■太田邦史『エピゲノムと生命』講談社、2013年。
エピジェネティクスきてるよな、いつか何か読まないと。そう思っていました。
ちょうどよくこの夏に一番新しい入門書が出たので、早速(もう晩秋ですが)。
DNAは生命の設計図と言われます。
そこには筋肉や骨、神経など、体のすみずみまで、作り方が書いてある。
そして、同じ個体ならどこの細胞を持ってきても、核の中には一体分すべての設計図が入っている。
でも、網膜の細胞には網膜の細胞としての形や働きを持つのに必要でない、大半のページには鍵がかかっている。それは心筋でも脳神経でも肝細胞でも同じこと。むやみに他の細胞に変身したら困るから。
そのように鍵をかける(時には外す)仕組み――いつ、どういう環境条件のもとで、どの遺伝子が、どれだけ働いたらいいか、つまり「DNA=設計図、の読み方」――というのがあるらしい。それがエピゲノム。DNAが担っている情報の総体(ゲノム)の外(epi)にある情報体系。
体ができる時にはDNAの制御をするために当然働くし、生活習慣や環境によってもその働きを柔軟に変化させる。DNAそのものではなくて、DNAの読み方に変化が起き、それが細胞に記憶され、細胞分裂を経ても引き継がれる。
変化が悪いほうに働けば生活習慣病や精神疾患などになるだろうし、人為的に安定を保つ術が見つかれば創薬につながりうる。しかも、そうやって個体が獲得した姿形や気質、行動に関する細胞の記憶のあるものは次世代にまで伝わってしまうという。
まだ分かっていないことが相当多い分野のようです。DNAの配列を中心に研究されてきたジェネティクスでも難病などに関連する遺伝要因はいっぱい見つかったけれども、糖尿病やがんなど、環境が発症に相当絡むようなものはエピジェネティクスが進むことでもっと分かることがある気がします。
また、階層の再生産のようにこれまで社会的とされてきた現象や、親から虐待された人が自分の子どもを虐待するというような「そうかもねとは思うけどよく考えるとなんで?」な現象にも、案外生物学的な基礎があることが分かってくるかもしれない。社会を理科で説明する?いつか来た道ですなあと笑うのもいいが、でも実際どれだけ説明できるかは検討する価値が十分あると思います。
面白いけど、ちょい難しい。もう1冊読んだほうがいいかな。
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次は気合い入れてあの高い本買って読むかー、と新宿(南口のほうの)紀伊国屋に行ったら、なかった。
んでまた安い本買っちゃった。面白そうだけど。
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鼻毛に白髪発見。
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この土日の夕飯は鍋でキャベツを食っていた。
土曜は運動してたら昼飯が遅くなり(ついでに、行こうか迷ってた勉強会を完全に失念していた)、日曜は昼間からうっかり強い酒を飲んでしまうなど摂食のタイミングが乱れたため。