■下條信輔『サブリミナル・インパクト』ちくま新書、2008年。
1996年に『サブリミナル・マインド』(中公新書)を出し、東大からカリフォルニア工科大に移ってしまった下條せんせ。干支がひとまわりして出た前著の応用編です。
意識に上らないサブリミナルなもの、それが理性に先立つのだということをまず示す。
そのサブリミナルなものに直接訴えかけ操作する(そしてそれを意識上では自分自身の自由な選択だと感じさせる)現代のメディア、マーケット、そして政治について。
大澤真幸のいう「現実への逃避」、東浩紀のいう「動物化」あたりを、認知神経科学から見るとこうなります、的な話とお見受けしました。
それにしても実験心理の人が社会診断をやるとは、またずいぶんと禁欲を破ったなあと思いながら読みました。ま、新書だっつうのもあるでしょうし、誰かがやらねば的な仕事であるのかもしれません。いや違うな、そんなのとっくにフツーのことになっているっぽい(神経経済学!)。