■金森修『動物に魂はあるのか』中公新書、2012年。
お掃除ロボットのルンバを買った友達が、仕事から帰るとルンバがバッテリー切れで掃除途中で止まっちゃってたり、玄関の段差に落ちちゃってたりして愛おしくなる、なんて話をしていました。
石に魂を見ることはめったにないが、石の下にいたダンゴムシを潰すのはちょっと気がとがめる。犬には感情だけでなく、判断力があるようにさえ見える。ボノボの知能ってすごいんだっけ?それでは「未開」の人々は?死にゆく"脳死状態"の人は?
――動物に魂はあるのか、それとも動物は外的な刺激に定型的に反応する機械にすぎないのか。デカルトが「動物=機械」論という極論で提起した論争は百数十年を経て一応中庸なところに落ち着いたけれども、それは完全に終わったとも言えず、「われわれ」と「われわれ以外」を分ける論理と倫理ってどういうものなのか、という広くて重要な問題に繋がっている気がする。それを考える入り口に立つためのブックガイド、かな。(ダンゴムシとボノボとロボットは出てきませんw)
いや、私は分かってるんですけどね、入門書ですし、紙幅が限られてるから割愛してるんですよ、ええ。っていう(おそらくチクチク重箱の隅をつつきそうな専門家が読んだ時用の)言い訳がいっぱい出てきて多少うるさい。でも、ニワトリを壁に叩き付けたり獣や原住民をスポーツハンティングしちゃったりしてた人たちが家畜福祉とか捕鯨反対とかいうのに鼻白む前に、あっちの世界で歴史的にどういう問題が立てられてきたのか、前史としてのアリストテレスからデリダ、シンガーまで見渡すことができる、まあ有用な本かと思います。