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著作権の世紀

■福井健策『著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」』集英社新書、2010年。

創作されたものをコピーしたり組み合わせたりする技術が改良され、情報の流通がより早く、より広くなると、情報の独占制度としての著作権はどういう地図の中に置かれることになるのか。

何が著作権で保護され、どれだけの間保護され、何が法の問題で、何が法の外の問題で、何がグレーゾーンで処理され、それと作品を利用したさらなる創作やアーカイブ化などの活動の促進はどう折り合いをつけていくことができるのか。本来は著作権で保護されないモノを疑似著作権の対象物として囲い込もうとする昨今の動きについて。そんなことを考えます。

森進一の「おふくろさん」改作問題、槇原敬之vs.松本零士、フェアユースとJASRAC、村上隆に海洋堂のフィギュアにマルセル・デュシャンまで出てきます。おお、これってこういう問題だったのか、と感心しながら読み進む感じ。頭のいい人の文章という感じで、よくある「いろいろ寄り道している間に本筋との距離感がわからなくなる」みたいなことがなく読み通せます。

NHKの視点・論点に出てらしてお話が面白かったので買ってみました。勉強になりました。

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2010年02月05日 00:36に投稿されたエントリーのページです。

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