■戸田山和久『「科学的思考」のレッスン』NHK出版新書、2011年。
せっかく冬休みに入ってるのに、いろいろ思い出すような本を読みたくないんですけど
……と思いながらも信頼できる筋からの強い押しがあって帰省中に始めた2011年最後の読書。確かにいい本だった、これ。
[自然]科学って一体何をやっているの?という疑問に答える第Ⅰ部は、科学史・科学哲学(ちなみに、このナカポツで結ばれたふたつの分野は決して切り離せないんだなあという思いも強くしてくれるパートです)の代表的なトピックの紹介や、科学と疑似科学を分けるもの(科学を科学っぽくしているもの)とは何かについての考察など。説明するってどういうこと?仮説はどうやって立てる?それをどう検証する?
第Ⅱ部では、シロウトと科学はどうつきあっているの?/いくの?という科学技術社会論(STS)的な視点から、「科学リテラシー」と呼ばれているものの正体を追い詰めていきます。主にダシになっているのは、昨年の原発事故をはじめとした原子力・放射線関係の話題。
科学論についての一般人向けの講義をもとにしたそう。「新書っつってもこれくらい分かるでしょ」と説明を怠ったまま――あるいはヘタクソな説明つきで――専門用語を使って読者を置いてきぼりにすることがない。章の終わりには練習問題と、箇条書きのまとめがついていて、「わかったー?」と一度振り返ってから次に進んでくれる。章と章がちゃんとつながっていて道に迷わない。「次はこれなんか読むといいよ」というお土産的ブックガイドもつけてある。
”光より速い”ニュートリノとか、低線量被ばくの危険性とかいった個別の事象について、百家争鳴のツイートを追いかけたり一喜一憂したりするのに疲れたとき、一歩退いて「そもそもの仕組み」を知ることができたらもうちょっと落ち着いて考えられるのに、と思うでしょう。ていうか、昨年ほど多くの人がそう思った年はなかったのでは。だからこういう本が必要とされたし、最初に手に取る本として十二分に役割を果たしたのだろうと思います。おすすめだ、おすすめ。
【追記】関係ないけど、
今日は前から入ってみようと思っていた新宿のラバーズロックカフェで昼飯を食いました。
ロコモコ。飲み物ついて950円ならまあお値打ちではないだろうか。
まわりの女子たちはタコライス食ってました。
甘いもののラインナップがおいしそうだったので、今度はお茶しに来てみようっと。