帰省先から東京に戻る高速バスが渋滞で遅れており、車内で書いてます。
粗い(特に親族のところ)メモになってしまいました。
最近目が悪くなったような。疲れ目なのか、まさか老眼か。
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6 Person and Society
・社会構造:個々の人たちとは無関係の抽象化された実体
ラドクリフ=ブラウンらはそれがどう社会の維持に貢献しているかを解明しようとした
例)宗教→社会の一体性を作り出す、家庭→生殖や社会化……
「何かの超自然的なものを崇拝する=社会を崇拝している」(デュルケム)
→機能を失うと、その制度は消滅する
・しかしいつも成員がその通りに行動するとは限らない
→ファース(Raymond Firth)による解決は:社会構造structureと社会組織organisationの区別
社会構造は、確立したルール、慣習、制度などのパターン
社会組織は、その中で実際に人がどう行動するかという側面
例)聖書を勉強してもクリスチャンの振るまいは予測できない
→社会「過程」への注目を開いた
・社会システムsystemと社会構造structureの区別も重要
社会システムはアクター同士が取り結ぶ一群の社会関係
その境界は、それより外に出ると相互関係がぐっと減る地点
システムはサブシステムに分けることもできる
社会構造は全体的な社会関係を指す
・どちらも個人の行動を可能にすると同時に、制約するものでもある
・ソーシャルネットワーク
継続的なコミュニケーションによってたえず創出される、個人を中心とした社会システムの一種
最初に使ったのはジョン・バーンズJohn Barnes
SNSはよい例
脱中心的、はっきりとした形を持たない、不安定←→社会構造
特に大規模な社会を分析するのに向いている
・では「規模scale」って何だ?
(1)社会の再生産に必要な地位statusesの数
(2)匿名性の程度
個別のアクターの行動を規定する
が、アクターがほり大きなシステムと接続することで変容することもある
・インターネット
ローカル/グローバル、小規模/大規模、との二元論を超えるネットワーク
脱中心的で脱地域的な「複数のネットワークで構成されるネットワーク」
例)トロブリアンド諸島出身者のネットコミュニティ研究
・メアリー・ダグラスの「グループ×グリッド」
グループ:社会の結びつきの強さ
グリッド:社会の中で階層や知識がどの程度共有されているか
強いグリッド×強いグループ:社会が個人の振る舞いを強く規定する
強いグリッド×弱いグループ:服従的でありながら自己実現を求められる(中央アフリカ等)
・この分析方法では、一部のロンドン市民とピグミー族など、意外な集団が同じ位置に来ることも
・方法論的個人主義(スペンサー、ウェーバー)/全体主義(デュルケム、マルクス)
・人類学の個人中心的な分析手法は、構造機能主義への批判として登場
1950年代に欧州。主にマリノフスキやウェーバーに触発されている
「社会が目的を持つことなどあるのか?」
制度は個人が行う行動の集積に過ぎない。原因でなく「結果」である
全体主義は記述的であって、「なぜ」そういう制度ができたのかを説明できない
そもそも制度は社会を安定化させてない(不安定の種を内包した制度もある9
構造機能主義は今あまりはやってないが、民族誌を書く際の有用な足がかりではある
・構造の二重性the duality of structure(ギデンズ)
構造は個人の行動を形作るとともに、個人の行動の蓄積によって形作られる
ヘラクレイトス→シュッツ、マンハイム→バーガー、ラックマンLuckmann→ギデンズら
個人は社会の中に投げ込まれ、社会を変えていく
・社会の記憶と知識の伝播
・なぜ英国の貧しい子は貧しい大人になるか→話す言葉が学校の勉強に合ってない
・白人と黒人の言葉使いの違い
・フェミニズムの視点
(1)女性は男性とは違った見方で世界を見ている
(2)女性は社会的な成功に必要な知識から遠ざけられている
・コナートンPaul Connertonの「社会的記憶」の3分類
(1)個人的記憶(生育歴、個人的な体験)
(2)認知的cognitive記憶(世界をどう見るか)
(3)習慣的habitual記憶(身体に埋め込まれた記憶)←ここが大事
足を組む、字を書くなど、身体的な訓練、ルールによる埋め込みで形成される
・スペルベルDan Sperberの「表象の疫学epidemiology of reporesentation」
知識や技術は、ウイルスとは違った伝播の仕方をする
→伝播するたびに、少しずつ変化する。このことへの注意喚起を促すもの
・ブルデューの「ハビトゥス」:無意識を規定する、身体に埋め込まれた文化
→ブロッホ(Maurce Bloch)の「言語化されない」規定力
→インフォーマント自身が言語化できない。
フィールドワークでインタビューに注力しすぎると落とし穴に落ちるということ
・この章で見たこと
(1)「(静的な)構造」から「過程」(あるいは変容)への変化
(2)「機能」から「意味の解釈」への変化
→人類学は社会科学より人文学っぽくなった
7. Kinship as Descent
・親族は特に1940年代まで研究の中心で、現在も関心を引き続けている
・なぜそんなに重要か→社会の成員の日常生活、キャリア、アイデンティティを規定する
・多くのシステムが親族関係とかかわりながら動いている
・インセスト・タブー。なぜタブーか?
外のグループと通婚することで、ネットワークの拡大を狙う?
遺伝病のリスクを低減する?→しかしこれは当事者がリスクを知らないので怪しい
小さい頃から一緒にいる相手にはエロスを感じない?
レヴィ=ストロース:男にとって女は「妻」か「きょうだい」。女の交換は根源的な互酬性?
・内婚/外婚
・父系/母系
母系の社会は父系の単なる裏返しではない。母系でも男が政治力を持っている
・交差いとこ/平行いとこ
・(財産の)相続inheritanceと、(地位の)継承succession
・(血族を具体的に挙げられる)リネージと、(先祖を共有していると信じる)クラン
・親族関係は、自分の遺伝子をばらまきたいという根源的衝動の副産物か?
1970年代、ウィルソンEdward O. Wilsonは社会科学は生物学の子だと主張
←→サーリンズ「遺伝的に近い集団の紐帯が強いなんて関係はねえよ」と批判
今日では、文化的現象を「生物学的に機能的・適応的」と説明する人はほぼいない