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あなたのTシャツはどこから来たのか?

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■ピエトラ・リボリ『あなたのTシャツはどこから来たのか?』東洋経済新報社、2007年。

フロリダで買い求めた$5.99のTシャツ。その来し方行く末を追いながらグローバリゼーションを考える。学術的というよりはノンフィクションのように読める本です。

アメリカ南部で生産された綿は上海に運ばれて糸から布へ、そして縫製されアメリカに戻ってくる。ウォルマートで買い求められ、飽きると古着としてアジアやアフリカへ売られていく。3大陸をまたに掛けたTシャツの旅。その経済過程のほとんどに政治が介入している。それは国内繊維産業界に押されたアメリカの強烈で複雑な保護主義政策であり、それに対抗する中国製の安い衣料品を求める小売業界の自由貿易主義でもある。ほんとうにフリーなマーケットが作用するのは、古着となったTシャツがアフリカに売られる局面だけだ。

筆者の立場は単純な市場信奉ではない。「経済だけ見ていてはダメ」ということだ。国際経済に巻き込まれようとする人たちはそこに働く政治過程に何らかの形で参加していかなければならないと示唆する。また英国で起こった産業革命以来、繊維産業を支えてきた「底辺=工場労働者」はヨーロッパから北米へ、そしてアジアへと絶えず移動しながら消滅しないことは認めながらも、それが最貧層の人たちを農村から解放したこと、さまざまな市民運動によって労働環境の改善も行われてきたことを強調する。生活の向上のために必要なファクターとして「教育」も挙げられている。

Tシャツの話題をグローバリゼーションの全体像に敷延することはできないけれど、壁に穿たれたのぞき穴として次につながる読書になったと思います。

コメント (6)

e-com:

「エビと日本人」みたいな話かの?(教材情報収集モード。)
しかし、プロの紹介文に感動したですよ。

管理人:

あいや実はエビもバナナも読んでないのだ(恥
先にこれ↓買っちゃったのでバナナは読もうと思っちょります。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%8C%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%A8%E3%80%8D9%E5%8F%B7-%E6%9F%84%E8%B0%B7%E8%A1%8C%E4%BA%BA-%E4%B8%8A%E9%87%8E%E5%8D%83%E9%B6%B4%E5%AD%90-%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E7%AF%84%E4%B9%85-%E8%97%A4%E5%8E%9F%E8%BE%B0%E5%8F%B2/dp/4778310926

ジョージタウン大教授の筆者が学内でアジってた反グロの女の子にこんなこと教えてあげたいわ~、っていって書いた本らしい。産業革命からの繊維産業史とか、アメリカの保護主義vs自由貿易の話とかの話が多い。あんまり冒険譚を期待しないほうがよいぞよ。

プロじゃないよう~
職場で煮詰まっていたんだよう~(また逃避

e-com:

エビもバナナも授業のため(恥)に読みましたよ。
上記2冊とも知らんかったんで、来年用にそのうち読もーっと(これまた逃避)。

管理人:

同じくそれらが参考書として指定されていた授業をとっていたが私は読まなかっただ(恥

何かおもしろい本があったら教えておくれ。

e-com:

ちがう。教えるため(笑)。

管理人:

ぎゃふん(笑

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2007年11月15日 12:19に投稿されたエントリーのページです。

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