ゴールデンウィークがないことを嘆いておりましたが、この日に休めなかったらグレる、くらいの勢いで上司に迫ったところ、いただけました、19日からの4連休。
なんでそんなに気合いが入ったかというと、大分県別府市で開かれている「別府アルゲリッチ音楽祭」のコンサートのチケットを1月に取っちゃっていたからなのです。
■19日(木)
前日は午前1時半くらいまで仕事をしていたので、へろへろになりながら10時台の飛行機に乗りました。
国東半島にある大分空港へ。実は生まれて初めての九州上陸です。
実は音楽祭に仕事で行く会社の後輩と、ちょうど同じ便に乗ってました。二人で別府中心部までバスで出て、昼ご飯にします。
ご当地のものをということで、「グリルみつば」でとり天定食(1050円)。
要は鶏肉の天ぷらなんですが、ここにちょっと甘いタレがかかっていてウマイ!!!!
後輩と二人で「アリだ、これはアリだ!」と言いながらがつがつ食いました。
あとで地元民に聞いてみると、家庭でも普通に食すことの多いというとり天、食べ方は一つではないとのこと。「みつば」は最初からタレをかけるもので、これは異端なのだとか。ポン酢、かぼす、洋からしあたりを使って好みのつけつゆにして食べることが多いそうです。
後輩は夕方までの仕事に向かい、弊管理人は別府駅からバスで30分ほどの「鉄輪温泉(かんなわおんせん)」へ。
「地獄めぐり」だそうですが、これはまあ、ふうんという程度のもの。
でも街を歩いていると、いたるところで温泉や湯煙の噴出が見られて、すごい迫力です。
開渠が温泉成分でか緑色になってます。
中心部に戻ってホテルにチェックインしました。
「エール」という、楽天でなんとなく決めただけのホテル(素泊まり5600円)。でも部屋は広いし、なにより屋上に作ってある露天風呂がいい!
海と、遠く大分市の町並みまで見えます。
お湯も熱過ぎなくて、ずっと入っていられます。
結局、湯めぐりなどはせず、ここのお風呂にばかり入っていました。
夕方、後輩と合流してちょっと早めの晩飯を。
やっぱり何かご当地ものをということで、冷麺にしました。
何カ所か店舗があるらしい「大陸ラーメン」で680円。満州からの引き上げの際に持ち込まれたものらしい。つゆは和風な感じ、麺は日本そばの混ざった独特な冷麺です。これもまたうまい。キムチやゆで卵をおかずに麺を食べる感じというのかな。
■コンサート
さて、最大の目的だった室内楽コンサートは、ビーコンプラザという施設で行われました。
アルゼンチン生まれのピアニスト、マルタ・アルゲリッチを招いて毎年開催されている「別府アルゲリッチ音楽祭」は今年13回目(なんだか温泉がずいぶんお気に入りのようで)。今年は彼女もとうとう古稀を迎えるということです。
10日余りの期間中、何度かコンサートが開かれるのですが、今年は弊管理人としてはぜひ出向いて聞きたい理由がありました。
1998年、大学3年のときに聞き逃したショパンのピアノ協奏曲第1番が今回のプログラムに入っていたためです。1991年、初めて買ったCDもアルゲリッチのものでしたが、生演奏はこれまで見たことがありませんでした。出会いから数えて20年とすれば、最も見たかった演奏が見られる機会を、誰がやったってできるような仕事なんかでフイにできるわけないでしょう?
本番では40分弱の演奏中、一音たりともおろそかに聴かないよう全力で味わいつくしました。
とにかくテクニックと駆動感が特徴的な彼女ですが、過去の映像を見るとオーケストラを引っ張る暴れ馬のようなところもあって、必ずしも心地よい演奏ではないのかなあと思っていたところもありました。
しかし、目の前にあったのは、弦楽器の仲間たちと調和しながら、しかもパワフルかつ情感いっぱいに「あたしの歌」を歌いきるという難しい統一が完遂された演奏でした。こぶしを回しながら、拍を乱さない。均整が取れて粒立っているのに流れている装飾音。ぞくっとするような弱音。すごいスピードで難しいフレーズに突っ込んでも危なげなく制圧してみせる―。
最後の音から手が離れないうちに拍手が起こり、カーテンコールが4回。休憩を挟むために会場が明るくなっても拍手がやまず、最後にアルゲリッチが出てきて深々とおじきをするのを観客が総立ちで迎えるという熱気でした。
弦のみの曲も含めてプログラムをすべて終えるとアルゲリッチが再登場。「ハッピー・バースデー」のファンファーレが鳴り(6月5日生まれらしい)、大きなバラの花束が手渡されました。歳の数=70本あったのかな。それを太い片腕で軽々と(?)抱え、バイバイして去っていくアルゲリッチに観客もバイバイして終わる。そんな温かい音楽の「祭」。感激しながら堪能しました。