と左翼』幻冬舎新書、2006年。
このあいだ友人とカレーを食べたあと、近くのマクドナルドの寒いテラスでコーヒーをすすりながら話をしていたとき、ふとしたことからその友人が「右翼はよく見かけるけど左翼って何してるんだろうね」と言いました。今も細々とやってる成田はわかりやすいけど、雇用とかヒノマルとか、あれって左翼?そういえば右翼とか左翼って何?ということについて、自分なりにイメージはあるものの(いつかの日記に書いたけれども、理想が昔にあるのが右翼で未来にあるのが左翼、などいくつかの整理をしてみていた)ひとがどう考えていたかはちゃんと読んだことがなかった。
この新書が出たときからなんとなく目には止まっていたものの、これまたなんとなく手に取る機会がないままだったのですが、ちょうど図書館にあったので借りてきて読みました。
この本がやっているのは、わりと手に入りやすい文献を渡り歩いて、第一に、右翼/左翼という言葉がどんな内容を代表しているのかを整理すること、第二に、右翼/左翼という言葉が生まれた革命期からのフランスとヨーロッパ、明治から現在までの日本でその意味がどう変遷してきたかを概観することです。
じっさい情報量は多いですがすぐ読めるので興味があればどうぞとお勧めしておいて、超ざっくり言うと
・右翼/左翼は時代によって内容が変わる
(・たとえば、極右が舞台から退いてしまうと、それまでの中道右派くらいが極右の席に座り、さらにそれも退いてしまうと当初は中道左派だったのがどんどん右側の席に追いやられていくような動態)
・いちばん大まかには、やっぱり右翼/左翼=保守/革新と言い換えていいっぽい
(・もっとも舞台が当初の左でいっぱいになってくると、右翼/左翼=自由/平等くらいまでいくっぽい)
・そうすると何についての?という疑問が沸くが、これがまた当初は政治上の統制志向/非統制志向くらいの話だったのが、経済、文化、さらに外交、軍事などの軸が入ってきてチョー複雑になってきている
みたいなことだと思っていればとりあえずいいのではないかしら。