夏休み第2弾は九州に行くことにしました。
特に何が見たいということもないので、食って歩いて誰かと話して、というゆるめの旅。
マイルで福岡空港、乗り換えの合間にちょっと歩いて資さんうどん。
そんで対馬に行きます。たぶん公式的には差し障るのでブランド名は書かないが、レンタカー屋さんに「帰りの便の関係で、追加料金払って1時間延長するのできますか?」と聞いたら、おにいさんが無料で延ばしてくれた。やさすい世界……
わだつみ神社。
烏帽子岳。もこもこ。
宿は厳原(いずはら)という地区です。たぶん島内で一番都会。
イカ釣りの拠点だったらしく、スナックがいっぱいあります。
その地区で育って、スナックで働いたこともあるというコーヒー屋のおにいさんが「夜の仕事が終わると港に行ってイカを釣るんですよ。そうすると1日終わったなって感じになるんですよね」と言ってた。街灯に寄ってくるんで岸壁で釣れるんだそうです。すげえ……
地元の若者をナンパして夕飯食った。
手前の鉄板は「とんちゃん」という地元料理らしい。豚のプルコギ。
釜山から50kmないので、韓国人旅行客がめちゃくちゃ多い。ジェットフォイルで日帰りできるくらい手近な観光地だそうです。
飲食店のメニューは韓国語版があるし、よくあるQ&Aは店員さんがカードにして示している。役所かなんかが接客業対象の韓国語講座をやってる。運転荒いから気をつけてと言われた。
「そのうち対馬は韓国に取られちゃうと思うけど、長崎県は助けてくれなさそう」と2、3人が異口同音に言ってました。
ちなみに対馬は長崎県です。航空便は福岡、長崎とつながってるけど「長崎に行ってもやることないから福岡に行きます」とのこと。福岡まではフェリーもあるが雑魚寝のスペースしか島民割がきかず、結局は飛行機のほうが安いんだって。
車を買うのも福岡。免許は島内に取れるところがあるが、北の端にある比田勝(ひたかつ)の高校生は(遠隔地のためか?)佐賀で合宿で取るんだそう。
「福岡行っても疲れて早く島に帰りたくなっちゃう。今は島を出なくていいかな~」と若者。
北へ2時間近く運転して、環境省の施設にツシマヤマネコを見に行きました。交通事故にめっちゃ遭うらしい島のキャラクター。空港も「対馬やまねこ空港」ですしね。
いた!福岡の動物園生まれで人間でいうと50歳くらいと。まあそのダラダラっぷりに親近感はわく。90年代には全島で100何十個体まで減ったあと、今は回復基調のようです。特徴は眉間の模様と短めの耳。
近くの岬は日本の北西端なんだって。
国境の島ということで歴史的には面白そうだと博物館見学を楽しみにしていたが、臨時休館だった。釜山も見えなかった。
ま、いいけど。比田勝で海鮮丼食って戻りました。
福岡へびゅん。
渡辺通のあたりに投宿して、コインランドリーで洗濯して、山縣屋。
前菜盛り、すごいうまかった。パテと、鶏レバーのスモークが出色。
翌日は朝7時からやってる「いとおかし」でごまサバ定食。このご時世にごはんおかわり無料だが、2300円ならまあそうか。
BGMがうるさかった。なんで大音量でJポップ聞きながら朝飯食わなあかんのか。あとやり手っぽい創業者フィーチャーしちゃう系パンフレットもカウンターに置いてあってアパホテルみたいだなと思いました。アパホテルに泊まってたからか。
味はよかったです。辛子高菜うまかった。銀鱈もおいしそうだった。
地元の人が「福岡はうまいものはいろいろあるが、観光地がほとんどない。まあ太宰府くらいか…」というので太宰府へ。
いま本殿が建て替え中で、行ってみたら仮殿が藤本壮介だった。藤森照信の甚だしいやつって感じ?微妙に左右非対称なのか、撮影位置の問題か。
横の宝物殿でこの建築の展覧会やってんじゃん!と近づいたら閉館日(月曜)。
「ここの庭は落ち着けるよ」と言われた光明寺も閉まっていた。
当然というか、九州国立博物館も閉館日。
ぷんすか怒りつつ、原田で寄り道して「井手ちゃんぽん」。
うまあ。日高屋とえらい違いだ。ってあれはタンメンか。どう違うの?
