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2009年09月 アーカイブ

2009年09月28日

後期近代の眩暈

■ジョック・ヤング(木下ちがや他訳)『後期近代の眩暈―排除から過剰包摂へ』青土社、2008年。
Young, Jock. The Vertigo of Late Modernity, London: SAGE Publications, 2007.

まえに読んだ『排除型社会』の続編。9.11以降に書かれた続編であれば絶対に読んでおかなければならないと思って手に取りました。

前著の訳はすごく読みやすくてよかったんですけど、こっちは(拙劣ではないだけいいけど)固いなー。

犯罪、アンダークラス、テロ、セレブ、新しいメディア。全球を覆い尽くすまでにその触手を伸ばし、世界のすみずみまで飲み込みながら、その中から次々と”異分子”を同定して排除する。そういう「強迫的に包摂と排除を繰り返す」運動のことを「過剰包摂」と訳したようなのですが、まさにその様子を一言で表すキーワードbulimiaは、そのまま「(強迫的に食っては吐く)過食症」と訳すのが一番分かりやすかったんじゃないかなあ。

で、そこに潜むのは「われわれ」と「かれら」を分かとうとする衝動であって、その衝動の背景にあるのは経済・だけでなく・アイデンティティの流動化と不安定化だー、みたいな図式はとてもわかりやすい。

でも個人的には、この本の見どころは、図式の目新しさとかではなくて、随所にちりばめられた社会批評の多彩さではないかしらと思うのであります。いかに「われわれ」と「かれら」が似ているか、近接し・混ざりあっているか、”問題”の帰責先を構造ではなくて個人に指定してしまっているか、などについての事例を重ね、ボリュームのあるミルクレープを作り上げているのだと思います。(ドトールのミルクレープ、食いてーなー)

2009年09月20日

秋の帰省(2)

090920fudo.jpg帰省中、1日は父親が日中仕事だったので、うちの車を借りてちょっと温泉に行ってきました。
阿智村の不動温泉というところです。
日帰り入浴800円。窓からの緑が美しい内風呂と、建物の外を流れる沢や、その向こうの国道を行き交う車なんかを見ながら入れる露天風呂がいい感じでした(国道は遠いので人の視線を気にする必要はないです)。

露天風呂は大きくはありませんが、湯量が豊富でぬるめなので、沢を下る水や鳥のさえずる音を聴きながらずっと入っていられます。

連休のわりには人が少なく、穴場なのかもしれません。

阿智というと昼神温泉郷が有名ですが、ここもなかなかでした。
建物も落ち着いていて緑が豊富なので、一度泊まってみたいかも、と思いました。

2009年09月19日

秋の帰省(1)

そこの卒業生ではないばかりか縁もゆかりもない、神戸にある某超進学校の先生から、何ステップかのつてを経て、うちの父親に子どもの教育に関するアンケートが来て、弊管理人のことをいろいろ聞かれていました。

さすが超進学校だけあって「ご両親の職業は?」の数少ない選択肢に「地方公務員」「国家公務員」「会社員」などに混じって「医師」「大学教員」が入っていたり、「年収」の一番上の選択肢が「2000万以上」だったり、「ご両親の最終学歴は?」の質問では選択肢が「大学院」「東大」「医学部」「国公立大」「私立大」などと分かれているもののそもそも「高校」がない(うちは父母とも高卒なので「その他」になった)とか、「英語の早期教育として何をやっていましたか」(うちは「特になし」)とか、「ご両親の愛読書は」(うちは「特になし」w)とか、塾に関する質問群(塾は行かなかったので回答は「なし」の羅列)とかいった独特の質問や選択肢が並んでおり、うちの父の回答はほとんどが「その他」「特になし」となってしまっており、その外れ値っぷりに吹きました。

そんな噴飯アンケート自体はまあいいのですが、質問の中に「子どもが初めて言葉を喋ったのはいつですか?」という質問があって、そこには「1歳未満」にマルがついていました。

まさかあ、と思って父親に聞いてみると、確かに自分が言葉を話し始めたのはかなり早かったらしく、しかも初めて発した言葉は

  「ひどい!畜生!」

独り暮らしをする前、よく父が変な口調でこの言葉を言っていたのを聞いていたのですが、私はただ父がふざけてその言葉を繰り返しているだけだと思っており、その起源は知りませんでした。

1歳にならないころ、両親が、自分を祖父母にちょっと預けて遊びに行こうかと相談していたとき、傍らにいた自分が発して仰天したそうです。ということはシチュエーション的にも正しい発話だったわけですが、しかし人生で初めて、世の中に投げ出した言葉が

