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2022年04月 アーカイブ

2022年04月28日

WVえんそく

ウエストバージニア州という海なし県みたいな小さい州がありまして、人口約180万人(弊管理人が住んでる東隣のバージニア州は865万人)、産炭地といかにも寂れた感じですが、アパラチア山脈を抱え、南北戦争の史跡も多く、のどかな観光地のようです。

で、その東端(つまり首都圏に近いほう)、ハーパーズ・フェリーに行ってきました。
目的はハイキング。

家からゆっくり走って1時間20分くらい。こぢんまりした街はこんなとこ。
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ポトマック川とシェナンドア川という二つの川が合流するところに位置していて、昔から交通の要衝だったそうです。線路があるので鉄道で行っちゃおうかと調べましたが夕方着とかですっごい不便。何のための線路……と思ったら貨物列車が結構頻繁に通っていました。
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街の外れから、線路と歩道がついてる橋を渡ると対岸に行くことができます。
(この写真は帰り)
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こんな感じの岩山の上を目指します。といっても標高は200m弱で、在宅しすぎて弱った足腰でも特に苦にならないような散歩道です。
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青い花がそこかしこに咲いてました。バージニア・ブルーベルという北米の野草だそうです。日本は連休でネモフィラを見に行ってる人たちの写真をインスタでよく見かけますが、なんか対抗できた気がします。
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そんで、街を見下ろす岩場がゴール。
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持ってきたドーナッツ食べてまったりしました。あとは東京と仕事のやりとりをしていました。
さらに街に戻ってフィッシュ&チップスも食べてしまいました。
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さて帰りましょう。来る時はハイウエイでひとっ走りでしたが、帰りはワイナリーが並ぶ下道を行きます。この辺、都市部を離れるとなだらかな丘が広がっていてきれい。
適当に選んだここはTwo Twisted Post Winery。
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音楽のライブみたいのをやっていて、芝生でお客さんたちが飲んでました。弊管理人は独りで運転なので、飲酒運転にならない程度に味見して1本買いました。20ドル。安いと思う。
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日曜は雨の予報なので、これ飲みながら勉強したいと思います。

* * *

先週のピッツバーグもそうでしたが、だんだんアメリカを日本のように歩けるようになってきた感じがします。「ここの仕組みはこうだろう」という予想が当たる。視界に入るもの全てに注意をしなくてよくなる(「なんとなく」歩ける)。ほいほいっと仕事のメールが書ける。独りでレストランに入って注文して食べてチップ払って出てこられる。
つまり社会生活を送るための基礎知識が増え、認知リソースが節約できるようになり、いちいち疲れなくなってきたということ。
しかし慢心すると穴に落ちるので気をつけます(心の安寧が訪れないタイプ)。

* * *

平日はすごい量の英文やミーティングを処理しないといけないのですが、otterという英語の書き起こしアプリとDeepLで片っ端から日本語テキストに変換して横着しているせいで、たぶん英語力はあまり上がってません。日本語でざーっと読んで大切なところを見つけたらそこだけ原文に戻ってちゃんと読む、という省力化がAIによって可能になり有り難い限りなんですけど、これってここ2年くらいで出てきたツールらしいんですよね。それ以前の人たちって一体どうやって仕事してたのか。震える。

ということで使えるとかっこよさそうな今日のイディオム。
zero in on ~に照準を合わせる

2022年04月24日

ピッツバーグ

首都圏から北西に340kmくらい、ペンシルベニア州ピッツバーグに行ってきました。
移動は飛行機。前任者と話すついでにそのことを言ったら「え?車で行けるじゃん」と言われました。確かに。でもまあいいや。

今回は家からDCのレーガン空港まで地下鉄。土日なので2ドル。やすい。ただし乗り換えの接続が悪すぎて、乗車してる時間は30分ないのに50分くらいかかった。
ピッツバーグ国際空港からダウンタウンまでは50kmくらいあるんですけど、乗り合いシャトルは30ドル、ウーバーも50ドルくらいするところ、公共バスが走っていて2.75ドル。これもまた安くて助かります。しかしシートベルトなどない普通の路線バスがハイウェイを時速100kmくらいですっ飛ばすのですごい怖かったです。