ホテルに帰ってふて寝、夜は「弥七」で梅酒と焼き鳥。レタス巻き、当然のようにうまい。店員さんみんな若い。
最終日は佐賀へ。福岡の人に「佐賀に行く」と言ったら「なんで?あそこは通過するところ」と言われましたが、違うんだな。カレー食いにいくんですよ。
もと錦糸町にあり、弊管理人の震災後の食生活をキーマカレーで支えてくれた「カレーのアキンボ」は2015年に店主氏の故郷の佐賀に移転。行こう行こうと思っているうちに10年がたってしまいました。
古民家をほぼDIYで改装したんだって。「youtubeとか見て」って。すごくない?
埼玉で美術を勉強して、寿司屋に勤めて、錦糸町でカレー屋になったのが2010年。
「もともと5年やったら帰ろうと思っていた。普通のカレーではないので、佐賀の人口規模と嗜好を考えると県外からのお客さんで商売が成り立つようにと考えていた。なので高速のICから遠くないところで物件を探してたんです」とのこと。
メニューはコース一択8000円。結構な品数が出てきますが、はしょって。
こちらは手前がイチジクと茄子とブルーベリーとイヌビワ(イチジクの原種らしい)。奥はマスカットとパクチーとかなんかもういろいろのサラダ。説明は大半失念。
いやもう、すごい。素材自体の珍しさと、その組み合わせの凄み。この歳になって「知ってる料理のおいしいやつ」ではなく「全然知らない料理」を食べる経験。
こちらはスベリヒユ。検索したら「ちょっとぬめりのある夏の雑草」と書いてあった。奥はオクラとツルムラサキをクミンで炒めたやつ。右はナシのヨーグルト和え(もちろんなんか忍ばせてあるが説明失念)。
ほかにも冷やした冬瓜とかタイカレーっぽいスープとか佐賀牛カレーとガレットとかいろいろ。飲み物は水出し緑茶から始まって、お茶にブッシュカン(仏手柑)や米酢が入ったドリンクとか、コーヒーにいろいろ細工が施された炭酸飲料とか、もうとにかくすごい。
メインの野菜カレーは懐かしい器に載ってました。錦糸町から持ってきたんだと。
豆のカレー、ピクルスつき。全体が優しい味です。当然混ぜると異変級の相乗効果が生まれる。錦糸町にいたときはスパイスを追求していたが、それも結局は生産され輸送されてきた「商品」だなと思うと今はそこまででもなく、むしろ野菜(植物)に興味が尽きないのだと。
デザートは醤油の絞りかすとポポーという果物のアイスでした。今アイスに凝ってるんだって。
奥にぼやんと見えるジャガイモみたいなのがポポーです。柿のような味。近所の農家さんが作ってるんだって。アイスも果物もどちらもまんま小惑星だな。福岡から高速バスで1時間10分、佐賀駅から路線バスで30分。そこにあったのは野菜と果物の宇宙であった。
わりとさくさく食べて2時間。もともと昼、夜2組ずつしか客をとらないとどこかで読んだが、この昼のスロットは弊管理人ひとりでした。目の前で店主氏がこちらのペースを見ながら料理してくれる。これすごい贅沢ですね。
終始おしゃべりしながら食べ続けて満腹になりました。こんなに喋る人だったっけ?
10年余りですごい進化してました。また何年かしたらどうなっちゃうんだ。そのうちまたきます~
佐賀は空が広かったです。
福岡に戻って空港でラーメン食って帰りました(健啖)。いい夏休みだった。