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液状監視

■ジグムント・バウマン+デイヴィッド・ライアン『私たちが、すすんで監視し、監視される、この世界について―リキッド・サーベイランスをめぐる7章』青土社、2013年。

もらった本。
タイトル長いよ。
しかし内容はタイトル通り。

ネット通販や検索や携帯電話や埋め込み型の無線チップといったサービスを自発的に利用しながら、次々と個人情報や行動記録を監視システムに提供し、そこから自動的に導かれた分析結果によって自分の行動が方向付けられる、そんなDo It Yourselfともいえるような監視の形。
そこには「監視するコイツ」と特定できるような個性はなくて、中立的なアルゴリズムのようなものが、断片化され顔をなくした情報としての個人を処理している。監視する主体は蒸発し、監視される側が利便や安心を口実に監視を求め、監視に荷担もしている。

そうした監視の仕組みは消費を覆い、情報を得る手段を取り込み、また入国管理などのセキュリティシステムを駆動しながらスタンダードになり、全球的に広まっていく。人々を自動的に・片っ端から「上客」と「買えない奴ら」に分けて商品を薦め、本人たちに気付かれないように「インテリ」や「アンダークラス」と分類した上でそれぞれに合った検索結果を返し、国境では「安全な属性の来訪者」の群れから「潜在的テロリスト」を抽出して追い返す。
人を機械的に峻別し、分断し、そして排除された人たちと包摂された人たちを相互に見えなくしていく。そこに新しい監視の問題が見出される。

強迫的に飲み込み、飲み込んだそばから吐き出していく「過食症」的な後期近代(ジョック・ヤングが描いた)を思い出します。

* * *

3連休のうち土曜と月曜は働きました。
土曜は19時くらいに仕事を終えて、遊びにいこうかなと思ったけれど、21時に寝床に入って11時間寝てしまった。かえって疲れたかも。
でも週明け4日でまた週末だというのがちょっとした救い。

* * *

やることリストを作ると仕事が格段に効率的になりますな。
今更だけど。

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2014年01月13日 23:06に投稿されたエントリーのページです。

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