子供と魔法
■オリヴィエ・ベラミー(藤本優子訳)『マルタ・アルゲリッチ 子供と魔法』音楽之友社、2011年。
5月の別府アルゲリッチ音楽祭に出発する少し前、会社の後輩から渡されたこの本に手を付けたのはつい先週末。そこから一気に読み終わりました。
アルゲリッチの初めから今までを、本人というよりは、そのときどきにかかわった人たちの証言をもとにまとめた本。
神童時代、渡欧とコンクール優勝、演奏会のキャンセル、ソロからの退却、音楽祭と、仲間と、親しい人たちとの別離。いろいろな局面を経ても、変わらず第一線で――どころか生ける伝説として――活躍してきた彼女の、危ういが強靱な生の一面を描いていると思います。魔法と/の子供を裡に持ち続けた巨人の姿。