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2012年03月 アーカイブ

2012年03月24日

社会の中の科学

■中島秀人『社会の中の科学』放送大学教育振興会、2008年。

古本で安く手に入ったので頭の整理。

科学 = to know = 哲学→科学革命→科学アカデミー→
技術 = to make = 奴隷の仕事→産業革命→大量生産→

→そして、この二つが「科学技術」あるいは「科学・技術」(・あるいは「工学」)として結びつくのは意外に最近、ここ150年ほどのこと。一方では企業が研究所をその中に抱えて電気や通信といった「単なる従来技術の改良」では生み出せない製品・サービスを作り出したし、もう一方では国家が産業そして軍事における競争力の確保のために科学を抱き込み発展させていったという。

それは科学が分業化・専門化し→制度化し→広域化そして全域化し→その結果としてそれ自体が公害や大事故といったリスクの源になる(再帰-化っていったらいいのか)までの軌跡。科学もまたご多分に漏れず近代化のセオリーと寝ていたのだ。なんてこの本は言ってないけど。

2012年03月23日

また草枕

久しぶりに19時台に職場を出られたので、新宿三丁目、草枕へふたたび。
大変お気に入りなんですが、服が全部カレーくさくなるんですよ。
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チーズ入れるととてもまろやかになりますね。
というか、昼にタイカレー食ったのをオーダー直前に思い出しました。
頭がばか。花粉のせいだと思いたい。

しかも痛飲して、帰りしなにチーズバーガーとアップルパイを欲望のままに食べて、そのまま寝てしまいました。
頭がばか。花粉のせい。

去年はこの時期、体が花粉にかまっていられないほど忙しくてほとんど症状が出なかったのですが、今年はけっこうきてます。

2012年03月19日

院試的なもの(2)

前回の書き込みからあっという間に4週間、大学院からのオファーに回答する日が来てしまいました。

結論からいうと、入学を1年延ばす(2013年にする)手続きをしています。

登場人物は弊管理人の職場の、部内で一番偉い人(S1)、その上の人(S2)、その上の現業部門の総元締めみたいな人(S3)。
持ちかける前はかなり厳しいだろうなあと思っていたのですが、S2氏、S3氏は意外にも「今年行ったっていいんじゃないか?」みたいな雰囲気。弊管理人のプランは「自らキャリアアップしようとしている」と概ね好意的に捉えられているようです。ま、本当は単なる気分転換なのですが(もっとも、気分転換は大切なのですが)。

ひとのお金で気分転換するのも気が引けるので「休みだけくれればいいです、自分の金で行ってきますんで」と言ったのですが、それに対しては管理部門方面から「いや、社費留学の制度に応募しなさい」と言われました。自分の好きなタイミングで合格をもらって「休み、もらいます」と言えば誰でも留学させてもらえるなら、自分も自分もと声が上がり、収拾がつかなくなるという危惧があるためだとか。それって会社が行うべき人材育成が全く不十分であることの証左になりうるのだと思うのですが、まあ誰しも改善は最小限にしたいものですしね。

S1氏は今年、部内でいろいろと人の入れ替わりがあるということで「今年行かれるとキツイ」との意見でした。弊管理人はそういうことなら直属の上司を困らせるのはよくなかろうと1年延ばすdeferという手続きを選択し、これはあっさりと認められそうな様子です。

不安要素は、これが鬼が笑う、弊管理人も笑うしかない1年半後の約束になってしまったことです。今「いいよ」と言ってくれている人たちが、1年半後もいいよと言ってくれている保証はなく、それどころか「状況が変わった」とかいって全てを反故にされることのほうが起こりやすいだろう。1年半前の世界が今とどれだけ違ったか、思い起こすだけで「やっぱりS1氏が困っても『いや、断固今年で』と言っておけばよかったかなあ」と弱気になります。そもそも来年となると弊管理人も30代後半に突入します。いろいろきついんですよね。
まあ本当に行かせてくれるなら待ちますし、準備期間も長く取れていいといえばいいんですけど。

他社の同職種で先輩格の方ですが「私の太鼓判は結構その通りになります。きっとうまくいきます」と言って下さっているので、今はそれだけを頼りにしている状況です。あ、あとは少し関連の本を読んでおくよう努めるとか、してますが。

