■宮澤淳一『マクルーハンの光景 メディア論がみえる』みすず書房、2008年。
カナダはなぜか傑出した変態を生みます。マーシャル・マクルーハン、グレン・グールド、あとオスカー・ピーターソン。理知的なのが行きすぎて飛んじゃってる。
この本はマクルーハンを味わうための、ホップ・ステップ・ジャンプの3講で構成されています。エッセンスの詰まった「外心の呵責」という短編をパラグラフ・リーディングでじっくり味わう1講。ホット/クール、メディア、メッセージ、マッサージといった鍵概念の把握を目標に、少しスピードアップして代表的な著作を駆け抜ける2講。ジョン・レノンやグールド、ジョン・ケージなど、新しい芸術をする人たちにマクルーハンが与えた影響を概観しながら、電子メディアが変容せしめた世界の今とこれからのギスギスとキラキラを見透す、「地球村」についての3講。
それぞれ趣向が変えてあって飽きない。それでいて全体を通して説明が親切で有り難いです。
こんなこと言ったらあれですけど、マクルーハンて、訳書が高価で、かつ素人が独りで読むにはちょっとついていきにくい文章、そのうえもう50年も前のこと。当座は質の良い解説に出会えたらそれで満足しとこう、と思う人によいかと。