ダウンタウン到着は昼ちょい過ぎ。バスを降りたら黒人がたむろってるメインの通りだったのでさっさと川辺に出ました。きれい。
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橋がとにかくいっぱいあります。鉄鋼の街で第2次大戦中は昼間も暗いくらい煙もくもくだったようですが、今は「住みやすい街ナンバーワン」なんだって。人口30万、確かに市街地は適度にコンパクト、繁華街も大学病院もあるし、よさそう。

アンディ・ウォーホル美術館に行きます。最寄りの橋のニックネームも。
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7階建ての高さ方向に長い建物です。入るとマリリン&ウォーホルがお出迎え。
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線画、シルクスクリーン、映像といろんな媒体で作品を量産した人ですが、実際に見てみると弊管理人はドローイングがとても好きでした。たぶん影響を受けた江口寿史の漫画を小さい時から読んでいたからだと思う。猫とか人とか、便器なんかの静物でも、線に肉感がありながら軽くて洒脱だった。
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TDKのコマーシャルは80年代の初頭で、あの時のぼわっとした髪型が印象に残っていましたが、実は20代から髪が薄くなってきたのを嫌ってずっとウィッグを着けていたのだそうです。あと、ぼてっとした鼻も嫌だったらしい。パスポート写真を自分で修正して作品にしたこともあったという。
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とにかくクライアントからの発注は精力的にこなしていっぱい作品を残し、当代の芸術家とも積極的に交流し、メディアにも露出した。自分で番組も作った。収集家でもあって、コレクションは5万点にも上るとのこと。
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亡くなった時(1987年2月)は弊管理人は小学校低学年だったけど覚えてないんですよね。胆嚢の手術時の合併症。全く不慮の死だったよう。
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いや楽しかった。↑この3人はただ休んでるお客さんです。

ちょっと足を伸ばして、ストリップ・ディストリクトという一画を散歩しました。
倉庫街を改装してご飯屋さんとか土産物が並んでいるのですが、どこも混み混み。
その外れであまり人の入ってなかったフォーのお店で昼飯にしたらとてもおいしかったです。

予定がどんどんずれてこの旅行に食い込んだ面倒な仕事が、さらにずれたおかげで時間がフルに使えることになったので、さらに足を延ばしてインクラインに乗りに行きました。
こういうやつ。
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崖の上の住民の利便のために作られた線とのことです。
眺めは超いい。
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ということで宿に向かいます。電車で。
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乗り物はバスも電車もインクラインも2.75ドル均一で分かりやすい。コネクト・カードというSuicaみたいなやつが1ドルで買えて、使う回数分だけチャージすればいいので全く無駄がなく、使いやすくてよかったです。
ホテルはホリデイインという2万円くらいするところで、設備は特に不満はないんだけどサービスが行き届かずぶっきらぼうで、なんかこの国は人のファクターがだめだという仮説がまた強化されました。
夕飯はグーグルマップで近くを探したらSubba Asian Restaurantというところが見つかったので行ってみました。
ネパール、インド、中華、そしてなぜかブータン料理がメニューに載っていて、ブータンに一瞬惹かれましたが、検索してみたらあまり好みでなさそうだったのでネパール。普通に魚の定食にしました。これだ。
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たぶん店のオヤジは中国の人だと思う。スパイスじゃなくて主にソースで味を作ってるターリーだったのでそんな気がした。顔も東アジア、あとご飯の器も東アジアだろうこれは。でもちゃんとおいしくてお腹も膨れたので大いに満足しました。店内は南アジアっぽいおにーちゃんや家族連れが密やかに楽しく食事をしていて、なんか多分いい店なんだろうここは、と思いました。

