■佐々木正人『アフォーダンス入門』講談社学術文庫、2008年。
アフォーダンスって何やねんとここ何年か思いながらちゃんと本を読むことがなかったので、文字が大きくて文章が平易なこの本にお世話になることにしました。
アフォーダンスは、動物個体の外にある「環境」の中にあって、個体に対して与える可能性のこと、とでも言っておけばいいんでしょうか。「水」のアフォーダンスなら「泳ぐ」「飲む」「汚れを落とす」など。
そうした水が意味するところのもの=泳ぐ、飲む、……、というのは、個体の中に備え付けられた反射でも概念に従う行為でも試行錯誤の結果でもなくて、環境の中に存在していて、そこに個体が働きかけつつ行為が作り上げられていくようなものだというのですね。
こうした環境と個体の相互作用こそが知の正体であると考え、その知を扱うのが「生態心理学」なんだということでしょう。
さて、それが何の役に立つのかといえば、知性に関するよりよい説明ができます、というくらいなのかな、という感想ですが、連想ゲーム的に思いついたのは、ここから環境の操作によって人間の知性を操作できそうだという「アーキテクチャ」の話につなげることってできないんだろうか?とドキドキしつつ次の読書に続きます→鈴木謙介『ウェブ社会の思想』(読み終わったらリンク張ります)