■岩下明裕『北方領土問題』中公新書、2005年。
時間も経ってるし、四島返還なんてロシアの世論が許すわけないし、二島とかゼロとかでは日本も引っ込みつかないし、ここはひとつ面積で半々に割って択捉以外の三島返還でどうすかね、というお話し。
いやまあそんな単純な言い方はしてませんけど(いろんな論点に丁寧に目配りしていると思う)、とても読みやすい本ですし、北方領土問題って何さと思う人はこの本と、あとは教科書的に外務省の『われらの北方領土』を読むとだいぶ分かった気になるのではないかと思います。「じゃあどうしたらいいのか」にそれなりの紙幅を割いているのが、学者の仕事としてはかなり思い切っているなあと好印象でした。
仕事に関わることなのでここには書けませんでしたが7月の終わりごろからちょこっと”北方領土”に触れる機会がありまして、参考書として読みました。
北方領土にロシア人二世三世が増え、いっぽう日本人元居住者は次々と亡くなっていくわけで、時間の経過は返還運動にとってプラスに働くわけがないでしょうから、個人的には二島でまあ及第すれすれ、三島ならよくできました、とにかく早く国境を確定したほうがいいだろう、と考えてます。両国ともに「100点ではないが、メリットのほうが大きい解決ができました」と自国内むけにアピールでき、それが世論に受け入れられる落としどころとして「3島」つうのはかなりいい線いってる気はするんですが。