明けて日曜。
観光したかったところは土曜に行けてしまい、でもまあ時間あるしということでバスでふらっと行ったカーネギー博物館・美術館。
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派手じゃないんだけどすごい物量。
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古代エジプトの物品も結構充実していて、ミイラまであった。
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しかし、博物学とコロニアリズムの関係を直視し、この後予定しているリノベーションではそこをちゃんと明示しつつどんな展示ができるのかを考えます、という言い訳のパネルもあって、そこは大英博物館が「ここに持ってきたおかげで破壊と風化を免れました」と完全に開き直っていたのと違って好印象。
あとは美術館もざっと見て出ました。印象派がそこそこの点数あり、現代ものも多く、見応えありました。工業デザインを扱った特別展もよかった。鉄鋼王カーネギーの財力を思わずにいられません。図書館やら大学(カーネギーメロン大)やら、とにかく街中カーネギー。
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それにしても全館写真OKなんだよね。それどころか「撮影お勧めしてます。ネットでシェアしよう!」とかいっててすごい。京都のケチな寺あたりとは違う。

さて、バスでダウンタウンに戻って、今回のメイン、ハインツホール。
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外見はなんてことないコンサートホールなんですけど、中はこれ。すごくないすか。ケチャップ屋なのに。98%はちゃんと綿パンにジャケットみたいな格好していて、ジーパンのアジア人(=弊管理人)はバーカウンターでオレンジジュースくださいとか言ってて完全に浮いていました。昼飯を逃して喉が渇いてたんだよ!
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で、今回の目的はブロンフマンがソロを務めるラフマニノフのピアノ協奏曲3番。2004年に東京であった伝説的な公演を見逃してからずっと機会がなかったのですが、アメリカ来てみたらこの人いろんなところでやってるんですよね。
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前から10番目の真ん中左の席を取りました。ブロンフマン、18年たってだいぶおじいちゃんになったけど、最初の数小節で既に胸アツです。1楽章のカデンツァは相変わらず圧巻で、椅子から体を浮かせる勢いで打鍵するとスタインウェイの蓋がばたばた揺れる。ものすごい張力で巡らせた鉄線と木の工業製品を限界まで使い倒すような演奏です。1楽章が終わったところでブラボーが飛んでしまいました。ブロンフマンもちょっと頷いて応え、2楽章へ。
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普通の協奏曲や交響曲だと2楽章は箸休めですが、ラフ3はメロメロキッスな曲調ではあるもののきちんと音は動いており、そこからさらにネジを巻いてアタッカで3楽章へ。
今回やや残念だったのはピッツバーグ響がブロンフマンのドライブを制約するような鈍重さだったことで、もっと機敏にソロイストに反応すれば最高潮でフィナーレに持っていくことができたと思う。ブロンフマンはオケを引っ張ろうとしながら、しかし置いていかないようにギリギリの線を狙っていたはず。
コンサートピアニストって何だろうと友人と話したことがあります。たぶん、内向的な洗練よりも聞き映え、というのが弊管理人の答え。その意味ではブロンフマンは典型的なコンサートピアニストで、ぞっとするようなピアニシモはないけど、正確な爆音で観客を巻き込み、最後の音を打った瞬間に観客を総立ちで叫ばせた!

弊管理人の18年越しの課題もこれで終了。後のマーラーはうとうとしながら聴いて、終了後はバスに飛び乗って空港に行きました。(余談だが、空港バスがバス停を通り過ぎようとする気配を感じ取って、横で並んでたおっちゃんがめっちゃ手を振って止めた。こういう瞬発力が欲しいものです)

最後はこれ。Primanti Brosの「ピッツバーガー」というサンドイッチと、Yuengling(中国語っぽいがドイツ後で「若者」らしい)という地元ペンシルベニアの老舗ビールで独り乾杯。
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離陸とともに寝て、DCに戻りました。
うん、行ってよかった。ときどき旅行しないとね。

2022年04月17日

復活したり過越したり

弊管理人はバレンタインとか関係なくチョコレートを食べるのですが、どうも3月くらいから店頭に卵形のチョコが増えてきて、いやハーシーズの卵とかおいしいので有り難く食べてましたが、何だろうと思ったらイースター/復活祭でした。

そういやニュージーランドに留学してた時も、あちらは3月に学期が始まるので、一通り授業に出てちょっと疲れた頃にイースター・ブレイクといって1週間くらい休みが入って助かったことがありました。当地も世間はイースターまでの1週間(聖週間)はお休み期間のようで、お子さんのいる同僚は交代で休んで家族サービスをし、金曜(聖金曜日=受難と死の記念日らしい)は役所の動きがぱったり止まり、からっと晴れた土日は多くの人がお出かけしていました。

