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2017年11月 アーカイブ

2017年11月30日

下旬まとめ

駒込で昼過ぎの仕事があったついでに寄った「きなり」。
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盛り付けがアレであまりおいしそうに見えないのですが、実際は芯の強い白醤油がとてもおいしく、一緒に頼んだ生姜の香りが効いてる炊き込みご飯に寄り道してから戻ってくるとスープが際立って、さらに満足しました。

* * *

金沢に1泊で出張してきました。
長野以遠の北陸新幹線も、金沢も初めて。

21世紀美術館は特に面白くなかった。

「ノーサイド」っていうところで食べたハントンライス。
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オムライスと白身魚のフライが何のシナジーも起こしてない。
むしろ「針の上で天使が何人踊れるか」的な空想を喚起する。(しない。)

「GOEN」ってところのおでんとお寿司。
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まず寿司だけ出てきて飲み物が来ないし、おねーさんはレジ操作も接客の仕方も把握できてないし、お通し400円とかで会計の2割を占めてるしで、素材はいいけど人と仕組みが全然だめだった。

新幹線で食べながら帰った中田屋のきんつばは謙抑的な甘さで好きでした。

仕事はあまり気が進まない感じで行きましたが、行ったら行ったで勉強になりました。

* * *

■ダニエル・ソロブ(大島義則他訳)『プライバシーなんていらない!?―情報社会における自由と安全』勁草書房、2017年

■都甲潔、中本高道『においと味を可視化する―化学感覚を扱う科学技術の最前線』フレグランスジャーナル社、2017年

2017年11月19日

大山の紅葉

2013年以来、4年ぶりに大山の紅葉を見に行ってきました。読まねばならない資料があって、しかし家だとぐうたらしちゃうので、電車で読もうという変な動機で……

前回はハイキング友達と行ったのですべて歩きでしたが、今回は一人のため横着してケーブルカーで阿夫利神社まで行き、そこから富士見台(富士山は見えなかった)まで登って降りてきました。ふもとは晴れでしたが、山はあられが降っていました。
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大山寺で紅葉を見る。
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混んではいたものの前回ほどではなく、ゆっくり見られました。
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↑色合いはいいがこわい絵になってしまった(笑)
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日没から20時までライトアップされて、それもまたすごくいいのですが、だいたい満足したのと、1時間ほど待たないといけなかったので帰りました。今日は新宿発11時だったので、明るい時間とライトアップをさらっと両方見て帰るなら14時発くらいでいいのかもしれない。

帰ってきて、ご飯を炊いてTKGを食べ、バブのお風呂に入り、洗濯して、やりきった感じの日曜日になりました。今週はちょっとやることがいっぱいありそうなので、リフレッシュできてよかったです。

* * *

去年のいまごろ弊管理人がアフリカに出張した案件で、同僚がヨーロッパに出張していて、そのお手伝いをちょいちょいしていました。で、ピークが金曜にきて、午前2時前まで仕事して、土曜はその反動で疲れてました。

世の中が年末感をずいぶん出してきた感じがしますけど、例年より早くない?そんなことない?

2017年11月05日

チャヴ

■オーウェン・ジョーンズ(依田卓巳訳)『チャヴ―弱者を敵視する社会』海と月社、2017年

公営住宅に住んでいて暴力的、10代で妊娠し、人種差別主義者でアルコール依存の労働者階級の若者。憎悪を込めて彼らを指す「チャヴ(Chavs)」は、もともとはロマの言葉で「子ども」を指す「チャヴィ」からきた言葉だが、Council Housed And Violentの略語だ、なんてデマもある。

イギリスにおいて「階級」はなくなった、とたびたび主張されてきた。だが、そう考えてはいけない。いまでも極めて不平等な社会だし、近年その度合いは強くなっている。「階級の政治」から「アイデンティティの政治」への転回を経た世の中で、黒人や同性愛者を揶揄すれば相当な批判を受けるが、白人労働者階級は心置きなくクサせる。人種としてはマジョリティだし、”階級は存在しない”以上、彼らが苦境にあるのは彼ら自身の「向上心の欠如」によるものだということになる。こうしてアンダードッグは自分を責め続けるよう仕向けられる。

チャヴ・ヘイトの起源は1980年代のサッチャー時代に遡る。サッチャーは「階級は社会を分断する共産主義者の考え方だ」と切り捨て、集団ベースの問題解決ではなく、個々人の自助努力を称揚した。為替管理の緩和とポンド上昇によって金融業を繁栄させ、そのかわりに輸出が生命線だった製造業と工業労働者コミュニティを破壊、労働組合をこてんぱんに叩いた。結果、肉体的にはきついが、それなりの払いと安定があって誇りをもてる働き口が激減し、ただでさえ少ない雇用はスーパーやコールセンターに集約されていった。その帰結は大量失業、貧困、住宅事情の悪化、犯罪、薬物中毒、そして「嘲られる労働者階級」の誕生である。

ただ実際には、サッチャーの保守党は階級区分に深く根ざした政党であり、その政治は階級闘争そのものだったことを忘れてはならない。それは、パブリックスクール出身の中流階級が、自らの富と権力を固めるために仕掛けた、「上からの階級闘争」であった。目指したのは階級の解体ではなく、階級を見えなくすることだったのだ。

不思議なのは、多くの労働者を敵視した保守党がなぜ支持され続けたのかだ。からくりの一つは、労働者階級の中で「頑張れば上に行ける」と思う層と思わない層の間に亀裂を入れ、前者を取り込んだこと。もう一つは、対抗すべき労働党の意気消沈と弱体化だった。以来、福祉依存の敵視と公共サービスの削減、不平等の容認と低所得者により打撃の大きな税制の導入、果てはサッカーのチケット値上げによる低所得者の締め出しまで行われ、ポスト・サッチャーの時代にもプロジェクトは順調に完成へ向かう。貧困は社会問題ではなく、個人の資質の問題になっていった。

中流出身の議員や報道関係者、右派評論家らは労働者階級を理解する動機と視点を欠き、テレビや新聞は暴力や無気力の極端な例を全体状況のように描いて容赦なく労働者階級を貶める。労働党=ニュー・レイバーまでもが「向上心のある労働者」に焦点を当てる。ブレアが「能力主義(メリトクラシー)」を押し出し「いまやわれわれはみな中流階級だ」と言い放つに及んで、「チャヴ」の代弁者は消滅した。

その空白を埋めたのが、人種差別的なイギリス国民党(BNP)である。白人労働者階級はネグレクトされた民族的マイノリティだ、という多文化主義のハッキング。そして「チャヴは愚かだからBNPを支持する」――人種差別を否定するリベラルな価値観から、さらなるバッシングが噴出するとは!その一方で不十分な雇用、不十分な住居という社会問題の責めは社会の支配階層ではなく、移民に帰せられていくのだ。

2011年に書かれた本ですが、16年のBrexitもこの流れで理解できるんじゃないでしょうか。排除の社会学・応用編、あるいはポピュリズムの政治学。さてイギリスのケーススタディはどこの国まで敷衍できるかな。

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