ツィマーマンの弾き振り
ポーランド出身のピアニスト、クリスティアン・ツィマーマンKrystian Zimermanのソロと指揮によるショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番のCDです。(ドイツ・グラモフォンPOCG-10245/6)
ツィマーマンの経歴はwikipediaの項目などを参照。
2曲は超有名曲ですが、ショパンは管弦楽をピアノという刺身のツマくらいにしか思っていなかったのではないかというほど(まあポーランドに刺身のツマがあるかどうかは知らんが)、どの録音を聞いてもオケを聴かせられた感じがしなかった。
ところがこの録音では、ねっとり&こってりしたオケを聴かされます。もちろんピアノも存在感たっぷりです。ツィマーマンが私費を投じて(というか借金したそうなので信用を投じたわけだな)編成したポーランド祝祭管弦楽団を、しかも自分で指揮している。音楽のすべてを自分のコントロール下に置くことで、曲をまとめ上げている。
細部まで考え抜いて、というか自身を浸潤させて作った音楽は、大胆な強弱とスピードコントロールに満ちていて、さすがに重い。おいしいが脂ギトギトの料理を食っているかのような感じ。ショパンがハタチそこそこでこれらの2曲を書いたことを考えると、もっと青くさく弾くのがいいような気もする。ただここまで作り込まれた演奏は聴くほどに味が出てきて(慣れてきて?)、フレーズをよく噛まずに嚥下してしまうような演奏なんか聴いていられなくなるというのも賛成。賛否はあるでしょうがどちらにしてもこの曲のCDのなかで屹立した一枚であることに間違いはないと思います。
聴いているうちに慣れてきてやみつきになる人も多いと思う。