■原田暻『ドキュメント ミグ25事件』航空新聞社、1978年。
(↑あきら、は日へんに景です念のため)
1976年9月、ソ連(当時)から当時最新鋭の戦闘機ミグ25が函館空港に着陸し、パイロットがそのまま米国に亡命したという事件(ベレンコ中尉亡命事件)、そのドキュメントです。著者は読売新聞記者。
冷戦下のことですから、まず領空侵犯ばかりか着陸までされてしまった、米軍が機体の調査に加わった、ソ連との関係が緊張した、など当時は大騒ぎになったようで、その内幕を実に克明に描いています。自分は仕事に関連するので読んだのですが、特別の関心がないとちょっと眠たいかも。
この事件は本来の手続きを無視した現場の判断で出動が行われていたことなど(下記文献)から、いまでも自衛隊の正史には登場しないそうです。ベレンコ氏は現在もアメリカに住んでいて、航空ショーのプロデュースなどをやっているもよう(30周年を機に制作されたSTVの特集でやっていた)。
(参考)大小田八尋『ミグ25事件の真相:闇に葬られた防衛出動』学習研究社(学研M文庫)、2001年