最近、読む意欲がちょっと減退してます。たぶんリズム的なもの、か、買ってみたけどそんなに熱心になれない本がいくつかフィニッシュできないまま残っているせいか。
■秋山幹男他『予防接種被害の救済』信山社、2007年。
非趣味読書。92年に東京高裁判決が出て確定した予防接種禍訴訟を振り返るシンポジウムの記録。
この判決を受けて、94年に予防接種制度改正(強制接種の廃止、健康被害救済の拡大など)がなされましたが、現在はそのときのやや抑制的な方向での改正とは逆方向を向いているように見える、2度目の大きな改正(接種の公費負担、対象ワクチンの拡大、病気のサーベイランス態勢強化、行政に対する専門家による助言組織の創設)に向けて動き出してます。
というわけで今般の動きの源流を探るために。
■大澤真幸「普天間基地圏外移設案」朝日出版、2010年。
なんか電子書籍として1000部限定でタダ配布されていたので、いただきました。
・普天間問題の唯一の完全解決策は、(沖縄)県外、ではなく(あらゆる)圏外(への)移設、つまり廃止である。
・現在の沖縄の基地反対運動は2つの意味でダメで、
(1)騒音とか環境といった基地の個別の問題を挙げると、それに配慮した形での建設を許してしまう
(2)県外に持っていけ、では地域のワガママに矮小化する
・問題の本質は、自分の領域を主権の及ばない人たちが大手を振って歩き回っているということであって、
・沖縄はまさに沖縄というローカルなレベルではなく、日本とかアジアとかいうより普遍的なものが抱える問題を凝縮して体現している、という点から突破を図るべき(沖縄vs日本の政府vsアメリカ、ではなく、沖縄=日本vsアメリカ)
・振り返れば過去の成功した革命はいずれも、特殊を普遍に接続する論理構成をとっている。
・考えてみると普天間基地はアメリカ側の都合のためにある。ならば日本には断固、普天間基地の廃止を主張する理由がある。移設費用なんて仕分けちゃえよー
というような話。筆者が主張している「第一歩としての沖縄と徳之島の連帯」はもうやってるし、基地反対運動の中には廃止は当然含まれているだろうから、ちょっと「えー?」と思う部分はありますが、まあこれは政権に向けたアドバイスなのでしょうし、大筋は自分もそうだなーと思います。にしても、いつになく筆運びも言葉選びも乱暴な文章ですが、現実と切り結ぶときの方便としてやられているのでしょうか。