会社が健康診断をニューヨークで受けさせてくれて(実はアトランタやヒューストンにも対象クリニックがあることが判明したがタイミング合わず)、前乗り1泊と交通費が出るので職場の人はみんな観光に使っています。今回、日月で行ってきました。
赴任1年以降で年1回、任期切れまで1年以上あること、というのが条件なので多くの人は2回チャンスがあるのですが、弊管理人は秋の異動で昨年秋は忙しくて行けなかったため、たぶん今回で終わりです。行ってみるとこれは完全にボーナス旅行だなと思いました。健康診断はDCでも受けられるでしょ。弊管理人が財務担当者だったら絶対これ切る。いやありがたいけど。
行きはデルタ航空でラガーディア空港までひとっとび1時間。
空港からハーレム駅までバスで行きます。自転車レースかなんかで高速めっちゃ混みだったが、降りたら空いてました。ハーレムってちょっと危ないイメージがあって、実際裏通りはあまり……という感じ。
メトロノースというコネチカットのほうに行く鉄道路線の主要駅(Harlem-125st)があるんですね。
改札はなく、乗ってから検札が回ってくる方式。下の写真は立ってる2人とも係の人です。切符は駅の自販機でも買えるけど、アプリで買ってQRコードを見せるのが簡単。アカウント作ったりクレカ登録したりしなくてよいのがいいと思いました。
窓きれいにしてあるし、ガタンゴトンうるさくないしで乗り心地よかったです。
Stamfordという駅で乗り換えて、コネチカット州のNew Canaanという支線の終着駅で降ります。新しいカナンの地。乗り換えのときに駅の人にどのホームに行けばいいのか聞いたら、発音は「ニュー・ケイナン」でした。
こぢんまりとしたきれいな街という印象。
きょうの目的地は20世紀の建築家フィリップ・ジョンソン(1906-2005)の「ガラスの家」(The Glass House)です。49エーカー(200万平米)の敷地に50年かかって少しずつ新しい建物が建てられていったそう。
日曜はセルフガイドのツアーで、ゆっくり見られそうだと期待していたところ、ハーレムの駅でチケットをネット予約しようと思ったら前日まで余裕であったチケットが売り切れ!しかし電話したら「セルフガイドの日だから定員とかないんで、来れば見られるよ!」とのことでした。よかった。「書いてあることは現実のごく一部」という国では、疑問があればぱっと電話するのが吉。そこへの抵抗感がなくなるのに時間はかかったが。
全体的に角張ったデザインですが、シャワーとトイレは円柱の中に入ってます。客間として使っていたようです。
こちらは彫刻ギャラリー。
午後の少し日が傾いてきた時間帯になると、このように中がしましまになります。
フィリップ・ジョンソンはヨーロッパ中心にいろんなところに旅をし、古代ギリシアの建築の影響も受けたようだとのこと。
この墳墓のような美術館もギリシア式とのことですが、古墳ぽくもあるよね。
中にはウォーホルがありました。柳宗悦の椅子(両手でお尻受け止めるみたいなやつ)が台所にぽんと置いてありました。日本にも行ったのかな?
ガラスの家から見下ろす池にはパビリオン。渡る橋はありません。ミースやライトとも交流があったようですが、二人に比べるとぐっと実験的だと思う。とはいえ、早くに相続で大金持ちになった人とのことで、その影響は分からないが、破綻はなくお行儀がいいという印象。
そこからまたちょっとした丘を登ると塔。9mあり、よく見ると一番上まで階段で上れるようになっていますが上ってはだめとのこと。まあそうね。手すりもないしめっちゃ危なそう。
図書室。それにしても緑がきれい。美唄のアルテピアッツァをちょっと思い出すな。
セルフガイドではあるものの、建物ごとに説明の人がいて、延々おしゃべりに付き合ってくれます。作者がどう使っていたかとか、どこを見ると面白いかとか。
これが最後(1995)にできた建物。角張った建物が多い中で、これは曲線的。
窓からは図書室が見え、図書室の窓からは「おばけの家」という骨組みだけの家が見える。上から見るとガラスハウスと周辺の建物が三角形に配置されている、図書室のキューポラと相似形の赤松がある(下)など、自然の中にぽこぽこと無作為にモノを置いていったように見えて、作為がそこらじゅうに満ちている。
説明員のおじさんに「本を読んでるみたいですね」と言ったら「そう。フィリップはこれを『日記』と呼んでいた」と言われました。
なんなら門も作品らしいです。ガラスの家にいた説明員のおばさんが「ちょっと鳥居っぽいよね」と。周到に「パクった」(文化の盗用避け?しょうもない批判用概念だと思うけど)という表現を避けつつ、いろんな文化からの影響があったことを示唆されていました。
うん、とても面白かった。暑くも寒くもなくて天気も最高。いろいろ喋ってたら「あなた建築家なの?」って3回聞かれ「しがない会社員です」と答えました。
駅まで戻ってきて、昼飯を逃したので地元スーパーで缶コーヒーとマフィンを買ってベンチで食べました。ブルーボトルの缶コーヒー初めてみた。6ドルとかすんのな。
戻りましょう。またStamfordで乗り換え。ニューヨークのほうが日本と風景が似てる気がする。アジア人もDCより多いような。あと日本人かなという人も結構いる。男は貧相だし女は神経質とアマゾネスに二極化する傾向がある気がする。
ハーレム駅を通り過ぎてグランド・セントラルというターミナルまで行きます。
アムトラックのペン駅とはつながってないのかな。
ごーか。
地下にはフードコートがある。貴婦人みたいのが飲み物選んでました。
ホテルにチェックインして、近くのアイリッシュパブでシチューとビール、そんで戻って寝ました。
つづくなり。