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エネルギーを考える新書2冊

■飯田哲也『エネルギー進化論―「第4の革命」が日本を変える』ちくま新書、2011年。
■長谷川公一『脱原子力社会へ―電力をグリーン化する』岩波新書、2011年。

「原発」はまだましとして、話が環境とエネルギーとかいって広くなると、技術と政策と社会の話が混ざり合って、重要なのにとっかかりが得にくい、厄介な分野だというのが弊管理人の認識でした。各地の先進事例とかの紹介を読むと「へえすごいね」と思うが自分の生活にどう結び付くかとはちょっと断絶してる感じ。次世代のエネルギーや蓄電池の技術開発が語られるとなんか夢っぽくていつ実現する話ですかって思う。政策やイデオロギーはどの立ち位置から論じるにしても相手をぶったたこうという気迫がすごくて怯える。

しかし、だんだんこういう話も勉強しなきゃいけない状況になってきた。そこでまずは頻出語彙を確認するために新書を、しかも3.11以降ににわかに登場した人じゃなくて、かつ比較的穏やかに書いているっぽい人のを。と手に取ったのがこれら。長谷川本は原発事故の状況を説明した最初のほうにいくつも事実関係の怪しい個所があって読む気がメゲかけましたが、頑張って読んでいたら乗り切れました。

飯田さんは技術方面出身で政策に切り込んできた人、長谷川さんは社会学(社会運動研究)から入って脱原発をずっと言ってきた人。80年代には始まっていた世界の脱原発、サクラメント電力公社の原発閉鎖、固定価格買い取り制度、飯田市のおひさま太陽光発電所、発電としての節電、そして日本の電源をどう置き換えていくか等々、2人の関心はかなりオーバーラップしつつアプローチが微妙に違うので、この2冊を立て続けに読むという選択は我ながらなかなかよかった。これを足掛かりに各論に入っていければと思います。でも各論かつ非デンパ系の著者によるもので今年の状況を踏まえた本ってそんなに出てるのかな。

それにしても、3.11を「オレの時代が来た日」としてはしたなく歓迎してる感じが染み出てる書き物(「痛ましい災害となった『が』これを『奇貨』として」とか書いちゃうやつ)が意外と多くて、どれだけ正しくてもそれってヒク。上記2冊がそうだと言っているわけではありません。

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2011年12月17日 10:50に投稿されたエントリーのページです。

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