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王様は裸だと言った子供はその後どうなったか

■森達也『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』集英社新書、2007年。

これはー、買うべきかなー、借りて済まそうかなー、と紀伊国屋で表紙とにらめっこしたあげく(待ち合わせ直前で急いでいたのだ)直感で買うのをやめ、その後図書館で借りた本。

え、まあ、2時間くらいで読めるのでそれでよかったと思いますが。
読書もある局面においてはフィジカルな活動で、たまにはページを颯爽とめくる、前にはさんだ栞と今ページを押さえる指の間に次々と紙が堆積していく、そんなスピードの快楽を味わったっていいんじゃないかと、そういうあれ。

で、内容。おとぎ話から仮面ライダーや芥川作品などに、筆者が勝手に身も蓋もない解釈と改作を加えた短文集でして。正義と善意が勝つ古典に同調圧力や集団の暴力性や教条主義や偽善などを見いだして「王様は裸だ」的ちょっと嫌みなツッコミを入れるものの、表題作では結局「でもそういう『空気読めない』ツッコミが世を救うことはないんですけどね」と拗ねてみせる、そういう屈折した仕掛けは見えた。
嫌いじゃないです。豆知識もちりばめてあるしねえ。触れると何でも黄金になってしまう王様とロバの耳の王様は同じ人だとか、へぇ~と思いましタ。

コメント (2)

ちのまえ:

>何でも黄金になってしまう王様とロバの耳の王様は同じ人
へぇ〜。
ってそんなアレなのを王様に据え置いている国ってどうよ。ね。
金が取れればいいのかしら?

>筆者が勝手に身も蓋もない解釈と改作を加えた短文集
といえば姫野カオルコの『バカさゆえ…。』てのが好きでした。
本読みながら声出して笑ったよ。
って前にもススメたっけ?

管理人:

触れると何でも黄金になってしまう能力にひどい目にあって、もう贅沢なのはいいやってことで田舎に隠遁してパンの神様(笛吹くやつ)の信奉者になったはいいが、パンがアポロンと演奏合戦やって負けたのに「いーや、うちのパン様が勝ちだす」と譲らなかったので「おめーみたいなヤツには人間の耳なんか勿体ねーぞ」とアポロンによってロバの耳に変えられてしまったんだそうな。いいね、この奔放さが坊ちゃんぽくて(そういう話?)。

詳しくはwikipediaの「ミダス」参照……

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2008年10月20日 22:17に投稿されたエントリーのページです。

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