■田中美知太郎『哲学初歩』岩波現代文庫、2007年。
初版は1950年、この文庫の底本は1977年の改版。
哲学史をざーっとさらう本ではなく、「哲学とは何か」「その意味は何か」「それを学ぶことはできるのか」「何を探求するのか」といった哲学の最初の一歩について、プラトンとその周辺を中心にぐだぐだ(超失礼)と考える本です。とても平易な文章で書かれています。
諸科学を上から傘のように覆う「原理の学」としての哲学は、どうやら一から十までを教えることのできるものではなさそうで、せいぜいできるのは馬を水のあるところまで引っ張っていくようなこと。あとは人間にもともと備わった理性の力で各自が究めるものである。その先には究極の幸福があるはずだが、それはあくまで理想の世界に想定できるものであって、哲学はそれを目指した永遠の知識の追求なんでござんす。
みたいな話。