ようやく到来した春を祝う機会であれば他の宗教でもお祭りがあるわけで、ユダヤ教は金曜の夜が過越の祭(英語だとPassover)だったようです。出エジプトの前にモーセとファラオが交渉してたら、エジプトに「十の災い」が起きて、そのうちの一つ「人と家畜の初子が死ぬ」に関しては子羊の血を家の入口に縫っておくと〈主〉の襲撃が過ぎ越すというやつ。

当地大統領は金曜と日曜に声明を出していました。政教分離どうなってるの?と思いがちですが、合衆国憲法修正第1条が「連邦議会は国教を樹立し、あるいは信教上の自由な実践を禁止する法律を制定してはならない」としていて、復活祭おめでとうと言うのは信教上の自由な実践なので憲法的にはオッケ、ということだそうです。フランスのライシテ、すなわち公的空間からの宗教色排除とは全く違う「政教分離」のあり方(下記・西山本)。

閑話休題、そういうタイミングだとは知らなかったのですが、今月初めに時間指定チケットを取ってあった、DCにある「ホロコースト博物館」を見てきました。
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どぎつい写真は載せませんが、エレベーターで4階に上がって降りてきながら見る展示は、扉が開いた瞬間からショッキングなパネルで始まり、ナチスの政権獲得から焚書、水晶の夜、周辺国への侵攻とそこでのユダヤ人虐殺、「最終解決」、解放、戦争裁判、その後のポグロムとイスラエル建設、そして「アメリカには何ができたはずか?」まで、映像と写真、物的資料を駆使して問いかける大変濃いものになっていました。
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現在「ジェノサイド」と名指された東欧事変の最中。1940年代初頭には既にドイツでやばいことが起きているという情報はもたらされていたのに、アメリカはもう戦争に関与しません、と言い切ってしまったルーズベルトの映像がバイデンに重なりました。

アウシュヴィッツのでかい模型もあります。
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かねて行きたいなと思っていたところですが、世界は疫病と戦争でそれどころではなくなってる。

ユダヤ人を運んだ車両。
スティーヴ・ライヒの「ディファレント・トレインズ」が脳内再生されます。
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ガス室の扉もあった。
展示品蒐集への執念を感じます。
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その辺の経緯をまとめた本が売店にあったけど買いませんでした。
そのかわり、すっごい重いわりに20ドルの図録を買いました。たぶんホロコーストに関する手近なリファレンスとしては決定版だと思う。いや来てよかった。

外は青空。芝生もいつの間にか緑になってた。
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今日(日曜)は日中でも12度とかで肌寒いんですけど、先週半ばは25度で上着いらずでした。夜は20時くらいまで真っ暗にならないくらい日が長くなりました。
日光に照らされた街が春っぽく香り、街に人が戻ったせいか他人の体臭を感じることも多くなって、嗅覚で社会が動き始めたことを知る今日この頃です。

* * *

食い物いくつか。
アジアンスーパーのあるショッピングモールで、ちょうど昼時だったのでポパイズ・ルイジアナ・キッチンというチェーンの店に入りました。
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チキンサンドうま。引っ越してきた当初に不動産屋さんと昼飯したの、確かここだったと思う。「私ここ好きなんですよ~」と言われて「ええおいしいですね~」と言いながら食べたけど、味はあまり覚えてなかった。多分、考えることがいっぱいありすぎたせい。
チキンサンドとコールスローと飲み物で10ドル。日本円で1260円と思うとおいおいっていう値段ですが、もはや換算しなくなってきた。換算し始めると何も買えないやと諦めたのと、他のものとの比較で値段を見定めるようになってきたためでしょう。
ちなみにセットで1000キロカロリーほど。こわい。

あと土曜の夜に、アジアンスーパーで買った日本のルーでカレーを煮ました。
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大阪で荷出ししてからだから少なくとも8カ月ぶりか。いや、9月に実家で食べたっけな。いずれにしてもめちゃくちゃ久しぶりです。懐かしくて食べ過ぎた。うまいんだけど、鍋を洗うときにすごい量の脂を食ってることを痛感します。タイカレーとかカレー粉で作るやつだと全然すっと洗えるのとは大違い。

