■石田英敬『現代思想の教科書―世界を考える知の地平15章』ちくま学芸文庫、2010年。
放送大学の教科書の文庫版。授業の復習としてならさくさく読めます。初学にはもうちょっと卑近な例をいろいろ挙げてあげると親切かもしれない。最近の教科書はどうなっているんだろうと手に取り、通勤電車で読んでました。
個人的にツボだったのは巻末の読書案内で、15ページほどの短いスペースに詰め込まれた一言つき参考文献は「次の一歩」を踏み出すのに必要十分なものと感じました。読んでおくべき原典(の訳)はこれ、ただしこの訳書は問題が多いのでお勧めしない、外国の理論を日本のフィールドで展開してる本はこれ、難しければこの入門書や解説書はどうかね、とサインポスティングしてくれているので助かります。
ときどき1冊まるまるブックガイド、みたいな本がありますが、文献1冊1ページ程度の要約ではやはり凝縮されすぎてて読んだことない人には伝わらないよね(読んだ人の「答え合わせ」には有用かもしれないけど、そんな使い方あんまりしないと思う)。やはり噛んで含んで内容を教えてあげるより、権威的に「これ読んどけ」と本を投げてよこすのが正しいブックガイドなんではないかと思う次第です。