■長尾龍一『リヴァイアサン―近代国家の思想と歴史』講談社学術文庫、1994年。
第1部は国家論史、第2部はホッブズ、ケルゼン、シュミットの読解。
「近代国家」だなんて便宜的に作り出した概念にすぎない、というのを忘れて、まるで意志をもって実在するかのように扱って自明視し、自国のことばかり考えていてはダメ。かつてその中の住民にとっては「世界そのもの」と同じ意味だった「帝国」はもうなくなっちゃったけど、それにかわる「国連」を強化して平和を達成しませうよ……というのが著者の主張だと思うんですけども。
そのへんの主張は「はじめに」「おわりに」あたりに書いてありまして、サンドイッチの中身の部分は発表済み論文のアンソロジーなので、それは「ふーん」「へええ」と勉強するつもりで読めばよさそう。
あと、神なき時代に倫理は命令=力を失い、計算合理性だけが残る、みたいな状況は別に21世紀に発見しなくてもホッブズの時代には既に陳腐化していたのね。あーあ