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回復と遺伝

風邪は結局1日で治りました。友連れで体の不調のいくつかが緩和した。まんまとリセットされた気がします。
咳はちょっと残った。風邪がアレルギーを呼び起こしたのだろうか……・

何か著しい成果があったわけではないが、何かと忙しかったです。
木曜夜はDC東のほうのMakettoっていうちょっとおしゃれ系アジア料理店にいきました。
うまーくジェントリフィケーションされた感じの街区の一角にあります。
こういうの流行りっぽいよね。
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久しぶりにおいしいチャーハン食べた。
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* * *

ツイート抜粋。

・鳥インフルエンザ罹患者が出たというCDC(公衆衛生当局)の発表より抜粋。患者のプライバシーに配慮して性別さえ明かせないのでheやsheの代わりにtheyを使ってるんだな~
The patient reported eye redness (consistent with conjunctivitis), as their only symptom, and is recovering.

・いま住んでる郡、年収中央値13万ドルちょいだそう。1600万円。

・人を悲しませるのは趣味ではないので、自分がいなくなっても悲しむ人がそれほどいない生き方をしてる感はあるな

・responsibly は「責任を持って」と訳すとなんか違うな~と思ってたんだけど、あれだ。日本的ニュアンスまで込みで日本語にするなら「節度をもって」じゃないかな。
drink responsibly お酒はほどほどに

・実際は兄ではない男性を「あんちゃん」と呼ぶのと同じく英語でもbroっていうの面白い

・アメリカに同調圧力がない」については
みんな面倒臭がり+詰めても言い訳を延々述べるので、言葉でやり合わず、単に無視したりクビにしたりしている
実際はホームパーティ参加など同調圧力のあるウエットな社会だが、観察する側の日本人が溶け込んでないため見えてない
の両方ではないか

・友達の飼い犬、息が臭かった
また犬の苦手度が上がった

・私わりと移動や行動の量が多いように見えるかもですが、「初めてなので一応」を基本原理として世界をスキャンしているだけで、「いずれ気が向いたら再訪しよう」と言いつつ結局しないで死ぬんだと思う

* * *

◆キャスリン・ペイジ・ハーデン(青木薫訳)『遺伝と平等』新潮社、2023年

・教育ポリジェニックスコアと社会的不平等が主題
・生まれる環境+遺伝的バリアント=誕生時に引くくじ
・ゴルトンの優生学(1883)、家畜改良の科学。人種に優劣がある+種の改良のためヒトの生殖に介入すべきである、という考えと不可分に結びついていた(弟子はピアソン。社会改革は無益と論じた)
・「ヒトは遺伝的に異なる」≠優生学
・アンチ優生学≠ゲノムブラインド
・アンチ優生学の企て(1)遺伝的な運の役割を理解する(2)教育・労働・金融システムが特定の人たちに報いる仕組みを理解する(3)これらをすべてのヒトに報いるよう変えるやり方を構想する
・フィッシャー:ポリジェニック→アウトカムは正規分布になる(1918)
・ポリジェニックスコアは人種間の富のギャップを説明しない(統計学的誤謬)
 個人が金持ちにするとはいえる(p.71)

・GWAS:十分な数のサンプルを調べれば、学歴のような複雑なアウトカムにも関連性のあるSNPsを見出すことができる(p.102)
・Σアレルの数0/1/2×関係の強さ=ポリジェニックスコア。白人の教育歴、標準学力テストや知能テストの分散の10-15%を説明する(R^2=10-15%)。cf.標高の高いところは気温が低いR^2=12%/裕福な家に生まれると大学を卒業するR^2=11%
・学校成績のような複雑なもののR^2が小さいわけ(1)人は一人一人違う(2)絡む要因がたくさんある(3)しかし社会の至る所で起こると大きな効果になりうる

【4】
・系図上の祖先と遺伝上の祖先は全く異なる(pp.119-121)
・アフリカ系、アジア系、ヨーロッパ系というグループと遺伝的特徴はよく対応する。ただし、人種と遺伝的祖先は同義語ではない(p.126)
・集団の違い
(1)ある集団である表現型にとって重要なバリアントが、別の集団にとってもそうだとは限らない。CFTR遺伝子のバリアントはヨーロッパ系の集団で嚢胞性線維症の70%以上を引き起こすが、アフリカ系では30%
(2)ゲノムの連鎖不均衡(LD)。バリアント同士の相関パターンが集団ごとに違う(p.130)
=★GWASの結果を他の集団にそのまま当てはめられない。白人のポリジェニックスコアだけを使うことで、白人の健康ばかりが改善される恐れがある。非ヨーロッパ系の研究に資金を入れるの必要
・生態学的相関≠個人レベルの相関(p.137)

【5、6】
・原因とは:Xと非Xの比較が行われたということ
・ただし★
(1)メカニズムが分かったことを意味しない
(2)百発百中で起きることを意味しない:多数の交絡変数の中にある「薄い因果関係」~単一遺伝子疾患など「厚い因果関係」
(3)決定論的でない以上、個人に関してその原因について確信を持って何か言うことはできない
(4)時間や場所が違ったら言えることは限定的かもしれない(移植可能性)
・遺伝率:遺伝子が生み出す違いの大きさ(ヒャクゼロではない)。遺伝率は集団によって違うことがある。では無益かというとそういうことではない。例)ジニ係数の時代・場所依存性
・GWASを使ってポリジェニックスコアを構築→環境が同じ家族内で検証(p.192)きょうだい比較など

【7】
・遺伝的差異は社会的不平等を引き起こす。ではどうして?
・ジェンクスの赤毛の子ども思考実験(1972)赤毛の子どもの通学を禁止す政策→赤毛の子どもの識字能力低下、が「赤毛遺伝子」→「識字能力低い」の見せかけの遺伝率を算出させる
(1)因果の鎖。遺伝的背景―文化・社会的介入―アウトカム
(2)解析の階層。分子―細胞―個体―社会、どこを解析すべきか?←→ハンチントン遺伝子は全てが生物学的な階層で起きる。ADHDは生物/社会両方関わる
(3)オルタナティブな可能世界。そのメカニズムを修正することができるか
・鎖は短く/階層は生物学的で/修正はできない→優生主義に近付く
・教育関連遺伝子は脳で発現する/遺伝の影響は発生初期に始まる/遺伝の影響は基本的認知能力に及ぶ/そして遺伝の影響は知能だけではない。忍耐力など非認知的スキル。ただし非認知的スキル遺伝子は統合失調症や双極性障害などのリスク増とも関連/遺伝の影響には親など周囲の人たちとの相互作用が関係。子どもの時の能力の違いによって親が与える認知的刺激も変わる、やりがいのある課題が与えられる、高校で高度な数学をとる

【II部】
・「遺伝的性質は社会の階層化の原因になりうる」と「社会の組織的力に対抗することで変革を起こせる」は両立可能
・厳しい環境だと遺伝が格差に与える影響は小さくなる(ポテンシャルが発揮できない)
・底辺の向上→公平(≠平等)
・IQ≠道徳(p.315)。しかしIQは差別的施策の効果を知るための道具になるとの評価もある(p.318)eg.ミシガン州フリント市の鉛中毒=環境レイシズム、IQやSATとアウトカムの予測性の高さ
・ろうの文化(ろう遺伝子を持った胚をあえて選択するIVF)、ニューロダイバーシティ
・★GINA=ゲノムブラインド(p.353)

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2024年04月07日 00:10に投稿されたエントリーのページです。

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