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想像の共同体

■ベネディクト・アンダーソン(白石隆、白石さや訳)『定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』書籍工房早山、2007年。

「国民とはイメージとして心に描かれた想像の政治共同体である――そしてそれは、本来的に限定され、かつ主権的なもの[最高の意志決定主体]として想像される」

弊管理人はいまだ四国に上陸したことがないのですが、そこにもやはりほぼ同じ言葉を話し、ほぼ同じニュースを見ており、ほぼ同じ教育を受け、あまり強い信仰を持っておらず、なんとなく日本という国名を昔から共有している気がしており、そして朝鮮半島やユーラシア大陸の人たちとは多くの点で異なっており、かつ首都から遠く離れても首都住民と同じような権利と義務を持っている、そんな人たちが当然いるはずだと想像している。同じことを四国の民も想像していると想像している。そんな心の中の現象。
そうした「国民」の、実は南北アメリカに遡れる起源と成立条件について、そして情報・通信技術や資本主義の発展(=世界を時間的・空間的にまったいらにしていく力)と絡み合いながらアジアで、東欧で変奏されながら歌い継がれていく様子について。

(では、それぞれの国の国語のほかに英語を使ってつながりあい、ネットを使って全球的に出来事と価値とを交換できる今をどうみたらいいんでしょう。地球規模のインテリ共同体みたいなものはあんましできてないように見える。そしてなお、20世紀半ばにかけて固まった国境はかくも越えがたいように見える)

つうか、今頃何言ってんのと思われるでしょうけど、
すんごく面白かったですー、ぐえー
いま、なんとなく当たり前で強固な実体のように思われているものの正体を、世界を駆けずり・タイムトラベルしながら追い詰めていく。そんな旅を終えて戻ってきた現在は、前とちょっと違って見えるっていう、いい本の典型。

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2013年05月08日 00:04に投稿されたエントリーのページです。

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