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立て続けに読んだ本

わりと急いでいろいろ読む週でした。

■加藤文元『宇宙と宇宙をつなぐ数学―IUT理論の衝撃』KADOKAWA、2019年。

・ABC予想=1985, マッサー(David Masser, 英→瑞)とオェステルレ(Joseph Oesterle, 仏)が提示

互いに素の自然数a,b,cについて、a+b=c (←足し算)
d=rad(abc) ※abcを素因数分解して、各素数の指数を1にした数字の積(根基)(←掛け算)
とした場合、c>dになる場合はすごく少ない

例)
a=3, b=16 とするとc=19
d=rad(3 x 2^4 x 19)=3 x 2 x 19=114
でc
a=1, b=8 のときは c=9
d=rad(1 x 2^3 x 3^2)=6
でc>d(例外的)

・証明されると、実効版モーデル予想(曲線の有理点が有限個であることに加え、それがいくつあり得るかも考える。pp.109-116)、シュピロ予想、フライ予想、双曲的代数曲線に関するヴォイタ予想が自動的に正しいということになる。フェルマーの最終定理もすぐに証明できてしまう→整数論における難しい予想の多くと関係しており、多くの未解決問題がいっぺんに解けてしまう重要な問題がABC予想
・ABC予想はシンプルだが証明は難しい。自然数の足し算(cの値)とかけ算(dの値)が絡まっているから(既存数学は両方を統一して扱える「正則構造」の下にある。本人の言葉では「自然数」の足し算とかけ算からなる「環」という構造があるから)
→IUT理論(宇宙際タイヒミュラー理論、タイヒミュラーは人名)は、足し算とかけ算を引き離して別々に扱い、分離前にはどんな具合に絡まっていたかを定性的に/近似的にとらえられるようにする装置(つまり、いったん分離したものを再構成した際には、元のようにかっちり絡まっているのではなく、ゆるゆるになっている)
・足し算と掛け算の一方をそのままにしながら、他方を変形する、あるいは伸び縮みさせる(p.175)
・数学体系(宇宙)をもう一つ想定し、既存数学の宇宙との間で、対称性をメディアとして通信を行う。つまり宇宙Aの要素を対称性にエンコードし、受け取った宇宙Bでデコードして対応物を特定する。その際に生じる不定性も計量する
・足し算と掛け算が絡み合っていることから生じている未解決問題には双子素数の予想、リーマン予想、ゴールドバッハの問題もあり、人間はまだ足し算と掛け算の関係をよく分かっていないのかもしれない

*2012年の望月論文発表前には、玉川安騎男教授らに予告していた(望月、玉川氏は松本真氏とMMTセミナーを開催)
・人となりはpp.96-107
・これまでの難問解決:ファルスティングス(望月氏のプリンストン大での指導教授、フィールズ賞)→モーデル予想、ワイルズ→フェルマーの最終定理

■プラトン(中澤務訳)『饗宴』光文社、2013年。

今学期の放送大学(別に学生じゃなくて、音声を録音して仕事中に歩いてるときに聞いてるだけ)で美学の授業を聞いてたら出てきた本。宅飲みで恋バナしつつ、美のイデア/実在論へ向かう。

■篠田謙一『新版 日本人になった祖先たち』NHK出版、2019年。

これはNスペとか映像向きの話だった。

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2019年05月15日 07:56に投稿されたエントリーのページです。

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