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2009年04月 アーカイブ

2009年04月29日

不平等の再検討

■アマルティア・セン『不平等の再検討』岩波書店、1999年。
Sen, Amartya. Inequality Reexamined, Oxford: Oxford University Press, 1992.

4月は日記が少なかったなー。
理由はよくわかりません。
忙しかったといえば忙しかったが、そうでもないといえばそうでもなかった。
花園だんごとか初代の醤油ラーメン(大盛)とかの写真もありますし、温泉宿に一人泊まって原稿書いたりとか、おいしい魚の煮付けや牡蠣のバケツ蒸しを食べたりもしていたのですが、なんか字にする気が起こらなかったのね。

ま、いいんですけど。

センの本をと。
(不)平等を考えるときに、所得とか、幸せ度(効用)の平等よりも、個々の人が自分の生き方の幅を広げていけるような、自由の平等を目指すようなアプローチを使ったほうがいいんじゃねえの、みたいなお話。

当たり前といえば当たり前ですが、人はそれぞれ違っていて、大きな病気を持っているとか、その社会の中で差別されているグループ(階級だとか、性別だとか)に入っているとかいった人たちは、そうでない人たちと同じだけの銭カネをもらったとしても、それを使って増やせる人生の選択肢はより少ないかもしれない。また、一人当たりGDPは低いけれど平均寿命は長い国があるとか、先進国の中で貧困があるとか、そういう現象も、所得だけに注目しているとうまく説明できない。

一方、幸せ度の平等に注目したとしても、最初からものすごく不幸な境遇に置かれている人は、もともと多くを望まないように慣れてしまっていて、少しの手当で幸せ度が大幅にアップしてしまう(逆に、わりと幸せな人の幸せ度をさらにアップさせようとするとたくさん資源を使うことになる)ようなことが考えられ、これもあまりいい方法論ではない。

人がいろいろな文化的・経済的・環境的な制約から自由になったら、当然これくらいは望むだろうという(長く生きたり、予防できる病気にならないで過ごしたり、あまり恥ずかしい思いをせずに生きたりといった)ことは何かを考え、それを個々人が実現していけたり、実現する自由を得られたりすることを重視したほうがいいんじゃないか、ということをさまざまな角度から考えています。

印象に残った部分だけつまみ食いするとこんな感じですが、ほかにも分配の正義論に対する色々な示唆がちりばめてあって、門外漢もへええとか言いながら読める本だったと思います。訳文も自然でいいですね。

2009年04月15日

ぴあのれっすん(16)

発表会が終わり、やれやれ転勤まであと1曲くらいかなあと思っていたところ、先生から「発表会でやったやつに1曲足してコンクール出ない?」と打診がありまして、それが異動直前なので「ちょ、ちょっと考えさせて下さい」と返答したままとりあえず先生から提案のあった曲に手をつけました。

■スクリャービン「ノクターン Op.9-2」

左手だけで弾く曲です。
スクリャービンが苛烈な練習のせいで右手首を痛めた時期に書かれたものだそう。
作品9-2でノクターンとくれば、ショパンの超有名なノクターンが想起されるでしょう。
この曲もおそらくそれを意識しているんじゃないでしょうか。ロマンティックな曲です。
ゆったりとしたメロディーにアルペジオが寄り添う。チェロとピアノの重奏のように進めるのが理想。
まるで右手と左手で弾いているように聴かせるのがとても難しい。そして、メロディーが連続しているように聴かせるのがとても難しい。微妙にタイミングを測りながら音が極力濁らないように踏むペダリングが難しい。

演奏時間は4分台後半から6分半くらいまで結構幅があります。そしていくつかの演奏を聴きましたが、あまりテンポを落としすぎないほうがいい曲じゃないすかね。

「あら、男性が弾くと男性的な演奏になるのね」
どゆ意味ですか……

2009年04月09日

メランコリー

090408melancolie.jpg
フランシス・プーランク「メランコリー」。また海外から通販してしまいました。
プーランクは1899年生まれ、1963年没。この曲は1940年に書かれています。

いーじーりすにんぐみたいのを一段低く見る向きには、プーランクの洒落な作風は素通りされてしまうのかもしれません。ただ、「メランコリー」はプーランクの可能性の極北を指し示していて、うすぼんやりとした色彩、底暗くないのに憂いに満ちた感じ、やるせのない苛立ちといったあいまいな情感がないまぜになった隠れた名曲なのではないかと、個人的に思っています。

音楽史的には最近の人なので、まだ著作権が切れておらず楽譜が高い/入手しにくい。今回はネットに落ちてないか結構探したのですが結局なく、米国のSheetMusicPlusというサイトからの通販となりました。下がってきたとはいえ相変わらずの円高、10日ほどで着くスタンダード・エアメールで送料込み1800円ほど。ちなみに譜面は12ページ。東京のアカデミア・ミュージックにもほぼ同額でありましたが東京からの送料がかかるので没。ほかのサイトでは3500円くらい吹っかけているところもありました。

もともとNAXOSでオリヴィエ・カザールの演奏を聴いて印象に残り、楽譜を取り寄せて自分で弾いてみようと思ったのでした。CDでは5分48秒になっていますが、楽譜の最終ページを見ると5分10秒で弾け、との指示。動きを強調するような但し書きも散見されます。どういうことだろう。フランス現代の人のことだから、あまり湿っぽくならないようボリュームコントロールで揺らしながら駆け抜ければいいのかな。
譜読み始めます。

2009年04月08日

志の家

090408shinoya.jpg
札幌を離れる前に行くところリスト、消化はしていますが、ここへきて実施すべき項目もまた増えつつあります。
札幌市中央区南2条西12丁目、そば「志の家(しのや)」。
朝から夕方までの通しで営業というちょっと変わったスタイル。
一番人気は鴨南蛮の様子。
なんというか、とても上品ですが、そこには力量を感じるしっかりした感じがあります。
少し辛めのつゆも、最後には薄まってきてちょうどいい。嗅覚に訴えます。
ここはうまいわ。小樽の「一福」がスピードスケートだとすれば、こちらはフィギュア。同列に評価できないが、どちらもインパクトがある。そんな感じ。

次は恵庭市の「思君楼(しくんろう)」。いつ行けるかなー

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