■大和雅之『おしゃべりな細胞たち』講談社、2012年。
この間に続き、細胞シートをやっている先生の本。ただし今度は対談集で、「再生医療をよく知らない人」「美容業界を知ってる人」「再生医療と科学コミュニケーションのことを知ってる人」「医学の人だが再生医療の人ではない人」「ビジネスの人」とお話されてます。相手が相手ということもあり、易しい言葉で語ってくれるのがうれしいですね。ただもう「インジャリーした(外傷を受けた)ところの組織を」とか「フェイル(失敗)してしまう」とか、この業界の人たちの癖なんでしょうけど、ルー大柴みたいなしゃべり方をそのまま採録しなくたっていいやん、とは思います。
再生医療というと、とかく患者が少ない難病を治そうとか、あるいは命や生活の質にかかわる重大な病気をとか、そういうミッションが語られることが多くて、それは正しいことで、かつ著者もそういうことをやっている人なんだけど、一方で「いや、でも、とば口として美容とか、そういうところから使っていくのもありじゃないかなあ」という柔らかい考え方をしているところが面白いなあと思います。医学を医療として、そしてビジネスとして成り立たせていくのに結構有効な戦略かも、と思ったりもします。
医学部の教授ですが、理学部出身の変わり種(日本では、だそうですが)の著者。再生医療だけでなく、SFを語り、行政を語り、そして「とんがった事業のやり方」を語る。
コメント (1)
面白そう。
投稿者: okametomo | 2012年05月11日 21:55
日時: 2012年05月11日 21:55