★
マンション問題で登場した「アネハ」(耐震強度を偽装した建築士)と「シノヅカ」(コストダウンの圧力をかけた建設屋)の二人は、本当のことを言っている気がします。
アネハ曰く「自分は『(法令の範囲内では)これ以上無理』と言ったのに『もっとやれ』と言われたので、法令違反をしろと言われたと思った」
シノヅカ曰く「コストダウンしろとは言ったが、法令の範囲内でのつもりだった」
つまり二人が実際に交わした言葉の上では「法令違反になるかどうか」は全く登場せず、二人とも自分に都合の良いようにそのポイントを勝手に解釈していたんでしょう。
★★
成田空港の電気設備工事をめぐる官製談合事件で、東京地検に競売入札妨害容疑で逮捕・起訴された現職部長2人と、逮捕はされなかったが入札前に業者の割り振りに加わっていた現職課長1人が懲戒解雇されました。
自分自身が業者から接待を受けるとかではなく、OBが天下りした企業だとか、新設した設備のメンテナンスなど先のことを考えてのことで、しかも代々の課長に受け継がれていたことだからやっちゃった、という。「いち歯車として前任者もその前もやっていた仕事を淡々と引き継いでいたら、運悪く摘発された」というパターン。
★★★
自分も会社員で、しかも仕事の内容が時々法律ギリギリだったりするので、なんかこの2つの事件を見て考えさせられることが多かった最近です。
安全飛行すると仕事の能率が上がらない、
しかしアクロバットはリスクを伴う。
で、リスクが顕在化したときに、会社は何というかというと「個人の問題であって、組織ぐるみではない」。「仕事の能率を上げるのは必要だが、それは法令遵守の範囲内でというのは当然だ(言うまでもない)」といったところか。
会社のためにリスクを犯すことのわりにあわなさ。
★★★★
大きい会社とか、古い会社みたいに、個人の多少のパフォーマンスの悪さが目立たない組織だったら、出世なんかどうでもいい、安全に生きようということもできるでしょうが、そうでなかったら。
法の限界を超えるかどうか、目の前の選択に生活がかかっていたら。