友人に連れられ、東京・小平市の「平櫛田中彫刻美術館」に行ってまいりました。
平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)は1872年生まれの彫刻家で、高村光雲などに師事、東京藝大の教授を経て、1979年に107歳(!)で没する直前まで創作を続けた人だそうです。
一橋大学のキャンパス脇、なんとかいう建築家(失念)が建てた平櫛宅の敷地にある平櫛美術館では、ちょうど日本彫刻会関連の企画展をやっていて、なんとそのせいで肝心の平櫛の作品の多くが見られないという大惨事!でしたが、それでも展示されていたいくつかの平櫛作品と、平櫛宅の建築を堪能しました。
初めて見た平櫛の作品。故事や仏教説話に着想を得た作品が多いのですが、とにかく豊かな肉感(デブだという意味ではない)が印象的でした。なんといえばいいのか、素材の塊から服ごと人物を彫り出すのではなくて、木なりブロンズなりでできた裸体に同じ素材でできた服を着せたような実在感を放っている。ところが不思議なのは、そのリアリティが写実ではなく「人間をよくとらえたディフォルメ」から滲出している感じもするんですね。「そうそう、これってそんな感じ」と思わせる似顔絵のように、あるいは男や女の体を色っぽく描いたイラストのように、しわや、凹凸や、照りが、象徴的、効果的に配置されている。ブロンズではありましたが「法堂二笑」という作品で特にそんなことを感じました。100歳近くなった平櫛氏が半裸で制作している写真も展示されていましたが、それが目を見張る若々しさで、よくあることですが、やはり作者が自身を分与しながら作品を生んでいったのではないか、そう思わされました。
ま、文章にしてもわかんないやね。行ってみて下さい。
昨日・一昨日と東京都心は30度を超えて、一夏の真夏日の日数が過去最多を更新したそうです。うってかわって今日は冷たい雨が叩き付けるさんざんなお天気。Tシャツに七分丈のネルシャツを重ね着していったのですが、寒かったです。ジーンズもびっしょびしょ。