  「ひどい!畜生!」wwwww

出生後、パパママボクの核家族でど田舎に住んでいたため、ほとんど親族や他の家族と接する機会はなかったものの、どういうわけか両親は幼児語を使わず普通の会話文で自分に話し掛けていたそうで、それが早くて変に子どもっぽくない発話に何か影響していたのではと父は振り返っておりました。その分析が正しいかどうかは知りません。

帰省の際のささいなエピソードでございました。
ちなみに高卒の父は、知らないうちに放送大学の学生になっておりました。がんばれ~

2009年09月14日

港屋(再訪)

ランチは少し歩いて新橋の立ち食いそば「港屋」へ。
すごい人気店ですが、なんかいろんな面においてジャンキーなので2年にいっぺんくらい食べたくなります(笑)
090914minatoya.jpg
まずもって冷たい肉そば850円。
どんぶりに無造作に大量のそばが盛られ、そこにろくろくほぐしてないくず牛肉?を煮たやつがのっかっており、さらに無造作にゴマとネギと刻みのりがぶぁさっとかけられている。
つゆはラー油の混ざった(つうか混ざってないw)つゆ、そこに卵や天かすを入れていただく。
5口めくらいから耐久戦になります。
そばの香りを楽しむとかそんなのない。腰が強いのでアゴが疲れます。

090914minatoya2.jpg
店内は大テーブルを取り囲むように食べてる人が並んで、さらにその後ろをもう一重、人々が取り囲んで、自分が食べる番を待つわけ。で、その二重の人垣の間を、食べ終わって食器を返す人と料理を受け取って席につく人が行き交う。
黒い天井から煌々とライトが照らし出す空間に大音量でショパンのピアノ独奏曲が響くというこの上なくお下品な店内。
食い終わって出ると深いため息が出ます。何かから解放されたような。
同じく職場に戻ると思われる人々が「落ち着かないよねー」とか言い合いながら道すがらコーヒーを求め、外には新しく列ができている。

ではまた2年後w

2009年09月10日

はじめての〈超ひも理論〉

朝、出勤する年上の彼女を駅まで送って1000円もらい、コンビニでおにぎりか何かを買って帰ってゴロゴロ。夕飯の支度を少し早めにして家を出て、手元のお金でちょっとパチンコをしてから、夕暮れの駅で彼女を出迎え、一緒に歩いて帰る。あまり言葉は交わさない。手も繋がない。

■川合光『はじめての〈超ひも理論〉』講談社現代新書、2005年。

超ひも理論は、そんな超ひもな男の生き方を理論化したものではございません。
もっとも小さな「もの」は「粒」ではなくて「ひも」という考え方。
それを考えることで、10のマイナス33乗メートルくらいの大きさからビッグバンが起こるという宇宙の始まりが記述できるともいう。(さらに、どうも今の宇宙はビッグバンとビッグシュリンクを50回くらいくりかえした末の宇宙らしい)

ついていけるのはこれくらい(笑)。
図表も非常に豊富で、どうやら革命的にわかりやすい物理の本らしいということはうかがえます(これはこれですごいことだと思う)が、もうね、宇宙が「ぷっ」と始まるとか、10次元の世界を考えればいいとか、虚時間では2分の1の長さが2倍に等しくなっちゃったりするとか、その言葉が言葉として理解できる以上の理解ができません。面白い経験でした。

2009年09月06日

今久

090906imakyu.jpg
北海道からの帰還祝い?ということで古いお友達にご飯に連れていってもらいました。
千葉県旭市の焼き肉屋、今久。
そうだ。すっかり忘れていたけれど、北海道に転勤する前にさんざん評判を聞いていて、しかしちょっと遠かったために行けていなかったお店でした。

奇跡的に予約が取れたらしく、17時の開店と同時に入ったのですが、既にすごい数の車、そして待つ人々。
わりと大食系の5人で目についたものを注文していきました。
今回の感動の一品は、ご飯が超進む前沢牛のハンバーグ!そしてとろける和牛ロース!
飲んで食って満腹、お勘定は一人3300円!!
近くにあればなー。

あとは近くのガストで甘いものを食ったあげく、柏市のスーパー銭湯で久しぶりに湯船に浸かったりと、みんなでわいわい遊んで楽しい土曜日でしたっ

2009年09月05日

単位の成り立ち

■西條敏美『単位の成り立ち』恒星社厚生閣、2009年。

ま、仕事絡みで。
メートル、キログラム、ヘルツ、ビットなど32の単位を取り上げて、その前史と歴史をざっと見る、単位トリビアですな。

ところで気づいている方もいらっしゃるかもしれませんが、このblogに上がってる本の感想は、文章の長さと思い入れの深さがだいたい対応してます(あまりにひどくて怒ってる場合でもそれはそれで思い入れが深いので多少長くなってるかも)。

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