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不可能性の時代

■大澤真幸『不可能性の時代』岩波新書、2008年。

神なき時代に共生を実現する鍵は、最も遠い他者に向かって積極的に自分を開いていくことであろう。みたいな話(すげえひでえまとめ)。

理想の時代→夢の時代→虚構の時代(ここまで見田宗介)→大澤『虚構の時代の果て』(ちくま新書、1996年)→東浩紀『動物化するポストモダン』(講談社現代新書、2001年)→大澤『不可能性の時代』。
個人的には東(つうかコジェーヴ)の「動物の時代」がいちばんネーミングとしてはいいんじゃないかと思いますけど。

さて次は、買ったきり読んでなかった川合光『はじめての〈超ひも理論〉』(講談社現代新書)を読もうかなー、と思ったけど、一昨日ノーベル物理学賞を受けたのがこの話で、ちょっとミーハーくさいので分野の近い別の本に手をつけることにしました(笑)

閑話。それにしても、「物理学賞と化学賞で日本人4人受賞」のうち2人が米国籍なんですけど、これって日本人2人+米国人2人じゃないの?と一瞬思ったあと、でもアインシュタインてアメリカ人でもドイツ人でもなくユダヤ人だろうし、ラフマニノフはやっぱりアメリカ人じゃなくて、せいぜいロシア系アメリカ人。ソ連からドイツに亡命して日本に定住したブーニンは日本人とは決して思えないなあとつらつら考えた。

越境した博士たちに自分だったらどうインタビューするだろう。「あなたのアイデンティティはどこにあるのですか。日本?アメリカ?両方?どちらでもない?それともこの質問は無意味ですか?」

コメント (2)

e-com:

不可能性の時代は、口頭試問の場で引き合いに出された。
「社会」が「理想や夢ではない(=虚構)」のあと、「でない」から「である」は引き出せないでしょーというのが、師匠筋の合意みたいでしたよ。

管理人:

むむむむむ~((c)川平慈英)師匠筋の合意の意味はよくわからないが……

むなしい【虚構の時代】
→むなしいなんて知ってるけどあえて没入してます【虚構の時代の果て】
→(むなしいなんて知ってるけどあえて、を忘却しつつ)没入してます【動物】

なんじゃねえかなあ、と思った。
でもこれくらいのことなら19世紀ドイツあたりで誰かが言ってそうだがや。

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2008年10月09日 22:25に投稿されたエントリーのページです。

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