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ターキーの夜

木曜は感謝祭で祝日。ここから世間は4連休の雰囲気、人によっては先立つ月~水も休みにして9連休にするそうです。
スーパーに行ったら七面鳥の死体いっぱい。
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夕方18時ごろ、時差ぼけがまだ抜けてなくて、ちょっと布団に入ろうかな~と思ったところで同僚からメッセージ。今から七面鳥食べるけど来ない?と。行きますうう!

家の近くのワイン屋が開いていたので飛び込む。
店員『お勧めしようか』
弊管理人「え……きょう何時閉店?」
『今』
「頼む」
で1本買って地下鉄に乗りました。

アーリントン郡のいいとこ、クラレンドンにあるアパートまで歩く途中、人影はほとんどありませんでした。日本だと正月1日の夜みたい。家族でディナーが正しい過ごし方。実家に帰った人が多いようで、弊管理人のアパート地下駐車場もガラガラでした。
女子3、そこへ弊管理人。「実は前日夜、ホストと同僚の頭にそれぞれ(弊管理人の)顔がよぎったが、都合どうかなーと思っているうちに今日になった」。でもありがたいことです。
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ホストは子どものころアメリカに住んでいた人で、「アメリカ人が典型的に食べるものを面倒臭がりのアメリカ人があまりかけない手間をかけて用意した」とのこと。すごい。
肉を柔らかくするためのブライン(塩とかワインとかの溶液だと思う)につけ込み、スタッフィング(詰め物。パンや栗、玉ねぎ、ハーブなど)を入れてオーブンへ。肉は鶏よりぱさつくのでクランベリーソースかグレービーソースで食べる。付け合わせはインゲン。
夜半までおしゃべりして、途中から合流したおにいさまに送ってもらって帰りました。

* * *

金曜はカレンダー上は平日で、早出シフトだったので出社しましたが、特段何もせず帰宅。
相変わらず体が時差調整しきれてなく、朝4時に起きたので夕方に強烈な睡魔が襲ってきました。あまりがっつり寝ないように、毛布をかぶってロッキングチェアに座ったまま目を閉じたら4時間が溶けていた。恐怖。

21:30に東京から電話がきて、「きょうは薄商いだから」という趣旨で微妙な案件の発注がきたので、ものすごく嫌オーラを出して引っ込めてもらった。埋め草がほしい、みたいなしょうもないことで夜中から仕事させようとかすんな。

* * *

土曜はエジプト出張前からお声がけをいただいていた七面鳥の会。こちらは日本人とアメリカ人、計10人くらいの集まりでした。メリーランド州のシルバースプリングというところ。家から車だと30分ちょっとですが、呑むので地下鉄で1時間かけて行きました。

付け合わせはインゲンのほか、クリームスピナッチ(ほうれん草)、トウモロコシ、マッシュポテト。ホストのおねえさまは米国人の旦那さんと結婚して在米20年とか。こちらもとてもおいしかったです。木曜も土曜もホストは「ま、七面鳥ってそこまでおいしくないんだけどね」と言った。淡泊な味で、上手に焼かないとパサつくそうです。
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スタッフィングを初めとして、各家庭に「うちのレシピとメニュー」があるっぽい。しかしケツから具を入れて首なし死体を丸焼きにするって、やはりちょっとぎょっとする。いや切り身だって死体だというのは分かってます。
そして、先住民に助けてもらっておいて(thanks-giving!)、ぶっ殺して土地を奪った黒歴史には申し訳程度の目配りをしつつ、それはそうとホリデーたのしいねが粛々と進行していく社会。

* * *

この1週間もいろんなインシデントで人は死んでおり、州内のウォルマートでは元従業員が銃を乱射して何人か死にました。その時のニュースでも聞いたし、大統領もよく使う表現がempty table/chair。必ずしも死んだ人だけでなく、在外の軍人みたいに出掛けてるだけの人にも使うよう。「親しい人の不在」は、特に家族が集まる時期の食卓で感じるのね。日本人にもすっと理解できる感覚ではあるけども、日本語表現だと食卓という物理的な場所ではなく「心」に「ぽっかり穴」があくわけだ。つまり欠如の感覚は状況に紐付いているのではなく、いつもそこにある。

* * *

ところで七面鳥って何、ってあまり意識したことはなかったけど、北米固有の鳥だった。短距離なら飛ぶが基本は歩く。「野生の七面鳥がその辺うろうろしてるわけですね」と参加者に聞いたら「たぶんそう」と。

なんでターキー(トルコ)なの?と思ったらこういうことだったらしい。

16世紀に最盛期を迎えたオスマントルコ帝国は、アジア、アフリカ、ヨーロッパにまたがる広大な領土を誇っていました。そのころ北アフリカの一部に生息していたホロホロ鳥が、トルコ経由でヨーロッパに輸入をされていました。

その当時ヨーロッパでは、トルコを含めイスラム圏から伝わったものには「ターキー」の名を付けることが多かったため、ヨーロッパの人々はホロホロ鳥をトルコ鶏(ターキーコック)と呼んでいました。
同じ時期に北中米に生息をしている七面鳥がスペイン人によってアメリカ大陸からヨーロッパに家畜としてもたらされていました。ホロホロ鳥と非常によく似ていた七面鳥もターキーと呼ばれるようになり、この名称が世界中に広がったのです。

ターキー(トルコ)=七面鳥という名称が世界中に広がったため、1990年ごろ、トルコ政府の高官によりトルコの正式な国名をトルコ語のTürkiyeに近いTurkiyeに変えようという要請が出たことがありますが、いまだに変更はされておりません。

* * *

エジプトからの下痢は結構長く引きずって、何か少しでも口にすると即座に腹が鳴って水便がシャーって出る状態が続きました。水曜夜がピークで、まだ腹になんか残ってたの?と思うくらい出てから、木曜に回復基調に入りました。七面鳥の時は実は恐る恐る食べてました。
結局、金曜は少しゆるいくらいのが朝に出てから土曜はお通じがなく、日曜朝に正常化。よかった。腹痛も発熱もないまま。疲れだったのだろうか。

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2022年11月27日 10:19に投稿されたエントリーのページです。

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