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三鷹とmitaka

よく行く飲み屋で知り合った若者が三鷹在住で、「インスタレーションとかやってます」などというので「三鷹といえば天命反転住宅ではないか」と水を向けたが行ったことがないと。
ちょうど見学会に空きがあったので友人と3人で行ってきました。
荒川修作+マドリン・ギンズの正式名称「三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー」。見学会の最後にもらえるパンフレットによると

この住宅は、ヘレン・ケラーが身体を使い、自然と環境・人間の関係を知ったように、あなたの身体のもつ大いなる希望を見つけ、生命の無限の力を体験できる、まったく新しい住宅であり、命の器なのです。

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ウェブサイトから申し込んだときに、代金2700円を「お釣りのないように」払うようにとの注意書きがきて、カードも使えず丁度払いを要求するとはと憤り、嫌がらせのため全部100円玉で持っていったのですが、受付で聞いたところでは一応のお願い程度だったとのこと。係の人が硬貨を取り落としたりしながら数えているうちに後ろには列ができてしまいました。ゴメンネ(てへ)

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・2005年築。現在、一般にアクセスできる荒川+ギンズの建築は岐阜の養老天命反転地(2012年に行った)と岡山の奈義町現代美術館内の作品ですが、ここの特徴は「住む」ことができる点
・9世帯あって、5部屋が住まい用。ショートステイ用の部屋もあり
・床は凹凸のあるざらざらしたコンクリート造り。「最も安全なのは裸足です」とのこと。人は自然と凸部が土踏まずに当たるように歩くようになる。床が人間に使い方を教えている
・床と天井には傾斜がついていて、どこに立つかによって空間の感じ方が変わる。高いところに立って話していると、なんとなく「上から目線」な感じがする。中央の台所は一段低くなっておりアンフィシアターのよう。説明の方はそこに立って話すのが好きだと言っていた
・収納らしい収納は畳の間の下にある抽斗だけ。あとは天井に取り付けられたリングにS字フックをつり下げるなどして荷物をかける。こうしているうちに「空間の使用感」が発生する
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・色について。14色使っており、色の専門家の見学も多いが、補色を隣り合わせに使うなど、彼らのセオリーのようには配色されていないのだという
・荒川に色使いのコンセプトを尋ねたところ「どこから見ても6色以上見えるように」という明快な答えが返ってきた。多色がいっぺんに目に入ると、人は色数を数えずに「カラフル」ととらえるようになる
・その意味は2つで、色ひとつひとつに(「ビタミンカラー」など)意味を持たせないこと。また、自然がまさに多色でできているカラフルなもので、それに近いということ
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でもそういう身体性みたいな話って、いま現在から考えるとちょっと時代を感じるというか、2005年時点でもそれ最先端だったのでしょうか……などと考えてしまいました。素人としては部屋のいろんな仕掛けはとても面白いですし、説明の方もお上手だったので十分ですけどね。

説明の方が「建物の前にuglyなアパートができて、外から全景が見られなくなった」とお嘆きでした。確かにつまんない建物と電柱に遮られてます。

見学者の中には、養老に行ったことのある人がちらほら。奈義町の経験者もいて、今度はそこに行かなきゃなと思いました。あと、荒川に触れたきっかけは『意味のメカニズム』だというマニアがいて、それ読んでみようとアマゾンを検索しましたが、中古15000円で断念。

* * *

上記が昼ちょっと過ぎくらいまでの見学会で、近くのマックで飯を食ってから、今度は国立天文台に足を伸ばしました。徒歩10分くらい。
14時くらいまで太陽観測やってる日だと思って行ったら、7~8月は正午までなんだって。うへえ
ということで若干残念な気分で構内を彷徨っていると、ちょうど4D2Uシアターの空きが3人分あったので、どんなもんかなと思いながら入ることにしました。

3D眼鏡をかけて、観測的事実と科学的推定に基づいて再現された宇宙の中をぐるんぐるん動き回る「旅するプラネタリウム」みたいな感じです。無料なのにすごいクオリティ。説明のおじさんは継続雇用の方でしょうか、ちゃんと最新の情報まで話していて勉強になりました。同行者は「ちょっと速くて難しかった」ということで、すこーしアドバンスかな。

* * *

ちなみに出掛けた土曜の気温は確か29度で、最高に過ごしやすい夏の日でした。これ37度とかだったら見学は辛かったろうし、天文台まで歩こうという気にもならなかったかもしれない。
いろいろと偶然に助けられて満足度の高い週末の1日になりました。

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2018年08月20日 10:44に投稿されたエントリーのページです。

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