あと、博物館から帰ってきて夕方小腹が空いたので、おやつとしてカーチョ・エ・ペペの偽物みたいなのを作りました。イタリアでも「真夜中のパスタ」として小腹が減ったときに食ってしまうやつらしい。パルミジャーノをすりおろして使うのが理想だが、そんないいものは今ないので代用。背徳感はトマトで軽減します。
うま。やっぱり背徳感はあった。
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ところで、冬の間寂しかったスーパーの棚が彩りを取り戻しました。供給網、そんなに外的要因でだめになったり大丈夫になったりするのでいいのかなあ。あと、東欧の事変からこっち、パスタが高くなった気がします。ついでにガソリンは露骨に高くなって政治問題になってますが、気の触れた隣人から攻め込まれてる人たちが聞いたら「こっちは生きるか死ぬかじゃ」とかいって呆れられるわな。

* * *

仕事の予定がやや疎な1週間だったため、この隙にと今までためてきた仕事を一気にほぼ完成形まで持っていきました。木、金あたりでちょっと寝不足になった。金曜夜は最近では極めて珍しいことに、日付が変わる前にQPキメてから寝たら大分回復した気がする。土曜にシフトが入っていてまた朝起きしないといけなかったからなんですが、実はシフトを作った人のミスで、本当は休みだったことが土曜昼前に判明。なんなら得した気分でだらだらしました。

毎日憂鬱な時期が冬とともに過ぎて、朝は特に何も考えずに起き、仕事に入れるようになっています。しかし息抜きすると足元を掬われる気がして(←心の安寧が訪れないタイプ)、次の方向性を模索しています。

* * *

■西山隆行『アメリカ政治講義』筑摩書房、2018年。
■千葉雅也『現代思想入門』講談社、2022年。

どっちもよかった。

2022年04月10日

休む週末

なぜかシフトが入っていない週。しかし仕事は詰め詰めで疲れました。全体的に沈滞した気分でした。こういうときは飯を食うのが面倒、という症状が現れます。ただ、こっちに来た頃のように、朝起きて「また一日が始まってしまった」と落ちるほどではない。

ぱっと終わるべき机の上の仕事が、横槍によって妙に手間のかかるものに化けました。これだったら出張して現場で対処する手もあった。でも出先でやるには調べ物が多かったのでDCにいてよかったという面もあります。つつがなくやり終えて振り返るに、やはりぱっと終えてよい仕事だった(当初の値踏みは正しかった)との思いを強くしました。

えいやで出掛ければ行けた出張に「行かない選択」をしたことに若干後悔したのもあり、金曜に学術方面で開かれた対面のフォーラムには無理矢理行って5年ぶりの人に挨拶し、あと新しい人と名刺交換してちょっと取り戻した気分になりました。

金曜深夜まで仕事をして、土曜は早起きして仕事フィニッシュ。ねむい。
でもこのまま土曜を終えるのも勿体ないので、ペンシルベニア通りというところでやってる恒例行事「桜祭り」を見に行きました。有料イベントらしいのですが、仕事先から招待券をいただいていました。
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桜はとうに散ったものの、そんなことはどうでもいいくらい人わんさかで、食べ物のブースには長蛇の列ができており、アニメと着物と侍、あと若干の高速鉄道、みたいな煮崩れ寸前のジャポニズムを目撃。ブースにいた招待券くれた方に挨拶してぐるっと回って会場を出ました。

ケネディセンターにエレーヌ・グリモーが来てラヴェルのピアコンをやるというのでそこそこ心が動きましたが、疲れてる感じがしたのでやめて帰宅。早めにシャワーを浴びてご飯を食べて、西海岸に最近引っ越してきた大学時代の友人と長話して寝ました。

当該友人、4年前まで西海岸に住んでいたので問題なく新生活に入っていると思っていたら、車のバンパーをさっそく凹ませたとか、何かの手続きが進まないとか、離婚後の養育費支払いと新しい彼女の経費でお金がないなどで若干落ちていたそうで意外でした。電話してきたのも日本語でおしゃべりしたかったかららしい。みんな何かしら背負ってんだね。