2012年03月18日

夢よりも深い覚醒へ

■大澤真幸『夢よりも深い覚醒へ―3.11後の哲学』岩波新書、2012年。

ここ1年に限らず、弊管理人の周囲に常にあった疑問に(1)「なぜ、日本は核の怖さを知っているのに原子力発電をこれほど歓迎してきたのか」というものと(2)「未来の世代に対する倫理をどう考えたらいいのか」というものがありました。
3.11を「きっかけ」にしてそれらの疑問は切実に迫った。そうした思いがひりひりしているうちに書かれた文章がこれ。

神のいなくなった時代にピンチヒッターの役割をどんな存在にやってもらうか、といういつもの問題意識が底にあり、最後に少しその具体的な提案がついてます。
第三者の審級(集団としての意思決定)←媒介者(弁護士のように一方の側に立つのではなく、ただ聞き、理解する役)←(個別の利害を)訴え出る人、という直線的に並んだ3者構造による意思決定。
(「内輪の議論ばっかやってんなよ、みんなの前でもそれ言えますか、アンタ」という、ナイーヴな熟議への批判をやっているという点では、直接の言及はありませんが、『一般意志2.0』に触発されているようにも見えます。)
しかし、媒介者がうまく丸め込まれてしまう(まさにマスメディアのように)危険性というのはないのか。この構造があったとしたら3.11の準カタストロフを未遂に終わらせることはできたのか。と、新しい疑問を背負わされて読書が終わる。ひょっとしたらもう一度読む。

↓あと最近これも読んだ。
■八木沢敬『分析哲学入門』講談社選書メチエ、2011年。

2012年03月13日

豚大学

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新橋、「豚大学」。並680円。
御茶ノ水の「豚野郎」と似ている。お茶漬けがあるところまで一緒。
タレは甘めですが、甘ったるいことはなくておいしく食べられます。
盛りつけてからタレをもう一回ししてくれるんですが、けっこう味も濃いので個人的には半回しでいいかなという感じ。肉に対して、ほんの少しご飯が少ないかもしれない。炊き加減は好きです。
並でちゃんとお腹がふくれます。コスパやよし。

2012年03月04日

光より速い

■『現代思想』Vol.40-1、青土社、2012年。

1月号の特集は、光より速いニュートリノの話。

門外漢と専門家が対談しながら
門外漢「ね、先生、『タイムマシンができるかも』とかいっちゃって、日本のマスコミってバカですよね。外国のサイエンスジャーナリストは知識もあって素晴らしいのに」
専門家「いやー、でもねー、これだけ素粒子物理が一般の人の目に触れるようなニュースになったことって、そうそうなかったと思うんですよー」
みたいなくだりが。

しかし、ビッグサイエンスの人の視点って、わりとこうだなあと思い当たる。
ひとつは公費をものすごく使って研究をやっているということ、もうひとつは門外漢の想像を超えた世界(11次元とかだよ!)を扱っていること、おそらくはそれらがあるために、細かい話はもう抜きにしてでも自分たちが何をやっているのかを分かりやすく一般に伝えたいというマインドの高い人(面白いんだよ実はこれ、というコミュニケーション)、あるいは一般に伝えなければならない場に立たされる機会(研究費の維持・獲得のため)が多い人が結構いるような気がする。
騒がれ方が妥当かそうじゃないかはもちろん大切なことだけれども、それ以上に、そうした人たちが自分たちの領域が社会で一定以上の注目を浴びたことにちょっとした感慨を抱いている、そんな様子。あー、医科学あたりの人と対照的かもとか(略

それはそうと、物理の「中の人」かつOPERA実験の「外の人」が今回のように「とても綿密に検討された上ですごく変な結果が出てきた」ような出来事をどう受け止めるか、わりと長々と語る貴重な企画だと思いました。「それでも機器がおかしいんだろう」から「定説の拡張で済むんじゃない?」、果ては「相当数の理論が棄却されるかも」まで幅があるのが興味深い。
想像だけですが、理論の人は実験の人の「外側」にいるし、大型加速器なんかで行われる「世界で私しかやってない」実験に至っては大半の人が「外の人」(追試さえおいそれとできない)なので、同じ「素粒子物理の中の人」が語っていてもどこか野次馬的というか、面白がってる感じがある。あ、「これって僕の業績につなげられるかな?」という反応もありますね。

ちょうど読んでいる間に「なんか実験装置上のミスがあったっぽい」というニュースも入ってきて「なあんだ」となりかけましたが、まだまだホットな話題ですね。

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