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岡家住宅

滋賀県日野町にある、ヴォーリズ建築事務所による和洋折衷住宅「岡家住宅」を見学に行ってきました。
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近江商人の岡太郎次の妻栄美が昭和14(1939)年、次男の誠氏夫妻のために建てた家です。誠氏のお孫さん(年金生活者だそう)が大阪に住んでいて、冬季を除く月1回、見学の機会を設けていらっしゃいます。
ヴォーリズは1905年に英語教師として来日し、近江兄弟社の創業者としても知られる建築家。栄美は結核を保っていた誠氏のために明るくて健康的な家をと依頼したようですが、どういうつてがあったのかは判然としない(お孫さんが聞いたがはっきり言わなかった)そうです。1938年の初めに設計ができたときにはもう少し大きな家だったものの、同年に国家総動員法ができて「贅沢だ」として通らず、小さく修正したとのこと。
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ヴォーリズというと洋館に和のテイスト、というイメージですが、こちらは和風建築に洋の要素が入った形式だそうです。建築作品リストは1906-1942年にわたっているということで、後期の作品。過渡期として作りや調度にさまざまな実験がなされています。
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例えば玄関の下駄箱の壁を隔てた裏側は洋間の物入れになっており、そこには床の間にあるような飾り棚がついています。これはほぼここでしか見られないそう。また、観音開きの腰窓など極めて風通りのいい家にする工夫がされていて、案内していただいている間も気持ちの良い風が常時吹いていました。
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玄関横には女中さん用の3畳間、台所と配膳窓で繋がった茶の間のさらに奥には、写真が好きだったという誠氏のための現像室を兼ねた事務室があり、小さな居心地のいい部屋も素敵です。案内してくださった岡さんは大阪住まいですが、最近はこの家に来ている時間が長くなってきているとか。再び住むことも考えていて、ちょうどこの日は小さな2ドア冷蔵庫が運ばれてきていました。
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まだ特定されていないヴォーリズの建築を見分ける手段は(1)窓の外の水切り勾配(2)八芒星のデザインがどこかにある(3)その地域の年寄りに聞く、だそうです。

最後、コーヒーをいただきながらお話を聞いていたら、この地域原産の「日野菜(ひのな)」という野菜(蕪)のお話が出ました。9月にまいて11月に収穫(今は春蒔きもあるが固いとのこと)。首のところが紫色で、漬けるとその色素が出て色がつくので「桜漬け」という。特に鎌掛・長野という地区の土で作ったものは、紫と白がグラデーションではなく境目がはっきりする。それぞれの家で独特の味を誇っており、秋にやる地区の運動会後の直来ではみんなで持ち寄って食べっこしたりするそうです。
岡さんは「他でも食べられる野菜ではあるけど、この地区の原種が保ってる苦み、えぐみが好き」と話しておられました。

* * *

日曜夜は、にしやまさんへ。牡蠣の松前焼き(昆布を敷いて焼くことらしい)。
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あーうまい。そしてかなり食べた、今日は。おやすみなさい。

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2020年10月04日 22:03に投稿されたエントリーのページです。

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