明けて日曜朝は、東京とつないで人事考課の面談です。
査定は形ばかりではあるものの、上司ととっくり話す半年に一度の機会でもあり、なんとなくそれなりに話したいことを用意して臨みます。今回の考課担当は最近管理職になった、弊管理人が初任地の千葉で最初についた先輩で、お互い「この組み合わせで面談とかウケますね」とか言いながら喋ってました。

DC赴任経験もある人なので、仕事迷子状態の弊管理人は「何が求められてるんですかね」的なことを随分聞かせてもらい、さすがというか「あ、なるほど」となるような示唆がいろいろ得られてよかったです。ま、ゆっくりでもいいからいろいろ考えながらやることにします。

休日よくやるブランチ。いつもはほうれん草で巣ごもり卵をやるんだけど、葉物を切らしていたため緑色に欠ける。
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日曜に至ってもまだ疲れを引きずっていたので、弊管理人の覚醒剤ことQPコーワゴールドをキメてからアジアンスーパー(家から近いエデンじゃなくて20km近く離れたH Martのほう)に買い出しに行ってきました。あとは諸々のメンテナンスをして、この週末は終了。

土日は日中10度ちょっとしかなくて肌寒かったです。このあと暖かくなるもよう。
この後はうって変わってシフトぎちぎちの1週間になります。ただし予定はそんなに入ってない。

* * *

大阪時代から気に入ってコーヒー飲むのに使っていた砥部焼の厚手の焼酎グラスにひびが入ってしまい残念。洗ってるときにお椀の上に落とした時だろうな。しかし捨てるに忍びなく、未練がましく戸棚の上のほうに置いてあります。

あと、海外給与の改定があって、インフレを反映して日本円での支給総額が若干上がったものの、円安によってドルでの受け取りが昨年より月$150くらい目減りしました。ファー!

* * *

当地、優秀な人は多分優秀なのだけど、飲食店とか小売、役所、郵便も、とにかく「人」が関わる仕組みが片っ端からだめで、ネットでできる商行為や手続きがまず信頼できると感じています。

テレビを見ていると、車のディーラーを訪ねたおねえさんが店舗に入っても誰からも目を向けられず、呼びかけても塩対応なのに辟易してネットで車を買う、というCMをやっていて、たぶん人が関与するサービスに対する不満は弊管理人のようなよそ者に限らないんでしょう。

日本にいるとなんとなくネットで全部進めるのは不安、店舗なりコールセンターなりで人と話してあれこれ聞きながらやりたいという気がしていたけど、それとは真逆で、今なら郵便で届いた本物かどうか分からない紙の請求書に対し、期日までに届くかどうか分からない郵便で小切手を送るより、証拠の残るカード決済のほうを選びます。
実際このところUSPSという郵便サービスで遅配や配達されない(!)というインシデントで支払いをしようとした人が遅延金を請求されるような事案が相次いだらしく、今使っている駐車場の会社から「できればカード払いに移行してください」という手紙が郵送で(!!)届きました。弊管理人は元よりカード払いなんですが……

AIが仕事を奪う、みたいな話があってもほんとかな?と若干眉に唾していましたが、情報技術に仕事を奪われるのは当地の労働者みたいな人たちだと思えば納得する。
話は違うけど、ゲイリブとか動物福祉とかもこっちにいると「あ、こういう概念が強烈に必要だったんだろうな」と思うことがあります。

* * *

大きな声で抑揚をつけてはっきり発話すると英語が通じることが多いので、声が大きくなってきたという自覚があります。大阪で話の通じないおじさんたちにこちらの考えを伝える必要があまりに多くて、小学校か塾の先生のような話し方になってきたのとほぼ同じ現象。

* * *

きょうの英語。
こちらの大統領が何かの質問に答えて「1点目は、2点目は、」というときにNumber one, ... Number two, ... とめっちゃ言うんですけど、それと同じかそれ以上によく使うのがbottom line です。Look, bottom line is this: (大切なことはですね、)とか。

これは日常会話ではあまり聞かないので、たぶん偉い人の演説とか政治方面の若干特殊な世界で使う言葉なのかも。

今月、政府を去る人が記者会見で、最後にいろんな人へのメッセージを述べたあと

  So bottom line, thank you.

