東京ジャーミイを見学させていただくため、代々木上原に行きました。
ラマダン中の皆さんには申し訳ないですが、「ミ・チョリパン」でアルゼンチンのサブウェイみたいなサンドイッチをお昼にいただきます。ソーセージを焼いてコッペパンにのっけたのを受け取り、あとは自分でソースや野菜をのっけて挟んで食べます。
盛り付けの才能が絶望的にないのでアレですが、スパイスの妙を感じるおいしいランチでした。
で、ジャーミイ。土日は14:30から日本語のガイドつきツアーがあります。
30人くらい来てたでしょうか。ガイドのおじさんが「今日は多いなー」とおっしゃってました。
だいたいこんなお話きいた。
【縁起】
・もともとモスクを建てた人たちは、ロシア革命のときにカザン(今はタタールスタン共和国の首都)あたりにいたが、宗教禁止への反発などから赤軍と戦い、しかしシベリア、中国、朝鮮と敗走してきて、1920年代に1000人ほどが日本に亡命したらしい
・神戸、名古屋など日本各地に散らばり、数百人が富ヶ谷に落ち着いた
・1938年、代々木上原にモスクを建設。施工は神奈川県の宮大工グループ。瓦を使わない建築だったためか老朽化が速く、雨漏りがひどくなり、周辺住民からは倒壊の心配もされるほどだった。1986年に取り壊された
・ロシアから渡ってきた人たちの2世には元祖外タレのロイ・ジェームス(弊管理人は知らなかったが、見学者の一部おばさまは知っていた)がいる。本人は御徒町生まれだが、父親は東京ジャーミイの前身・東京回教寺院のイマームを務めた人物。ユセフ・トルコというプロレスラー、のちレフリーもこのあたりの出身(らしいがこれも弊管理人は知らない人)
・当時居着いた人たちは商売で財産を築いた。スーツの上から羽織るコートの布地である羅紗など。レバノン人の豪商はすぐ近くの大山町に大邸宅を構えた。1ブロック全部1人の家くらいの大きな家。今はユニクロの社長が住んでいる(あとで見に行ったがベラボーだった)
・現在の東京ジャーミィは2000年に再建。基礎は鹿島が作ったが、外壁や内装はすべてトルコから材料を輸入し、トルコ人の職人が作った
【日本のモスク】
・日本にはモスクが80くらいある。北は小樽、南は琉球大学の近くにバラックみたいな粗末な建物まで。留学生が中心になって作ることが多い。東京ジャーミィは東日本最大のモスク。西日本最大は神戸モスク
・東京ジャーミイでの金曜礼拝は最も人が多くて800人くらい集まるが、このあたりは高級住宅地になってしまい、周りに住んでいるムスリムは多くない
・東京では大塚、浅草、御徒町、蒲田などにモスクがある。一軒家をペイントしただけのようなものも
【ラマダン】
・いま、ちょうどラマダンの3週目が終わるところで、あと1週間。日没後にファスティングを終えてみんなで食事を食べる「イフタール」をやっている。無料。300人分の食事を昼から作っている。今年はイスタンブール市庁舎の食堂のシェフに来てもらった
・ラマダンの意義は10個くらいあるが、2つだけ言っておく。(1)水、食べ物のおいしさを思い出し、造物主に感謝する(2)食べ物を満足に食べられない人の気持ちになる
・寄付を集める月でもある。日本をはじめ世界各国のモスクで集まった寄付をトルコに送り、今年はシリア、次の年はソマリア、などといろいろなところに送金する
・ラマダンはファスティングによって心身を浄化する、胃腸を休ませる、感情を鎮める月。戦争をしていてもいったんやめて「ラマダン休戦」に入ったりするが、最近は様相が少し異なる。ISがラマダンを狙って攻撃をしたりとか
・イフタールのスポンサーは個人や企業。例えばこの週末は3日間、トルコ航空がスポンサーになって食事代をまかなうなど
チューリップはトルコの花なんだって。壺とか壁の模様とかにあしらわれていました。
(おじさんの横に積んである食器はイフタールに使われるのでしょう、多分)
15:30すぎにアザーンが響き渡って午後のお祈りが始まり、礼拝堂の中で見学させてもらいました。マレーシアの国立モスクは礼拝堂は異教徒立ち入り禁止、シンガポールの街中のモスクの礼拝堂は、礼拝しているおじさんが「おいでおいで」してくれましたが遠慮して廊下から見ていたので、一部始終を落ち着いて見たのは初めてです。
キリスト教と違って信徒のコミュニティがヒエラルキーをなしていないので、大統領も普通の人もボーダー柄の絨毯に立ったら柄に沿って横に並んでお祈りをするのだそう。人種差別された経験に押されてムスリムになったというボクサーのモハメッド・アリの逸話も紹介されました。
女性は2階席。「ぎっしり詰めてお祈りをするときに、隣に女の人がいたら男は集中できないし、逆もそうだろう。女性を分けるのは差別ではない。お祈りをする機会は確保している」という説明でした。あと、見学者もヘッドスカーフを着けるよう強く要請されていましたね。
このあたりの「区別」、あるいは同性愛の問題を「変わらない宗教」であるイスラムがどう克服していけるか若干心配です。ヨーロッパでは、まさにこの点を右派政党が「リベラルな」立場から攻撃しているわけで、それにどんな反論をするのかはそのうち聞いてみたい。地球惑星科学の知見もうまくコーランと整合させてきた宗教なのでまあ時間をかければ大丈夫なんではないかと思ってますけど。
ミナレットを登るらせん階段は男性禁制の2階席とも通じていますが、「2階席に入らなければ登っていいよ」とガイドのおじさんに言われてガンガン上がってみたところ、外に出る扉は施錠されてました。残念。そして膝笑う。しかも降りてきてみたら「部外者立ち入り禁止」と書いてあった。あれれれ
そんで、同行者の発案により上野まで(!)行って、「晴晴飯店」というお店に連れていっていただきました。
3150円で食べ飲み放題、しかも全部おいしい。本当の回鍋肉や担々麺ってこういうものなんだぜ、という「リアル回鍋肉」「リアル担々麺」というメニューがあって感心した。
日没前に酒を喰らい、そして大食の罪まで犯してしまいました。満腹。
そこから歩いて、5月末にリニューアルしたばかりの鶯谷の銭湯「萩の湯」でひとっぷろ浴びて締めくくり。すごくきれいな銭湯(460円!)でびっくり。
街娼が増えるまち、鶯谷。
大食の罪がたたって、深夜に正露丸を服用しました。
* * *
日曜は昼過ぎにグランドピアノのある練習室に行って1時間弾いてみました。
何かのキャンペーンで半額(1100円→550円/時)になっていて得してしまいました。
音量やキータッチの振動を気にせず弾けるのはストレス解消になります。
終わって出てくると雨。やっと梅雨っぽくなった。