■パーサ・ダスグプタ著、植田和弘ほか訳『1冊でわかる経済学』岩波書店、2008年。
Partha Dasgupta, Economics: A Very Short Introduction, Oxford University Press, 2007.
アマルティア・センの『不平等の再検討』を読もうと思ってページを開いたものの、こりゃ経済学の入門書をまず読まないかんなとページを閉じ、そして本を探し始めた1月。
ノーベル賞おめでとう記念でスティグリッツ経済学でも、と思ったら3分冊で計15000円、2000ページのボリュームに尻込みし、この安直な表題の入門書に手を出したというわけ。
感想。予想外におもしろかった。
米国とエチオピアに住む二人の仮想の女の子を登場させ、なぜ一人は豊かに、もう一人は貧しく暮らし、そして今後もそのままなのかを問いながら、経済学の考え方を紹介していきます。
リスクから身を守る保険、信頼できる政府、幅広く資金を集める株式会社と有限責任、知識産業と特許。こうしたさまざまな制度が、共同体を超えて互いに顔も知らない人々が協働し、自分たちだけでやるよりも多くの富を生産し、それを分け合うことをいかにして可能にするかを概観します。
さらに、これまでキャッチフレーズであるという以上に知られてこなかった「持続可能な発展」について1章を割いて見通しを与え、終章で共同体も市場も供給できないどんな財を政府が与えるべきかを検討しています。
訳者解説によると、この本は入門書としてはかなり特異な構成になっているそうですが、スタンダードを踏まえていない自分にはそのズレ具合が分かりません(笑)やっぱり2000ページ読むのか。アー