■芥川也寸志『音楽の基礎』岩波新書、1971年。
音楽の館、玄関を開けたところにある大広間。装飾のほどこされた重厚な雰囲気の調度品、そして和声学、型式学、音楽史などに続く扉が見える。そんな本。
「音」について語るのにまず「静寂」から入り、人間の耳の特性に触れ、音を高さ・強さ・長さ・音色の構成要素に分解して見せる。とても分析的で、しかも平易な言葉で。
バッハがどうして空前絶後なのか。ドビュッシーがどうして革命的なのか。現代音楽とどうやってつきあったらいいのか。東洋の音楽の可能性。そんなことも含めて含蓄に満ちた200ページです。オススメ。