と締めくくりました。そんな使い方するんだ。へえ。話を生真面目に要約する時のフレーズ
なのかと思っていましたが、そうじゃなくて、若干とっちらかってても強引にまとめに持っていく、「というわけで」みたいな言葉なんでしょうかね。

2022年04月03日

ピアノ

電子ピアノ、持ってくればよかったかもと思いながらこちらのアマゾンで物色し、結局買いました。大物の持ち物をあまり増やしたくなかったんだけど、この後も長いし。
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ものはカシオのCDP-S150。コンパクト、安い(にしても随分安いなと思ったら一時的に値引きになってたようで$349.99)。一応ウェイトつきのハンマーということで、これは数百ドル足しても著しく向上するものではないと判断し、余計な機能のないモデルを選びました。

去年の8月に大阪で荷出しをしてから7カ月余り鍵盤に触ってなかった。大学に入って実家を離れたときはピアノサークルに入ったし、就職したときも(確か)わりと早く電子ピアノを買ったので、これだけ空いたのは初めてかも。

タッチも音ももちろん本物とは大分違うが、鍵盤はつるつるのプラスチックではなく木の雰囲気を出そうとしているし、それなりの重さがあって満足してます。昔の日記を見たら、20年以上前の就職後に買ったヤマハのは10万円くらいしていたようで、弾いてみた感じそれには決して劣らないので、値段は随分下がったんだなと思いました。ちなみに日本に置いてきたローランドは2009年に買ったもので確か14万くらい。それともそんなに変わりません。

小曲の楽譜をいくつか印刷して少しずつさらっています。初日は破壊的にダメという感じでもなく、しかし細かい動きと正確な打鍵は相当弱っていました。が、6日目に入って指はだんだん動くようになってきました。家にいると時々鍵盤に触るので、やっぱり買ってよかったことにします。

* * *

これまで弊日記に登場していたアジアンスーパーはH Martという韓国系のところなんですが、近いといっても車で30分とかでそこそこの距離があります。
今週は、近所に住んでる上司に教えてもらったEden Center、エデンの中心は車で8分。
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  キャンユースピーク ベトナミーズ?

的な質問が飛び交うベトナム空間でした。フォーのお店とか、なんか甘そうなお茶のお店とかが並ぶショッピングモール。スーパーはH Martと違って入ると完全にアジアのにおい。
日本のものはそれほど多くない、インドのスパイスもそんなにないが、中国とか東南アジアの食材はすごいいっぱいある広いスーパーでした。ちょっと野菜が欲しい時とかはここかな。

* * *

なぜかベトナムづいており、
木曜日の午前中にDC市内で同僚とちょっと仕事をして出てきたら、ちょうどお昼の時間帯。
「時間あったらフォー食べません?」と言われ二つ返事で行きました。
引っ越してきたころからよく名前を聞いたアーリントンの「Pho75」。大/小とトッピングを選んで待つなり。
きた。
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肉充肉充。食後のアイスベトナムコーヒーもよい。

* * *

日曜は何度寝かした末にちょっとDCの博物館を見に行きましたが、やたら人が多かったのと、疲れている感じがしたので、あまり長居せずにマクドナルドで買い食いして帰ってきました。

* * *

夏時間のせいもあって19時過ぎまでほんのり明るく、疫病がひと落ち着きして職場周辺のオフィス街にはあからさまに人が増えました。出掛けられるということは出掛けないといけない、しかし出掛ける先は自分で企画しないといけない、それを面倒と思うタイプなので、よかったり悪かったり。というか有り体にいうとちょい悪い。

あと、例年の夏のように睡眠時間が短くなってきました。寝室は遮光カーテンだし、室温もほぼ一定なのにどうしてだろう。睡眠時間が短くなるときというのは体調がわりといいときなので、そっちが理由だろうか。というか体調がいいのだろうか。にわかに信じられないけど。

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