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バースト!

■アルバート=ラズロ・バラバシ(青木薫監訳)『バースト! 人間行動を支配するパターン』NHK出版、2012年。
Albert-Laszlo Barabasi, BURSTS: The Hidden Pattern Behind Everything, Dutton Adult, 2010.

「確率・予測」関連でまた一つ。

個人の行動の予測は、実はけっこうできる。メールの送信やウェブサイトのクリック数などは、短時間に集中して行われ(バーストが起き)、そのあと暫く沈黙が続く、というパターンを示す。原因はおそらく人が、自分の抱えたタスクに「優先順位付け」をしているためだと考える。それはSNSや携帯電話の位置情報、アクセスログ、受療記録など、人の行動を常に監視しデータを集積するシステムが張り巡らされて初めて定量的に言えるようになってきたことでもある。そこで初めて、人間が全くランダムに行動するという仮定に立ってこそ予測ができるポアソン的な考え方から抜け出ることができる。でも、人間の集団=社会のレベルで予測するのは(まだ)無理のようですけどね。

16世紀ハンガリーの農民戦争と21世紀の世界を描いた二つの話が行ったり来たりしつつ、次第に交わっていく、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』っぽい構成ですが、弊管理人は抵抗なくいつも以上のペースで読みました(ということは密度が低かったということか)。
普段駆使している数式を全く使わないということでお話の流れは分かりやすい反面、「なんでそういう結論になったの?」となる省略のきつい箇所もいくつか。ていうか、個人の起こすバーストのパターンって要は生活上繰り返される「くせ」のことで、集団レベルではそれが混ざっちゃうから予測できず(いや、でも「法人」という1人格の振る舞いとかはある程度予測できる気もするけど)、歴史上の事件は各々特殊な条件下で1度しか起きないので予測できないっていうだけのことなんじゃあ……

監訳者あとがきは全体のうまい要約になっていますが、本文に仕込まれたちょっとした(ほんとにちょっとした)サプライズのタネは伏せています。監訳者も弊管理人のように、本を読むときにあとがきから読む人だったりするのかしら。

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2012年09月09日 01:21に投稿されたエントリーのページです。

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